国文学概論
価格:19,800円 (消費税:1,800円)
ISBN978-4-8140-0189-7 C3091
奥付の初版発行年月:2019年06月 / 発売日:2019年07月上旬
歴史に残る文学作品は何故その時、その場に成立したのか、どういう様式(表現・文体・構造等)を持ち、どのように伝達・受容・評価されてきたのか。読本(近世小説)研究の第一人者として知られる著者が上代から幕末までの膨大な古典を徹底的に読み、それぞれの文学的価値に鋭く切り込む。
濱田 啓介(ハマダ ケイスケ)
京都大学博士(文学)、京都大学名誉教授。
1930年東京に生まれる。京都大学文学部卒業、大阪府立夕陽丘高等学校教諭・同北野高等学校教諭、鹿児島大学教育学部講師・助教授、京都大学教養部助教授・教授、同総合人間学部教授を経て、1994年京都大学名誉教授。同年花園大学文学部教授(2001年3月まで)。
主要著作:
『馬琴評答集解題』(天理図書館善本叢書 和書之部第十二巻)、天理大学出版部、1973年3月。
『洒落本大成』(共編)、中央公論社、1978年9月〜1988年11月。
『近世小説・営為と様式に関する私見』、京都大学学術出版会、1993年12月。
※角川源義賞、1994年12月受賞。
『異素六帖 古今俄選 粋宇瑠璃 田舎芝居』(新日本古典文学大系82)(校注・共著)、岩波書店、1998年2月。
『南総里見八犬伝』1〜12(新潮日本古典集成別巻)(校訂・解説)、新潮社、2003年5月〜2004年4月。
『近世文学・伝達と様式に関する私見』、京都大学学術出版会、2010年12月。
目次
はしがき
凡例
参考文献について
序章 伝達論の立場から
1 国文学とは何か
2 国文学の文学的価値総論
第一部 上代文学
Ⅰ 歴史地理
1 『古事記』
2 『日本書紀』
3 記紀歌謡
4 風土記
Ⅱ 詩歌
1 『万葉集』
2 『懐風藻』
Ⅲ 祝詞
第二部 王朝文学
Ⅰ 和歌
1 和歌製作の場
2 『古今和歌集』
3 勅撰集
4 『千載和歌集』
5 私家集(中古私家集)
Ⅱ 日記・随筆
1 『土佐日記』
2 『蜻蛉日記』
3 『和泉式部日記』
4 『紫式部日記』
5 王朝後期の女性日記
6 『枕草子』
Ⅲ 王朝物語
1 『竹取物語』
2 『伊勢物語』
3 歌物語
4 『落窪物語』
5 『宇津保物語』
6 『源氏物語』
7 『源氏物語』以後の物語
8 『狭衣物語』
9 散佚物語と『堤中納言物語』
10 歴史物語
Ⅳ 平安朝の漢詩文
1 勅撰詩集
2 平安朝前期の詩文
3 『本朝文粋』まで
4 平安朝後期の詩文
Ⅴ 平安朝の説話集
1 説話集――説話と説話の記述・集成
2 仏教説話集
3 『今昔物語集』
4 非仏教系説話集――『江談抄』その他
Ⅵ 王朝期の歌謡
1 神楽歌・催馬楽
2 今様
第三部 中世前期文学
Ⅰ 和歌
1 『新古今和歌集』
2 『山家集』と西行
3 勅撰集(第九―一七代)と歌人
4 歌学と歌道
Ⅱ 物語
1 擬古物語概観
2 擬古物語の代表作・物語評論
Ⅲ 日記・回想・随筆
1 回想・日記
2 『とはずがたり』
3 紀行
4 『方丈記』と鴨長明
5 『徒然草』と兼好
Ⅳ 説話文学
1 『宇治拾遺物語』
