地方からの産業革命 日本における企業勃興の原動力
価格:6,160円 (消費税:560円)
ISBN978-4-8158-0645-3 C3033
奥付の初版発行年月:2010年09月
日本史上でも稀有な「地方の時代」はなぜ実現したか。産業革命の原動力となった、地方からの企業勃興のメカニズムを鮮やかに示すとともに、その後の都市の時代への転換の契機をも掴み出す。斬新な視野で近代日本の工業化過程を描き直す産業革命研究の到達点にして、今日の地方再生の手がかりをも指し示す注目の成果。
目次
序 章 地方からの産業革命
1 産業革命・再考 —— 問題の所在
2 経済主体と地域経済 —— 課題と方法
3 本書の内容 —— 対象と構成
第Ⅰ部 産業革命のなかの地域経済
第1章 日本における産業革命の前提 —— 経営資源と工業化イデオロギー
はじめに
1 産業革命の初期条件
2 工業化イデオロギーの論理構造 —— 富国論をめぐる中央・地方
小 括
第2章 企業勃興の地域構造 —— 分散と集中
はじめに
1 産業革命期の日本経済
2 第一次企業勃興の地域構造
3 企業勃興の展開
小 括
第Ⅱ部 企業勃興の原動力 —— 「地方の時代」とその担い手
第3章 地方工業化の始動と地方官 —— 日本鉄道の東北延線と岩手県
はじめに
1 日本鉄道会社の路線延長と岩手県
2 岩手県における日本鉄道速成運動の展開
3 速成運動の結果と意義
小 括
第4章 地方企業家と企業勃興 —— 福岡県三池地方の事例
はじめに
1 地方の企業勃興
2 地方企業家と企業勃興 —— 三池地方の事例
3 地方企業の展開(Ⅰ) —— 三池土木会社の経営展開
4 地方企業の展開(Ⅱ) —— 三池紡績と地方企業家
小 括
第5章 地方資産家の投資行動 —— 大阪府泉南郡廣海池の事例
はじめに
1 泉南郡の産業構造と地方資産家
2 明治前期廣海家の資産形成と投資行動
3 泉南郡における企業勃興の発生と廣海家
4 日清戦後期廣海家の収益基盤と投資行動
5 日露戦後期における廣海家の投資行動と地方企業
小 括
第6章 「地方財閥」の誕生 —— 福岡県筑豊地方安川・松本家の事例
はじめに
1 筑豊地方における炭鉱業の発達と安川・松本家
2 安川敬一郎の事業活動と資産形成
3 事業再編と内部資本市場
4 「地方財閥」への道
小 括
第Ⅲ部 都市工業化の基盤形成 —— 「都市の時代」の幕開け
第7章 電力業の勃興と都市工業化 —— 東京の事例
はじめに
1 電気事業の生成と東京電灯
2 長距離高圧送電と大容量水力発電所
3 電気供給システムの形成
4 工場電化の進展
小 括
第8章 電力供給システムの形成と都市周辺地域 —— 京浜地方の事例
はじめに
1 日露戦後の電気事業と京浜地方
2 横浜電気の成立と横浜市場
3 富士瓦斯紡績の電力供給システムと京浜地方
小 括
終 章 地域経済の活性化と構造変化
1 地域経済活性化のメカニズム —— 経済主体・ネットワーク・工業化イデオロギー
2 産業革命期における地域経済構造の変化