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位相記述によるアプローチ同期現象の科学

同期現象の科学 位相記述によるアプローチ

A5判 360ページ 並製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-8140-0053-1 C3040
奥付の初版発行年月:2017年03月 / 発売日:2017年03月上旬

内容紹介

自然のなかに自発的な動きが生じるとき,その原初の姿は周期運動であり,数学的にはリミットサイクル振動によって表される.その担い手となる振動子が同期するか否かをめぐって,理論と解析をむすびながらさまざまなダイナミクスを解き明かす.そこから,物理学のみならず,生命科学や化学,工学でも注目を集める非線形現象の最前線に迫る.

著者プロフィール

蔵本 由紀(クラモト ヨシキ)

理学博士,京都大学名誉教授
1940年大阪府生まれ. 1969年3月京都大学大学院博士課程修了. 同年4月九州大学助手. 1976年4月京都大学助教授. 1977年独国シュツットガルト大学訪問教授(1ヵ年). 1981年4月京都大学基礎物理学研究所教授. 1985年4月京都大学理学部教授. 2004年3月退官. 同年より2015年3月まで北海道大学特任教授,国際高等研究所副所長等を歴任. 2005年度朝日賞受賞.
主要な著書:Chemical Oscillations, Waves, and Turbulence (Springer, 1984), Dover (2003). 『新しい自然学』(岩波書店, 2002 [筑摩書房, 2016]). 『非線形科学』(集英社, 2007). 『非線形科学 同期する世界』(集英社, 2014) など.

河村 洋史(カワムラ ヨウジ)

博士(理学),海洋研究開発機構研究員
1979年山口県生まれ.2007年3月京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了,同年4月海洋研究開発機構研究員,現在に至る.
主要な著書:『同期現象の数理』(共著, 培風館, 2010).

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

1 序論:振動と同期の普遍性
 1.1 結合振動子系の科学の可能性
 1.2 同期現象について
 1.3 振動子系の力学モデル
 1.4 縮約について
2 振動の発生と逓減摂動法
 2.1 縮約の考え方
 2.2 弱非線形振動の摂動理論
 2.3 Hopf分岐点近傍における縮約
 2.4 拡張された振幅方程式
3 振動場のパターンダイナミクス
 3.1 平面波解
 3.2 平面波の安定性
 3.3 位相方程式の導出
 3.4 ショック解
 3.5 拡大する標的パターン
 3.6 2次元回転らせん波
 3.7 ホール解
 3.8 時空カオス
 3.9 周期外力を受けた振動場
4 位相記述法
 4.1 位相の大域的定義
 4.2 固有ベクトルとの関係
 4.3 摂動を受けた振動子
 4.4 位相方程式のもう一つの導出法
 4.5 Stuart-Landau 振動子のアイソクロンと固有ベクトル
 4.6 位相応答のタイプ
 4.7 位相感受性の数値計算法
 4.8 周期外力による同期
 4.9 弱く結合した振動子
 4.10 相互同期と結合のタイプ
 4.11 拡散結合をもつ振動子の位相縮約
 4.12 実験から位相結合関数を見出す方法
 4.13 LIF振動子系の縮約
 4.14 平均化と近恒等変換
 4.15 ランダム外力を含む系の位相縮約
 4.16 ランダム外力による位相同期
 4.17 振動反応拡散系における系統的な位相縮
5 振動子の集団ダイナミクス I
 5.1 大域結合系における位相の完全同期と完全非同期
 5.2 Watanabe-Strogatz変換
 5.3 クラスター化とスロースイッチ現象
 5.4 集団同期転移 I
 5.5 集団同期転移 II
 5.6 キメラ状態
6 振動子の集団ダイナミクス II
 6.1 不均一な振動子集団における秩序パラメタのダイナミクス
 6.2 ノイズを含む振動子系における集団振動の発生
 6.3 集団レベルの位相記述 I
 6.4 集団レベルの位相記述 II
参考文献
索 引


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