日本中世社会の形成と王権
価格:10,450円 (消費税:950円)
ISBN978-4-8158-0635-4 C3021
奥付の初版発行年月:2010年02月
新たな時代たる中世を形づくった巨大な力とは? 唐帝国の衰滅を機に、10世紀から始まる中世社会・王権の形成過程を、政治・宗教文化・社会経済にわたって動態的に描き出し、中世という時代の本質を捉えた画期的な全体史。手堅い史料の読みから数々の創見がほとばしり、歴史像を転換する。
目次
序 章 本書の目的と視角
第一部 新たな社会の形成と中世王権
第一章 中世王権の創出とその正統性 —— 中世天皇の特質
はじめに
第一節 天皇の変化と承平・天慶の乱
第二節 天皇を権威化する神々
第三節 長元四年の斎王託宣事件再考
第四節 大日如来・アマテラス・天皇 —— 王権と密教
第五節 中世日本紀の形成 —— 神統譜をめぐって
第六節 神国観と三国観 —— 中世日本の世界観
第七節 中世人の国土観と世界認識
第八節 アマテラスの変貌と伊勢神宮 —— 天神から地神へ
第九節 一国平均役 —— 伊勢神宮の民衆的基盤の形成
おわりに
第二章 藤原道長と院政
はじめに
第一節 藤原道長の政治 —— 摂関家の形成
第二節 法成寺の創建と「権者」道長
第三節 院政の成立
おわりに —— 中世都市京都の形成と権門体制の特質
第三章 中世宗教支配秩序の形成
はじめに
第一節 中世神祇秩序と中世神観念の形成
第二節 王権による支配秩序の形成 —— 新たな神仏習合の展開
第三節 受領の活動と国内宗教秩序の形成
おわりに
第四章 大規模造営の時代
はじめに
第一節 〈火災の時代〉 —— 〈大規模造営の時代〉の幕開け
第二節 大規模造営を支えた実務組織
第三節 大規模造営での工人の活動
第四節 造営方式の変遷と社会的意義
第五節 大規模造営の盛行 —— 院政期
おわりに —— 院政期造営事業の社会的意義と〈大規模造営の時代〉の終焉
第二部 中世王権と宗教
第一章 日本中世の神観念と国土観
はじめに
第一節 勝覚筆『護持僧作法』の世界 —— 密教僧による世界観
第二節 法会に来臨する神々 —— 顕教法会の世界観
おわりに —— 神国思想への展望
【史料翻刻】 『護持僧作法』 (随心院聖教 第一七箱二号)
第二章 中世国家と仏教
はじめに
第一節 平安初期の顕教
第二節 摂関期の仏教
第三節 院政期仏教秩序の形成と展開
第四節 顕密体制の終焉
おわりに —— 〈中世〉を考える
第三章 法勝寺創建の歴史的意義 —— 浄土信仰を中心に
はじめに
第一節 白河地域の景観とその特質
第二節 浄土信仰・葬送・追善と法勝寺
むすびにかえて —— 法勝寺の歴史的位置
第四章 〈王〉の死と葬送 —— 穢と学侶・聖・禅衆
はじめに
第一節 鳥羽院の臨終と葬送
第二節 「臨終行儀」と善知識 —— 遁世僧の活動
第三節 葬送と穢観
第四節 山陵・仏堂と穢
第五節 墓所と三昧堂
第六節 御願寺と山陵 —— 陵寺の変化
第七節 法華堂と法華懺法
おわりに —— 禅律僧と三昧・三昧僧
第五章 中世神話の創造 —— 長谷寺縁起と南都世界
はじめに
第一節 長谷寺の本寺をめぐって
第二節 もうひとつの長谷寺信仰 —— 大念仏衆の活動をめぐって
第三節 諸縁起類の生成
第四節 中世南都世界の形成と長谷寺
おわりに
第三部 中世王権の財政構造
第一章 経費調達制度の形成と展開
はじめに
第一節 一国平均役の確立過程
第二節 地下官人の成功
第三節 受領の成功
第二章 造営経費の調達
はじめに
第一節 内裏・里内裏の造営
第二節 御願寺の造営
第三節 経費調達よりみた平安後期国家財政
第三章 庄園制と知行国制
はじめに
第一節 中世庄園制の形成過程 —— 〈立庄〉再考
第二節 国司制度の変質と知行国制の展開
第四章 中世王権・国家の形成と財政構造
はじめに
第一節 一国平均役 —— 中世王権の確立過程
第二節 在地社会の変容と庄園制・知行国制の形成
第三節 私的奉仕の制度化 —— 道長から院権力へ
終 章