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動物奇譚集1

西洋古典叢書G099
動物奇譚集1

四六判変型 474ページ 上製
価格:4,510円 (消費税:410円)
ISBN978-4-8140-0093-7 C1398
奥付の初版発行年月:2017年05月 / 発売日:2017年05月上旬

内容紹介

後2〜3世紀、主にローマを拠点としながら、古典ギリシア語を用いて著述活動に専念した人物による本書は、獣・魚・鳥はもとより、爬虫類・両生類から虫・植物、果ては未確認動物に至るまで、ありとあらゆる生物にまつわるきわめて多彩なエピソードを800話近くも集めたもの。動物たちのさまざまな生態を活写して、純粋な驚きや知的関心の対象とするだけでなく、理性なき彼らが示す美徳や悪徳などの特性にも注意を促すことで、理性を備えたわれわれ人間にとっての教訓や反省の材料に供することが企図されている。後代のシートンらによる動物文学の系譜にも位置づけられる。原書17巻を2冊に編み、第1分冊には9巻までを収める。本邦初訳。

著者プロフィール

中務 哲郎(ナカツカサ テツオ)

京都大学名誉教授
一九四七年 大阪市生まれ
一九七五年 京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学
京都産業大学助教授、京都大学教授を経て二〇一〇年退職
主な著訳書
『物語の海へ―ギリシア奇譚集』(岩波書店)
『イソップ寓話の世界』(ちくま新書)
『饗宴のはじまり』(岩波書店)
『ヘロドトス「歴史」―世界の均衡を描く』(岩波書店)
『極楽のあまり風―ギリシア文学からの眺め』(ピナケス出版)
キケロー『老年について』『友情について』(岩波文庫)
ヘシオドス『全作品』(京都大学学術出版会)
ソポクレース『アンティゴネー』(岩波文庫)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次



第 一 巻
一 ディオメデイア島の迎え鳥
二 武鯛の色欲
三 ケパロスの節制
四 アンティアースと武鯛の仲間思い
五 噛ミ魚と海豚の戦い
六 人間に恋をした動物
七 ジャッカルと犬の忠義
八 雄蜂の巣荒らし
九 蜜蜂の分業
一〇 蜜蜂の年齢
一一 ケパロスの恋狂い
一二 貞節な魚
一三 ブラックバード魚の雄
一四 ブラックバード魚の雌
一五 グラウコスの父性
一六 犬鮫の母性
一七 海豚の母性愛
一八 牛鱏の人狩り
一九 蟬の歌
二〇 蜘蛛の糸
二一 蟻の日読み
二二 サルゴスの恋の罠
二三 蝮の交尾
二四 ハイエナの性転換
二五 甲虫魚の一夫一婦主義
二六 蛸のオートファジー
二七 雀蜂の発生
二八 梟の媚態
二九 鱸と小蝦の共倒れ
三〇 山荒の武器
三一 海の三すくみ
三二 金槌魚の脱走
三三 甲烏賊の墨
三四 鳥類の邪視対策
三五 動植物の異能
三六 植物の効能
三七 象の恋
三八 動物の嫌うもの
三九 赤鱏の音楽漁
四〇 黒鮪の逃げ技
四一 メラヌーロスは天の邪鬼
四二 鷲の利目
四三 歌姫ナイチンゲール
四四 鶴二題
四五 禿鷲、そして啄木鳥
四六 シュノドーンの群居
四七 大烏の渇きの由来
四八 大烏の能力
四九 蜂喰の飛行
五〇 鱓と蝮
五一 蛇の発生
五二 燕の来往
五三 山羊の呼吸
五四 毒虫
五五 犬鮫の漁法
五六 赤鱏の棘
五七 角蝮とリビアの民
五八 蜜蜂の敵
五九 蜜蜂の巣の優雅なしくみ
六〇 王蜂の針

