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景観から風土と文化を読み解く

情報とフィールド科学6
景観から風土と文化を読み解く

A5判 72ページ
価格:770円 (消費税:70円)
ISBN978-4-8140-0228-3 C0325
奥付の初版発行年月:2019年03月 / 発売日:2019年04月上旬
発行:京都大学学術出版会  
発売:京都大学学術出版会
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在庫あり

内容紹介

農の営みが創り出す景観には,気候や土壌といった自然条件に合わせた技術だけではない,社会関係や経済制度といった地域の文化要素が埋め込まれている。耕作方法,植物・作物の分布状態,土地の傾斜や水の流れ方など,風景の細部をどう観察するのか,景観から得られる情報と,現地での聞き取りや歴史文献からの情報をどう組み合わせるのか。臨地調査における基礎的な視点と方法を,日本の地域研究を代表するフィールドノートから具体的に学ぶ。

著者プロフィール

柳澤 雅之(ヤナギサワ マサユキ)

1967年奈良県生まれ。京都大学農学研究科博士課程修了。博士(農学)。1999年京都大学東南アジア研究所助手,2006年京都大学地域研究統合情報センター助教授,同准教授,2017年から京都大学東南アジア地域研究研究所准教授。専門はベトナムを中心とする東南アジア地域研究。主な関心は東南アジアの生態史,ベトナム農村発展史,地域情報学。
主な著作に,『衝突と変奏のジャスティス』(相関地域研究3,青弓社,2016年,共編著),「東南アジア大陸部の生態史」(山本信人監修,井上真編『東南アジア地域研究入門1環境』慶應義塾大学出版会,2017年所収),「地域情報学の読み解き─発見のツールとしての時空間表示とテキスト分析」(『地域研究』第16巻第2号,2016年所収,共著),“Forest Transition in Vietnam: A Case Study of Northern Mountain Region”(Forest Policy and Economics 76, 2017,共著)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

本書のねらい

第1章 景観観察の基本的な考え方
見たものを記録する/景観を言語化する二つのプロセス/景観から情報を見出すプロセス/事前の関心事とフィールドワーク/自分のフィルター/自分自身の関心事とは/表現するためのプロセス/特定の事物の観察から関連する事物の観察へ/特定の事物との連関を見る/連関を総合的に見る/ばらばらな事物をつなぐ/部分と全体/全体を理解するとは/分析主体の近代科学/世界はひとつのシステムでできているのか/誰が壮大な研究を行うのか/景観の全体を読み解く

第2章 自然の精緻な利用を読み解く
ズームインとズームアウト/ベトナム農村での苗取りの景観の読み解き/ベトナムの水田景観の読み解き/読み解きはひとつではない/ベトナム農村の景観観察/ベトナム農村景観の読み解き①屋敷地と樹木/ベトナム農村景観の読み解き②畑地と野菜/ベトナム農村景観の読み解き③低地と水田/景観観察での読み解きの直接的な効用/景観観察での読み解きの利用/村の景観観察から地域の理解へ/海岸沿いの農村景観/景観に共通点を見出す/モデルと地域区分図/地域区分図の作成と現地調査/ベトナム紅河デルタ地域区分図の作成/東南アジアの農業と地形/人と自然の関わりを読み解く/自然の精緻な利用を読み解く意義

第3章  社会の制度と文化の歴史を読み解く
インドネシア・スラウェシの農村景観から/さまざまな資料から景観を読み解く/フィールドノートの利用/高谷好一フィールドノート/インドネシア・スラウェシの土地利用の変化を読む/一九八〇年の農村景観/現地での農村景観の観察と聞き取り/農村景観の読み解き/人間活動の読み解き/東南アジアの歴史と農村景観/変化する農村景観/地域の農耕文化からグローバルな営農システムへ

おわりに  景観観察から日本と世界を考えてみる


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