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探究と実践の往還

掛谷誠著作集3
探究と実践の往還

A5判 414ページ 上製
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-8140-0129-3 C3039
奥付の初版発行年月:2018年08月 / 発売日:2018年08月上旬

内容紹介

自然・社会・文化の相互関係と動態を生態人類学の立場から解明してきた掛谷誠の著作集。第3巻では、世界のなかのアフリカを考える。国際協力はいかにあるべきか、地域研究はどのような貢献ができるのか。現地に根づいた実証的なフィールドワークと、そこから築き上げた理論に基づいて、アフリカの課題を人類に普遍のものとして問いかける。

*推薦*
アフリカに新たな発展の地平をひらく

地域研究の立役者であった掛谷は、内陸アフリカを「内的フロンティアを抱えた空間」と位置づけ、そこでの人びとの営みが有する未来への潜在力に着目した。地域で育まれ、外部の政治・経済的条件との交渉を通して変性し、活性化される在来性の潜在力 を「アフリカ的発展」の源泉と考える本書は、地域研究と開発実践の統合を試みた貴重な足跡である。
市川光雄(京都大学名誉教授・元日本アフリカ学会会長)

著者プロフィール

掛谷 誠(カケヤ マコト)

京都大学名誉教授.1945年生まれ.理学博士.
1968年京都大学理学部を卒業し,同大学大学院理学研究科に入学して生態人類学を学ぶ.1974年に福井大学教育学部助教授,1979年に筑波大学歴史・人類学系助教授,1987年に弘前大学人文学部教授を歴任し,1990年には京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授を兼任した.2008年には定年により退職し,2013年12月22日に逝去した.享年68歳であった.
 日本における生態人類学の創始者のひとりであり,東アフリカ乾燥疎開林帯の農耕民社会に関する研究によって優れた業績を残した.そのなかで提唱された「最小生計努力」や「平準化機構」はアフリカ社会を理解するための基本的な概念として幅広い分野の研究者に援用されている.また,アフリカ地域研究の進展を牽引するとともに,研究成果をアフリカの農村開発に還元する応用的・実践的研究にも従事し,在来性に根ざした地域の内発的な発展という新たな視座を提示した.
 生態人類学会の会長や日本アフリカ学会の理事などを歴任すると同時に,京都大学アフリカ地域研究資料センター長や同大学評議員の要職を務めるなど,学界の組織化や体制の確立に尽力し,1998年には大同生命地域研究奨励賞を受賞した.主な著書に,『ヒトの自然誌』(平凡社),『講座 地球に生きる2 環境の社会化』(雄山閣),『続・自然社会の人類学』(アカデミア出版会),『講座生態人類学 第3巻 アフリカ農耕民の世界』(京都大学学術出版会),『アフリカ地域研究と農村開発』(京都大学学術出版会)など多数の共著編著がある.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

口絵

第I部 アフリカへの視線

第1章 アフリカ研究会のころ
第2章 座談会 霊長類学・生態人類学・人類進化論
――伊谷純一郎のハクスリー記念賞受賞を祝って
第3章 テンベアとサファリ――焼畑農耕民の旅
第4章 川喜田二郎先生の最終講義に寄せて
第5章 「南の生活原理」と「北の生活原理」――南北問題への一視点

第II部 世界の中のアフリカ

第6章 アフリカ
第7章 アフリカにおける地域性の形成をめぐって
第8章 変貌する民族社会と地域研究
第9章 アフリカ疎開林帯における焼畑農耕社会の持続と変容
第10章 フロンティア世界としてのアフリカ――地域間比較に向けての覚え書き
第11章 内陸アフリカの論理――内的フロンティア世界としてのアフリカ
第12章 東南アジアをどう捉えるか――アフリカ世界から

第III部 地域研究と国際協力

第13章 ミオンボ林の農耕民――その生態と社会編成
第14章 「呪い」をめぐる人類史的考察
第15章 アフリカ地域研究の今後
第16章 アフリカ地域研究と国際協力――在来農業と地域発展
第17章 アフリカ的発展とアフリカ型農村開発への視点とアプローチ
第18章 アフリカ型農村開発の諸相――地域研究と開発実践の架橋

解題――生態人類学から農村開発への足跡 伊谷樹一

初出一覧
参考文献
索  引
 固有名詞
 動・植物
 民  族
 事  項


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