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アジア家族の変容東アジアは「儒教社会」か?

東アジアは「儒教社会」か? アジア家族の変容

A5判 386ページ
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-8140-0455-3 C3022
奥付の初版発行年月:2022年12月 / 発売日:2022年12月中旬
発行:京都大学学術出版会  
発売:京都大学学術出版会
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内容紹介

「儒教資本主義」「儒教主義的福祉国家」——西洋中心主義への対抗として個人主義(自由主義)に対する家族主義の見直しとして,いま「儒教」が注目されている。しかし,そもそも儒教が説くとされる家族主義とは何なのか?本当に東アジアとは「儒教社会」なのか?東アジアが大きく変動した近世から近代の,制度,法,家族,実践に鋭く焦点を当て,中国,日本,朝鮮,台湾,琉球そしてベトナムの,多様な「家族主義」とジェンダー構造,その変容に迫ることで,再構築と脱再構築を繰り返してきた「儒教」と私たちの「家族」の未来を展望する。

著者プロフィール

小浜 正子(コハマ マサコ)

日本大学文理学部教授。(公財)東洋文庫研究員。お茶の水女子大学人間文化研究科博士課程単位取得退学、博士(人文科学)。専門は中国近現代史、中国ジェンダー史。鳴門教育大学助教授を経て現職。主な著書に、『一人っ子政策と中国社会』(京都大学学術出版会、2020年)、『東アジアの家族とセクシュアリティ』(共編著、京都大学学術出版会、2022年)、『中国ジェンダー史研究入門』(共編著、京都大学学術出版会、2018年)など。

落合 恵美子(オチアイ エミコ)

京都大学文学研究科教授、京都大学アジア研究教育ユニット長、京都大学文学研究科アジア親密圏/公共圏教育研究センター長。東京大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。専門は家族社会学、ジェンダー論、歴史社会学。国際日本文化研究センター研究部助教授等を経て現職。本書と関連する編著書に、『リーディングス アジアの家族と親密圏』(全3巻、共編著、有斐閣、2022年)、『徳川日本の家族と地域性―歴史人口学との対話』(編著、ミネルヴァ書房、2015年)、Asian Families and Intimacies (全4巻、共編著、Sage、2021年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 東アジアの家族主義を歴史化する
[小浜 正子]
1 東アジアの「家族主義」と「儒教社会」
2 「儒教」と「儒教社会」
3 東アジアの「近世」と儒教
4 東アジア各地の近世家族
5 東アジアの近現代—植民地的近代における「ナショナルな伝統」としての儒教?
6 現代東アジアの家族の変容

第Ⅰ部 多様な儒教化―東アジアの近世

第1章 家にかかわる儒教の教義について
[小島 毅]
1 儒教とは何か
2 男女有別
3 愛敬事親
4 三年之喪
5 敬祀祖宗
6 同姓不婚=夫婦別姓

第2章 儒教の「普及」と近世中国社会—家族倫理と家礼の変容
[佐々木 愛]
1 中国における儒教の「普及」の特徴とその困難さについて
2 科挙と儀礼
3 旌表
4 競争社会の中での「儒教の普及」

第3章 朝鮮の親族制度に対する儒教の影響
—マルティナ・ドイヒラーによる再考察
[マルティナ・ドイヒラー/岩坂 彰[訳]]
1 高麗王朝の社会
2 変化の舞台
3 父系原理の移植
4 父系原理に鑑みた相続の慣習
5 変化の障害としての女性
6 朝鮮時代後期の展開—リネージの出現
7 リネージと門中
8 結論

第4章 近世日本の刑法と武士道儒教—忠孝を中心に
[牧田 勲]
1 忠孝背反状況をめぐる言説
2 忠孝の奨励
3 親子訴訟
4 逆罪
5 縁座
6 敵討
7 「武士道儒教」—「武士道の代弁者」として解釈された儒教

第5章 儒教思想の日本的受容と職分観念—性別役割に注目して
[吉田 ゆり子]
1 福沢諭吉の「女大学」批判
2 「女大学」の枠組み
3 『六諭衍義大意』の枠組み
4 中江藤樹『翁問答』
5 鈴木正三『四民日用』
6 「家業」という媒介項

第6章 姓の継承・創設—近世琉球の士の制度と、近代沖縄のシジタダシ
[武井 基晃]
1 近世琉球の姓
2 家譜の制度・法制と儒教教育の概要
3 首里士・那覇士から久米村士への入籍—1600年代の事例
4 法整備後の柔軟な対応—1700年代~1830年代の4代連続長兄以外の継承例
5 新参士への身上り—特殊技能と献金
6 シジタダシ(筋正し)—近代以降における過去の系譜の修正
7 家譜研究の意義と可能性

第7章 「儒教」の重層、「近世」の重層
—近世北部ベトナムにおける親族集団と村落社会
[桃木 至朗]
1 ベトナム史に関する前置き・予備知識
2 近世紅河デルタ農村と親族集団
3 旧百穀社と近隣村落に見るゾンホと村の歴史性
4 婚姻・ジェンダーと土地所有
5 「植民地的近世化」を含む「伝統」の構築

第8章 東アジアの養子縁組文書の比較—儒教的宗族原理の矛盾
[官 文娜]
1 儒家的宗族原理
2 中、日社会における養子文書の比較
3 台湾における家族と宗族原理
4 日中の養子の違いと台湾での現地化した養子

第Ⅱ部 脱/再構築される儒教―近現代アジアの家族の変容

第9章 日本の民俗慣行と儒教—支配・村・家の変化
[森本 一彦]
1 日本における儒教
2 家族の民俗慣行
3 先祖祭祀の父系化
4 長幼の序
5 近世の支配体制と共同体

第10章 朝鮮大家族論を再考する
—朝鮮時代における戸の構成と家長権を通じた考察
[鄭 智泳/姜 民護[訳]] 
1 あいまいな近代的知識としての「朝鮮大家族論」
2 「朝鮮大家族論」の内容と歴史—植民主義の遺産
3 朝鮮時代における家戸の構成と戸主・家長の統率範囲
4 大家族制の言説と近代知識体系の朝鮮ファンタジー

第11章 娘たちがつくった祠堂—現代ベトナム村落における儒教と逸脱
[加藤 敦典]
1 傍らで死ぬ人たち
2 娘たちによる祭祀
3 ベトナムにおける儒教的祖先祭祀
4 娘たちがつくった「家族の祠堂」
5 寓居民
6 娘による祭祀という実践の随意性
7 逸脱と儒教社会
8 儒教的実践としての逸脱

第12章 娘たちの反乱—現代韓国社会における女性と宗中財産
[文 玉杓/伊藤 理子[訳]]
1 比較の視点から見た韓国の伝統的な制度
2 日本の植民地時代の遺産
3 韓国における「娘たちの反乱」訴訟の展開
4 判決への抵抗
5 結語—衰退する父系イデオロギー

第13章 墓のない故郷へ—現代中国における「家」の機能
[王 小林]
1 「平墳運動」とは何か
2 「平墳運動」が語るもの
3 崩壊する祭祀空間
4 「祖先」を祭る家から「指導者」を崇める家へ
5 近代化を推進するかつてない「儒教国家」の予感

終 章 親族構造・文明化・近代化—世界的視野における「儒教社会」
[落合 恵美子]
1 「儒教」という問い—東アジアのアイデンティティと近代家族論
2 親族構造と文明化
3 「広義の東南アジア」の文明化
4 「儒教化」という文明化
5 「近代化」という文明化
6 問いへの答え

索 引
執筆者紹介


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