中世ヴェネツィアの家族と権力
価格:4,510円 (消費税:410円)
ISBN978-4-8140-0069-2 C3022
奥付の初版発行年月:2017年02月 / 発売日:2017年03月上旬
髙田 京比子(タカダ ケイコ)
神戸大学大学院人文学研究科准教授
1965年生まれ。京都大学文学部卒業。
1997年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)
京都大学人文科学研究所助手を経て,2000年より神戸大学に在職。
主な著書
『イタリア都市社会史入門——12世紀から16世紀まで』(共著,昭和堂,2008年)
『空間と移動の社会史』(共著,ミネルヴァ書房,2009年)
“Comments(on Giorgio Chittolini)", in Political Order and Forms of Communication in Medieval and Early Modern Europe, ed. by Yoshihisa Hattori, Roma(Viella), 2014.
『コミュニケーションから読む中近世ヨーロッパ史——紛争と秩序のタペストリー』(共著,ミネルヴァ書房,2015年)
目次
口絵
地図
凡例
序 論
(1)中世ヴェネツィアへのまなざし
(2)中世都市研究とイタリア
(3)家族史研究と本書の課題
(4)都市コムーネとヴェネツィア
第I部 13世紀ヴェネツィアの家族生活
第1章 中世イタリア都市の家族史とヴェネツィア
はじめに
第1節 欧米における中・近世イタリア家族史
第2節 ヴェネツィア支配層の家・家族
(1)貴族身分を構成する家
(2)商人の生活史
おわりに
第2章 家族生活の枠組み ——都市条例とその社会的背景
はじめに
第1節 相続と嫁資の規定
(1)前コムーネ期の慣習と都市条例の成立
(2)相続の規定
(3)嫁資の規定
第2節 東地中海への発展と都市条例
(1)東地中海への発展
(2)不動産売買
おわりに
第3章 家族生活の実態 ——ヴィアロ家の人々
はじめに
第1節 東地中海と後背地の間で
第2節 女性たちの活躍,争う父と息子
(1)ベアトリーチェの嫁資をめぐる問題
(2)ピエトロ・ヴィアロと息子たちの争い
おわりに
第4章 家族生活の展開 ——サン・マルコ財務官と都市民の相続戦略
はじめに
第1節 サン・マルコ財務官の機能と発展
第2節 ヴェネツィアの遺言書
第3節 遺言執行人としての職務の拡大
(1)13世紀前半
(2)永遠の喜捨 1250年代
(3)動産の投資 1260年代
第4節 都市民の相続戦略の変容
おわりに
第II部 権力の変化と家・親族
第5章 13〜14世紀のイタリア諸都市の変化とヴェネツィア
はじめに
第1節 「コムーネの危機」とヴェネツィア
第2節 1980年以降の都市内部の変遷についての研究
第3節 家族,親族と新しい時代変化の見取り図
おわりに
第6章 親族と制度の相互作用 ——評議会・反乱・統治技法
はじめに
第1節 親族をめぐる評議会決議
(1)13世紀〜14世紀のヴェネツィア制度史
(2)ヴェネツィアにおける評議会制度の発展
(3)評議会の決議と親族
(4)セッラータと金球くじ
第2節 クエリーニ・ティエポロの反乱
(1)反乱の概要
(2)反乱の参加者と「家」
(3)反乱後の処置
第3節 恩恵(gratia)制度
(1)「権力の技法」としての恩恵
(2)ヴェネツィアの恩恵
(3)恩恵に見る家族 レジスター1とレジスター16の比較
(4)恩恵に見る家族と「国家」
おわりに
第7章 家意識と貴族アイデンティティ ——都市年代記付属の家リスト
はじめに
第1節 史料としての家リスト
第2節 家リストの成り立ち
(1)『アルティーノ年代記』
(2)ヴェネツィアの都市年代記
第3節 家リストの検討
(1)14世紀の家リストの特徴
(2)二つの家名
(3)出身地
(4)トリブーヌス出自
(5)性質
(6)紋章
第4節 ヴェネツィア貴族の家意識
おわりに
第8章 家族生活と都市権力 ——家産のゆくえ
はじめに
第1節 14世紀における嫁資の高騰と母の遺産
第2節 13世紀の女性の富 ——遺言書の検討より
第3節 ヴェネツィア政府と嫁資
第4節 14世紀のサン・マルコ財務官
おわりに
結 論
あとがき
欧文要約
主要文献目録
索引(人名・事項・地名)