第 二 巻
一 鶴の渡り
二 火ノ子虫
三 燕の交尾
四 エペーメロン、短命の仕合わせ
五 毒蛇二則
六 海豚と少年
七 バシリスクの独擅場
八 海豚の漁業参加
九 鹿と蛇
一〇 騾馬の作り方
一一 象の芸達者
一二 兎の特性
一三 大魚の水先案内
一四 カメレオンの変色
一五 鰤モドキ
一六 タランドスの変色
一七 舟止め魚
一八 医術の師資相伝、象の秘術を付す
一九 熊の仔の整形
二〇 雄牛の角
二一 大蛇の狩り
二二 雑魚の発生
二三 蜥蜴の生命力
二四 蛇毒と人間の唾
二五 蟻の穀物貯蔵法
二六 鷲の子試し
二七 駝鳥
二八 野雁の馬好き
二九 蠅の見せかけの死
三〇 雄鶏を逃がさぬ法
三一 蠑螈、火を消すこと
三二 白鳥の歌
三三 鰐
三四 シナモン鳥
三五 イービスの教え
三六 赤鱏の棘
三七 尖鼠
三八 イービス、蛇を退治する
三九 黄金鷲の独立独行
四〇 鷲の情愛
四一 比売知の悪食
四二 鷹と人間
四三 鷹四題
四四 虹遍羅
四五 雨降
四六 禿鷲
四七 鳶
四八 大烏の知恵
四九 大烏の土地勘
五〇 毒ある魚
五一 大烏
五二 動物の生まれ方
五三 角なき牛
五四 武鯛の反芻
五五 小鮫のお産
五六 鼠の肝臓、蛙の発生
五七 牛の効用

第 三 巻
一 マウリタニアのライオン
二 飼主に似る動物
三 インドの動物
四 インドの蟻
五 亀、土鳩、鷓鴣
六 狼の泳ぎ
七 動物の嫌うもの
八 馬の孤児
九 嘴細烏と梟
一〇 針鼠の冬支度
一一 鰐と鰐千鳥
一二 黒丸烏の手柄
一三 鶴の渡り
一四 鶴の風読み
一五 土鳩
一六 鷓鴣
一七 動物の嫉妬
一八 ピューサロスの破裂
一九 海豹の意地悪
二〇 ペリカンの調理
二一 熊とライオンの話
二二 マングースとコブラの戦い
二三 鸛に反哺の孝あり
二四 燕の巣造り
二五 燕の教育
二六 戴勝の巣
二七 ペロポンネソス半島とライオン
二八 ペルセウスという魚
二九 玉珧の見張り番
三〇 郭公の托卵
三一 雄鶏を怖れるもの
三二 土地の特性
三三 土地による差異
三四 巨大な角
三五 鷓鴣の国なまり
三六 毒蜘蛛
三七 セリポス島の蛙
三八 土地の作用
三九 山羊ノ乳吸
四〇 ナイチンゲールの母のしつけ
四一 角ある馬
四二 青鶏
四三 捨身飼雛
四四 森鳩の貞潔
四五 土鳩の擬娩
四六 白象の忠情
四七 インセスト・タブー、駱駝

第 四 巻
一 鷓鴣を戦わせる秘訣
二 アプロディテ神殿の土鳩
三 ライオンの単独行動
四 狼のお産
五 敵対する動物
六 雑
七 風で孕む馬
八 インセスト・タブー、馬
九 馬方の恋
一〇 黒海へ行く魚
一一 月を拝む象
一二 雌馬という綽名
一三 啐啄無用の鷓鴣
一四 鷓鴣の知恵
一五 悪者同士
一六 満腹の狼
一七 鶏の同性愛、囮となる鷓鴣
一八 意地の悪い動物
一九 意外な弱み
二〇 インド犬
二一 特異性
二二 マルティコラース
二三 沙蚕と唾
二四 甲の薬は乙の毒
二五 象を飼う
二六 牛のつまみ食い対策
二七 インドの鷹狩り
二八 グリュプス
二九 雄鶏五題
三〇 海亀から宝石
三一 黒丸烏の捕獲法
三二 象について
三三 インドの畜産
三四 カメレオンと蛇
三五 ライオンのこと
三六 牛の執念
三七 薬種の宝庫インド
三八 駝鳥
三九 雀の巣
四〇 狐と雀蜂
四一 犬のこと
四二 インドの鳥ディカイロン
四三 自分の名前を叫ぶ鳥
四四 見上げた蟻
四五 恩を知る動物
四六 動物の仇討
四七 インドの赤い虫と犬頭
四八 萌葱色の鳥
四九 暴牛の抑え方
五〇 豹のこと
五一 馬の睫毛
五二 虻の仲間
五三 野生のインド驢馬
五四 数を数える動物
五五 川原鳩
五六 少年に恋したコブラ
五七 バクトリアの駱駝
五八 海豹の恋
五九 水蛇
六〇 青黒鳥
六一 頭青花鶏

