東アジア高度成長の歴史的起源
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-8140-0054-8 C3033
奥付の初版発行年月:2016年11月 / 発売日:2016年11月上旬
戦後東アジアの一角で始まった高度成長の波動は,東アジアからしだいに周辺の後進地域にひろがって,現在世界経済に大きな影響をあたえつつある.この注目すべきグローバルな現象を深く探るために,それが最初に起こった時代まで遡り,日本・台湾・韓国の研究者が取り組んだ国際共同研究の成果.
堀 和生(ホリ カズオ)
京都大学大学院経済学研究科教授.
1951年生.京都大学大学院文学研究科博士課程.主著『東アジア資本主義史論㈵』ミネルヴァ書房,2009年.「東アジアにおける資本主義の形成:日本帝国の歴史的性格」『社会経済史学』第76巻第3号,2011年.専攻 東アジア経済史.
目次
序 論
第 I 部 総 論
序 章 東アジアの高度成長の歴史的条件 ——国際分業の視点から—— [堀 和生]
はじめに
第1節 両大戦間期の東アジアと日本
第2節 世界経済との断絶と日本帝国圏
第3節 日本帝国の解体と新生国民国家の形成
第4節 東アジア地域の再結合と高度成長
おわりに
第 II 部 戦後の地域再編成と米国
第1章 アメリカの戦後構想と東アジア [林 采成]
はじめに
第1節 戦後東アジア構想と中国内戦
第2節 朝鮮戦争と東アジアへの介入拡大
第3節 「平和攻勢」と開発構想の登場
おわりに
第2章 台湾電力業と米国援助 ——ECA援助からMSA援助へ—— [湊 照宏]
はじめに
第1節 ECA援助
第2節 MSA援助
おわりに
第3章 米国援助と台湾経済官僚による第一期経済建設四年計画の作成 [趙 祐志(湊 照宏訳)]
はじめに
第1節 「第一期四年計画」の編成及び修正
第2節 「第一期四年計画」の宣伝
第3節 「第一期四年計画」の改訂
第4節 JGホワイト社の「第一期四年計画」に対する貢献
第5節 米国が参与した「第一期四年計画」の背後にある戦略
第6節 「第一期四年計画』に対する社会世論
第7節 商工業者による「第一期四年計画」への関与
おわりに
第4章 終戦前後の台日貿易(1941—1961年) [許 世融(堀内義隆訳)]
はじめに
第1節 各段階の貿易統制
第2節 各時期の台日貿易の発展概況
第3節 戦前から戦後にいたる台日貿易の変動要因
おわりに
第 III 部 東アジアの産業発展
第5章 韓国衣類産業の輸出産業化 [福岡正章]
はじめに
第1節 繊維製品輸出の動向
第2節 衣類生産の国内的連関
第3節 衣類輸出の国際的連関
おわりに
第6章 台湾の高度経済成長と資本財供給 [堀内義隆]
はじめに
第1節 戦後世界経済と東アジアの高度経済成長
第2節 台湾の工業化過程における資本財供給
第3節 資本財供給からみた高度経済成長の起源
おわりに
第7章 韓国・台湾の造船業 [裵 錫滿]
はじめに
第1節 戦後両国造船産業の初期条件 ——植民地遺産の比較
第2節 1950年代の展開 ——植民地遺産の国営化と輸入代替
第3節 1960年代国営復帰と日本造船企業の協力
第4節 1970年代における輸出産業化の試み
おわりに
結論と展望
年 表
あとがき
索 引