「就社」社会の誕生 ホワイトカラーからブルーカラーへ
価格:8,140円 (消費税:740円)
ISBN978-4-8158-0654-5 C3036
奥付の初版発行年月:2011年01月
「サラリーマン」はどのようにして生まれたのか? ——
新卒就職・終身雇用を常識としてきた「就社」社会・日本。製造業大企業労働者のキャリアと雇用関係の変遷を辿り、新規学卒市場の制度化過程を検討することで、その成り立ちを解明する。学生の就職活動のあり方が問い直され日本的雇用慣行が終焉を迎えつつあるかにみえる今、必読の書。
目次
序 章
1 問題の設定
2 「ホワイトカラーからブルーカラーへ」
3 研究史の検討
4 本書の構成
第1章 歴史的前提
—— 産業化と人材形成
はじめに
Ⅰ 大工場労働者と熟練形成
1 問題の設定
2 職歴の類型化
3 入社前の職歴と採用職種・賃金
4 配置転換
5 結 論
Ⅱ 職員層の形成
1 問題の設定
2 分析対象
3 キャリアの2類型 —— 技術者と事務職員
4 技術者のキャリア形成
5 事務職員のキャリア形成
6 結 論
第2章 「制度化」の起源
—— 戦間期の企業・学校とホワイトカラー市場
Ⅰ 新規学卒採用の「制度化」
1 問題の設定
2 分析対象のプロフィール
3 新規学卒採用の実態 —— 誰が対象となったのか?
4 学校とのリンケージ
5 研究員制度と新卒採用方式の改革
6 停滞から「制度化」へ
7 結 論
Ⅱ 学校による就職斡旋とその論理
1 問題の設定
2 学校・企業と「知識階級」の就職 —— 中央職業紹介事務局調査の検討
3 学校と就職斡旋 —— 鶴岡工業学校のケース
4 結 論
第3章 「日本的」企業システムの形成
—— 戦争と占領下の構造変化
Ⅰ 「日本的」雇用関係の形成 —— 就業規則・賃金・「従業員」
1 問題の設定
2 戦間期の雇用関係
3 戦時統制の理念と現実
4 「従業員組合」と身分撤廃闘争
5 結 論
Ⅱ 「企業民主化」 —— 財界革新派の企業システム改革構想
1 問題の設定
2 戦間期の企業システム
3 「経済新体制」と財界
4 経済同友会の結成
5 労働運動の高揚と生産管理闘争
6 労使協調の模索
7 結論 —— 「企業民主化」論の歴史的意義
第4章 「企業封鎖的」労働市場の実態
—— 高度成長前夜の大工場労働者と労働市場
1 問題の設定
2 「京浜工業地帯調査(従業員個人調査)」
3 壮年労働者の職業経歴 —— 40~49歳層の分析
4 戦後の採用管理と労働市場 —— 1946年以後入社者の分析
5 結 論
第5章 「間断のない移動」のシステム
—— 戦後新規学卒市場の制度化過程
Ⅰ 中卒就職の制度化 —— 職業安定行政の展開と広域紹介
1 問題の設定
2 国営前の少年職業紹介と広域紹介
3 「統制」から「調整」へ —— 戦時から戦後への流れ
4 新規中卒者の職業紹介 —— 発展のプロセス
5 1950年代の需給調整 —— 鹿児島県のケース
6 労働力不足経済への転換と「強力な需給調整」
7 結論 —— 「強力な需給調整」の意義とその行方
Ⅱ 中卒から高卒へ —— 定期採用システムの確立
1 問題の設定
2 マクロ分析
3 中卒者の職業紹介
4 高卒者の職業紹介
5 定期採用の形成
6 結 論
終 章
1 現代日本社会の形成
2 「日本的」制度の特質と歴史的背景
3 結び