2 鎌倉前期の説話集
3 『沙石集』と無住
Ⅴ 歴史文学
1 歴史物語
2 『平家物語』
3 軍記物語
4 『曾我物語』
第四部 中世後期文学
Ⅰ 和歌・連歌
1 中世後期和歌
2 連歌
Ⅱ 歴史文学
1 『太平記』
2 『義経記』――判官伝説の集成
Ⅲ 禅林文学
1 法語
2 五山文学
Ⅳ 絵巻・草子
1 御伽草子
2 異類合戦譚と職人歌合
Ⅴ 芸能
1 能
2 狂言
3 舞曲――幸若舞曲
4 歌謡
第五部 近世前期文学
Ⅰ 歌道・国学
1 近世前期の歌道
2 出版の時代と国学
3 契沖
Ⅱ 仮名草子
1 前期仮名草子㈠――笑いの文学
2 前期仮名草子㈡――恋物語
3 前期から後期へ――随想・人生観
4 思想・啓蒙の作品
5 歴史物語
6 浅井了意とその先駆
Ⅲ 俳諧
1 初期俳諧・貞門
2 宗因と談林
3 芭蕉
4 元禄期の俳人
5 享保期の俳諧
Ⅳ 浄瑠璃・歌舞伎
1 説経
2 古浄瑠璃・金平本
3 近松の浄瑠璃
4 浄瑠璃の最盛期
5 歌浄瑠璃
6 元禄歌舞伎
7 歌舞伎の資料・劇書・興行
Ⅴ 浮世草子
1 西鶴・浮世草子の成立
2 浮世草子の流行
第六部 近世中期文学
Ⅰ 漢詩文
1 近世前期の詩文
2 近世中期の詩文㈠――古文辞派の成立
3 近世中期の詩文㈡――古文辞派の遠近
Ⅱ 歌・国学
1 『国歌八論』
2 賀茂真淵
3 本居宣長
Ⅲ 俳諧
1 中興期の俳諧――芭蕉復興の運動
2 蕪村
3 中興期の俳人
4 前句付・雑俳
Ⅳ 読本
1 実録
2 長編勧化物語
3 談義本
4 戯作・前期読本
5 上田秋成
6 前期読本の諸家作品
Ⅴ 洒落本
1 洒落本の定型成立まで
2 定型の洒落本
3 定型外の洒落本
4 上方の洒落本――西村定雅・廬橘庵
5 山東京伝の洒落本
6 後期洒落本
Ⅵ 黄表紙
1 黄表紙の成立
2 黄表紙の作者と作品
Ⅶ パロディ・笑いの文学
1 前期狂歌
2 天明狂歌
3 狂詩狂文
4 咄本
5 笑いの芸能
6 見立絵本
7 書型のパロディ
Ⅷ 歌舞伎・浄瑠璃
1 近世中期の歌舞伎
2 歌舞伎俳優
3 後期の浄瑠璃
4 歌謡――潮来節・都々逸・諸国唱歌
第七部 近世後期文学
Ⅰ 漢詩文
1 江戸の詩人・詩社
2 京都の詩壇
3 大阪・地方の詩壇
4 幕末期の詩人――大沼枕山・藤井竹外ほか
Ⅱ 和歌
1 江戸派歌人
2 京都の歌人
3 各地の歌人――宣長・良寛
4 幕末期の歌人
5 近世の長歌
Ⅲ 国学
1 図書の集積
2 国語学
3 古典研究
4 幕末の国粋思想
Ⅳ 随筆・紀行
1 随筆・考証
2 家記・自伝――『折たく柴の記』『吾仏乃記』
3 紀行文学
Ⅴ 俳諧
1 寛政・化政期の俳人たち
2 俳人一茶
Ⅵ 読本(半紙本小説)
1 後期読本の成立
2 山東京伝の読本
3 曲亭馬琴の読本
4 後期読本の作者と作品
Ⅶ 人情本・滑稽本(中本文芸)
1 人情本
2 滑稽本
Ⅷ 合巻
1 合巻の前期
2 合巻の後期・長編合巻
Ⅸ 歌舞伎
1 近世後期の歌舞伎作者――鶴屋南北とその門流
2 河竹黙阿弥
終章 近代文学の後ろ姿
1 言語
2 書形区分の消失
3 人間把握
4 世界の中で
5 創作主体
6 多量
7 大衆への効力
国文学史年表
後記
索引