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生業と身分中世の〈遊女〉

プリミエ・コレクション82
中世の〈遊女〉 生業と身分

A5判 388ページ 上製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-8140-0074-6 C3321
奥付の初版発行年月:2017年03月 / 発売日:2017年04月上旬

内容紹介

〈遊女〉のありようは,中世と近世以後では大きく異なる。元々は芸能を主たる生業とし、家長として営業の自由を有し、卑賤視されることもなかった。しかし鎌倉後期には売春が主たる生業となり、戦国期には家長の座を男性に奪われる。遊女への卑賤視はその過程で定着していった。遊女の芸能と〈イエ〉の実態に精緻に迫り、遊女の地位の変容を見事に炙り出す。

著者プロフィール

辻 浩和(ツジ ヒロカズ)

川村学園女子大学文学部史学科専任講師
専攻は日本中世の文化史・芸能史
1982年,鹿児島県で生まれる
2012年,京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程(共生文明学専攻)修了
博士(人間・環境学)
日本学術振興会特別研究員(PD)を経て,2014年より現職
各地の祭礼に出没する

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 〈遊女〉を理解するために
 第一節 中世の〈遊女〉とは
 第二節 中世〈遊女〉をめぐる研究の現状
 第三節 本書の視角と課題
 第四節 本書の構成

第一部 〈遊女〉の芸能とその享受層

第一章 今様の流行と貴族社会
 第一節 今様流行を論じる視角
 第二節 流行摂取の場と方法
 第三節 新興芸能の貴族化をめぐって
 第四節 まとめ~〈遊女〉と貴族社会

第二章 後白河と〈遊女〉
 第一節 王権と〈遊女〉・〈都市民〉
 第二節 後白河と〈都市民〉との交流事例
 第三節 交流の様態
 第四節 〈都市民〉の昇殿事例とその特徴
 第五節 交流の背景
 第六節 まとめ

第三章 後鳥羽と〈遊女〉
 第一節 後鳥羽と〈遊女〉との交流事例
 第二節 後鳥羽芸能の全体像
 第三節 院政期における後鳥羽芸能の位置
 第四節 後鳥羽芸能と貴族社会
 第五節 まとめ

付論一 院と芸能者たち

第四章 寺社と〈遊女〉
 第一節 春日若宮の拝殿「遊女」
 第二節 拝殿白拍子と拝殿「遊女」
 第三節 拝殿「遊女」の職掌
 第四節 その他の寺社と「遊女」
 第五節 まとめ

第二部 〈遊女〉集団の構造

第五章 「遊女」集団の内部構成
 第一節 座的構成
 第二節 左方・右方
 第三節 長者と﨟次
 第四節 まとめ

第六章 「遊女」集団の階層性
 第一節 『遊女記』の所得記載
 第二節 「遊女」の所得とその分配方法
 第三節 「遊女」の競合者
 第四節 「遊女」の従者たち
 第五節 まとめ

付論二 『梁塵秘抄』三八〇歌「遊女の好むもの」
付論三 『遊女記』『傀儡子記』校異ノート

第三部 〈遊女〉の身分とその変容

第七章 〈遊女〉と女房・従女
 第一節 働く女性と〈遊女〉の関係
 第二節 『餓鬼草紙』第一段の女性たち
 第三節 〈遊女〉と女房
 第四節 〈遊女〉と従女
 第五節 〈遊女〉の身分変容と行動様式
 第六節 まとめ

第八章 中世前期における〈遊女〉の変容
 第一節 居住の変容
 第二節 呼称の変容
 第三節 まとめ

第九章 中世後期における〈遊女〉の変容
 第一節 〈遊女〉の〈イエ〉
 第二節 〈イエ〉の変容
 第三節 社会的地位の変容
 第四節 まとめ

終 章 本書の成果と課題

あとがき
初出一覧
図版一覧
索引


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