第 五 巻
一 メムノンを悼む鳥
二 恩寵の島クレタ島
三 インダス河の巨大な蛆虫
四 鼠海豚のこと
五 牝鶏の晨
六 海豚の同胞愛
七 猿と猫
八 敵性の土地
九 土地の作用、蟬の場合
一〇 王を慕う蜜蜂
一一 蜜蜂の王
一二 蜜蜂の勤勉
一三 蜜蜂は芸術家
一四 変わり種
一五 雀蜂の王
一六 毒矢の文化
一七 蠅の自制心
一八 羽太
一九 狼と雄牛
二〇 驢馬魚
二一 孔雀の美
二二 鼠の連帯
二三 待ち伏せする鰐
二四 犬を怖れる野雁
二五 仔羊の夙慧
二六 猿真似
二七 変わりものの動物
二八 青鶏の仲間愛
二九 鵞鳥の恋、毒への態度
三〇 狐雁
三一 蛇のしくみ
三二 孔雀
三三 鴨の本能
三四 白鳥の勇気
三五 青鷺の食事作法
三六 星鳥
三七 魚を摑む骨
三八 ナイチンゲールの名声好き
三九 ライオンのこと
四〇 豹の芳香
四一 反芻動物と烏賊
四二 蜜蜂の種類、蜂蜜のこと
四三 一日虫
四四 甲烏賊の毒
四五 猪、豚についてのホメロスの知識
四六 自然の教える医療
四七 目を潰された蜥蜴
四八 動物間の友情と敵意
四九 死への態度
五〇 安心と恐怖と
五一 動物の多彩な声
五二 ナイルの氾濫を知る動物
五三 河馬の知恵
五四 猿を凌ぐ豹の知恵
五五 象の準備
五六 海を渡る鹿

第 六 巻
一 動物と人間、勇気と節制競べ
二 豹の慈悲
三 熊の冬眠
四 大蛇の毒の元
五 角を落とした鹿
六 馬も怯む
七 烏の墓
八 動物の世話の呼び分け
九 母熊は強し
一〇 動物の学習能力・記憶力
一一 鹿の産所
一二 陸亀の毒消し
一三 鹿の節度
一四 ハイエナの催眠術
一五 少年に恋した海豚
一六 動物の予知能力
一七 大蛇の恋
一八 蛇の特技
一九 鳴き声の競演
二〇 蠍さまざま
二一 象対大蛇
二二 相性
二三 蠍の鎖
二四 狐の狡知
二五 忠犬
二六 猿蜘蛛
二七 猫のこと
二八 蛸の好色
二九 鷲と少年
三〇 驢馬魚再び
三一 銀杏蟹の音楽漁
三二 トリッサの音楽漁
三三 エジプト人の呪術
三四 海狸の去勢
三五 ブープレースティス
三六 芋虫退治
三七 虻の仲間
三八 コブラについて
三九 インセスト・タブー、野生の驢馬
四〇 ヘラクレスを敬う鼠
四一 エジプトの鼠
四二 山羊飼クラティスの話
四三 蟻の巣
四四 馬の深情け
四五 憎みあう鳥たち
四六 鳥を殺すもの
四七 兎の知恵
四八 馬の母性愛
四九 老いたる騾馬
五〇 クレアンテスと蟻
五一 渇きを起こす蛇
五二 正直を教える象
五三 エジプトの犬
五四 針鼠の役者ぶり
五五 笠貝の吸着力
五六 象狩り
五七 蜘蛛の巣
五八 霊鳥ポイニクス
五九 犬の推理力
六〇 駱駝の慎み
六一 象の敬老精神
六二 ゲロンの忠犬
六三 旧恩を忘れぬ大蛇
六四 狐と針鼠
六五 狼の分け前

