ダム湖・ダム河川の生態系と管理 日本における特性・動態・評価
価格:6,160円 (消費税:560円)
ISBN978-4-8158-0640-8 C3045
奥付の初版発行年月:2010年06月
陸水学・生態学・土木工学・環境科学などを総合した視点から、下流河川や周辺植生を含めた環境にダムが与える影響をトータルに把握し、その緩和策を探る初の成書。新規ダム建設の可否の議論のためにも、また既存ダムの運用やダム河川の管理のためにも、有用な知見を与えよう。
民主党政権誕生後、ダム建設に関する議論が激しさを増しています。しかし、新規ダム建設に対しては、しばしば政治・経済的な議論から感情的な言葉の応酬に陥ってしまうことが多く、ダムが環境へ与える影響を科学的に踏まえた冷静でバランスのとれた議論は、これまできわめて少なかったと言えます。
本書では、ダム貯水池だけでなく、湖周辺の生態系、さらには河川下流への環境影響をも含めて、総合的に記述しています。ダム建設・運用の技術的な知見を得ることに加えて、ダムと自然環境とのよりよい関係を科学的に考察するうえで必読の一冊です。
目次
序 日本のダム湖とダム河川
Ⅰ ダム湖内の物質循環
1 ダム湖における温室効果気体の生成・循環過程
2 ダム湖内の栄養塩と一次生産
3 ダム湖内のアルカリ性ホスファターゼ活性の分布と変動
4 ダム湖に出現するプランクトンの動態
Ⅱ ダム湖周辺の生態系
5 試験湛水ならびにダム運用後におけるダム湖周辺の植生の動態
6 ダム湖周辺植生の保全・回復とモニタリング
Ⅲ ダムによる生物の移動分断
7 ダムによる河川昆虫の個体群分断
8 ダムの分断による淡水魚類の多様性低下
9 底面穴あきダムの生態学的可能性
10 渓流魚のための河川管理 —–繁殖促進と在来個体群保全—–
Ⅳ ダムの下流への影響
11 河川・海岸の土砂動態と土砂管理
12 河川の有機物動態とダムの関係
13 ダム下流河川における栄養塩・一次生産者の様相
14 河床地形の生態機能とダム影響の軽減対策のあり方
15 ダム下流河川の植生の動態