計画経済の実証分析 中国の経済開発
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-8140-0056-2 C3033
奥付の初版発行年月:2016年12月 / 発売日:2016年12月下旬
中国計画経済システム下の工業部門における生産技術レベルや技術進歩の有無,生産システム,経済主体の行動ついての実証研究から,改革開放を含めた長期経済発展における中国計画経済の位置づけ,市場経済の特質と関連させたその特徴づけを行う。現在の中国型市場経済の源流の考察を通じて,より深い現代中国経済への理解に迫る。
白石 麻保(シライシ マホ)
山口大学人文学部卒業
山口大学大学院経済学研究科修士課程修了,修士(経済学)
京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了,博士(経済学)
日本学術研究会特別研究員(PD),龍谷大学経済学部非常勤講師,立命館大学経営学部非常勤講等,姫路獨協大学経済情報学部講師を経て
2007年 北九州市立大学外国語学部准教授
2015年 北九州市立大学外国語学部教授(現在に至る)
主要著書
「人力資源的形成與経済体制改革:作為改革開放時代的基礎的計画経済時代」許崇正 大西広 楊帆等著『人的发展经济学新進展:中日“人的発展経済学”第五次国際検討会論文選』中国経済出版社,2012(矢野剛氏と共著)
"What Caused the ‘Marginal Products of Labor-Wage Gap’ in State-Owned Enterprises in China during the Early-Reform Era? A Reconsideration based on a Case Study in Henan.", Journal of Chinese Economics and Business Studies, 2011(矢野剛氏らと共著)
「中国における「社会主義市場経済論」の思想的変遷―市場経済化をリードした理論展開の諸相―」上原一慶編『躍動する中国と回復するロシア―体制転換の実像と理論を探る―』高菅出版,2005
目次
まえがき
序 章 中国型市場経済の源流をたずねて ─「ルースな計画経済」
1 計画経済システムの再考 ─ 問題の所在
2 ルースな計画経済 ─ 中国計画経済システムの特徴
3 本書の意義と貢献
4 本書の構成
第1章 効率的な生産システム ─ 内製化か分業化か
1 「大而全,小而全」は非効率的か ─ 本章の目的
2 生産組織の形態と経済発展 ─ 分析枠組
3 データ
4 計測結果
5 まとめ
第2章 工業部門の生産性と技術進歩 ─ 悪条件の中の光明
1 技術進歩はみられたのか ─ 本章の目的
2 生産関数アプローチ ─ 分析枠組
3 データ及びその実質化
4 計測及び推定結果
5 まとめ
Appendix 〈企業マイクロデータの代表性について〉
第3章 国営企業の行動様式 ─ 現場レベルでの「意思決定」
1 国営企業は「企業」か「工場」か ─ 本章の目的
2 目的関数アプローチ ─ 分析枠組と推定方法
3 雇用と生産性
4 「最適化行動」採用の有無 ─ 推定結果
5 まとめ
補 論 資金の優先配分の方針と企業パフォーマンス
─ 企業の生産へのインセンティブ付与をおこなえていたか
1 はじめに
2 いくつかの周辺的事実
3 分析枠組 ─ 実証モデルの設定
4 企業パフォーマンスを上げる要因とは ─ 推定結果
5 おわりに
第4章 計画経済システム下の非効率性問題 ─「限界」の所在
1 計画経済システムの限界とは ─ 本章の目的
2 技術効率性と配分効率性 ─ 問題の本質
3 配分非効率性改善の論点 ─ 分析枠組
4 配分非効率性改善への準備 ─ 分析結果
5 まとめ
Appendix 1 〈生産性の計測〉
Appendix 2 〈流動資金の限界生産性〉
第5章 改革開放へのステップ ─ 市場競争への「耐性」の形成
1 経済システム転換の準備は出来ていたか ? ─ 本章の目的
2 市場競争に向けた生産技術面における「環境」整備
─ 同次性係数の計測
3 配分非効率性の改善と経済成長,「景気」の出現
4 補足 ─ 成長の核の変遷
5 まとめ
終 章 中国計画経済研究がもたらすもの
─ 本書のまとめと今後の展望
1 本書のまとめ
2 中国計画経済研究からみえるもの
─ 地方政府主導型地域経済発展の有効性及びその限界
3 おわりに
あとがき
参考文献
Empirical Analysis of a Planned Economy :
Chinaʼs Economic Development
计划经济的实证分析 ─ 中国的经济开发
索 引