第 七 巻
一 数を数える牛
二 象の終の棲家
三 パイオニアのモノープス
四 雄牛の馴服
五 リビアのカトーブレポン
六 象狩り
七 雨か日和か鳥に聴け
八 動物の気象予報
九 エジプトの鷹
一〇 犬の忠義
一一 蛸と鷲の戦い
一二 働き者
一三 頼れる番犬
一四 山羊の眼医者
一五 象の仁愛 付、ローマの貴婦人
一六 鷲と亀とアイスキュロス
一七 ケーリュロスと翡翠
一八 コプトスの大烏
一九 動物の悪徳
二〇 ライオンの復讐
二一 蟹さまざま
二二 間男を顕す犬
二三 唾の威力を知る山羊
二四 風を知る羊
二五 イカリオスの犬
二六 忠犬
二七 飛ぶ蟹
二八 宿借、そして巻貝
二九 海胆の知恵
三〇 紫貝採り
三一 沙蚕
三二 象の敗走
三三 ポロス王の象
三四 従軍する犬
三五 雌鹿の角
三六 忠犬
三七 動物の愛情
三八 騾馬を懲らしめるタレス
三九 象と花売り娘
四〇 太陽を拝む象
四一 イービス、象、動物の綽名
四二 ミトリダテスの警戒心
四三 動物の幼名
四四 アンドロクレスとライオン

第 八 巻
一 虎の血を引くインド犬
二 誇り高き猟犬
三 海豚報恩譚
四 人なつこい魚
五 いろいろな占い
六 食う者と食われる者
七 一触即死の動物
八 医者いらずの犬
九 象狩り
一〇 美形を好む動物
一一 医神の蛇
一二 這うものいろいろ
一三 牛を餌食にする狼
一四 象の橋、禿野
一五 海綿
一六 またまた象の美徳
一七 片口鰯
一八 豚と海賊
一九 鸛の仇討ち
二〇 羊の毛色を変える水
二一 鸛報恩譚
二二 狩人という鳥
二三 海蝲蛄
二四 鰐と鰐千鳥
二五 赤鱏の殺傷力
二六 象のこと
二七 聖なる魚

第 九 巻
一 ライオンの孝心
二 鷲の羽
三 お産あれこれ
四 毒のしくみ
五 父親を継ぐ仔犬
六 月の盈虧の影響
七 魚の聴覚、耳石、食客
八 象の母性愛
九 海豹の子育て
一〇 鷲の食事
一一 苦痛をもたらさぬ毒
一二 海の狐
一三 蛙軍
一四 痺鱏
一五 毒の相乗効果
一六 蛇の脱皮
一七 翡翠の巣
一八 鳥兜
一九 家の動物と葡萄酒・水・オリーブ油
二〇 蛇よけの法
二一 ヘレネとパロス島の蛇
二二 海星と牡蠣
二三 アンピスバイナ
二四 鮟鱇
二五 伊勢海老と蛸
二六 蛇を駆除する草
二七 鳥兜、一位の木
二八 豚肉
二九 エウプラテス源流の蛇
三〇 ライオンの歩み
三一 しゃっくりの妙薬
三二 ヒヨス採り
三三 苦艾と腹の虫
三四 葵貝
三五 海の深さ
三六 陸に上がって眠る魚
三七 宿り木
三八 動物の名を持つ魚
三九 虫の居どころ
四〇 天の配剤
四一 鼠の三種
四二 季節を知る鮪
四三 銀杏蟹の脱皮
四四 穴居民を怖れる蛇
四五 陸に上がる蛸
四六 回遊魚
四七 海胆
四八 家畜の催淫剤
四九 海の怪物
五〇 陸に上がる海獣
五一 比売知の崇拝
五二 飛行する魚
五三 様々な魚影
五四 畜産術
五五 犬と驢馬を黙らせる法
五六 象の臭覚
五七 冬の魚
五八 諸王の有する長寿の象
五九 淡水で産卵する海水魚
六〇 楊枝魚の産卵
六一 コブラの咬み跡
六二 蛇遣いの死
六三 魚の交尾と産卵
六四 海中の真水
六五 魚のタブー
六六 再び鱓と蝮

関連地図
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