大恐慌下の中国 市場・国家・世界経済
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-0662-0 C3033
奥付の初版発行年月:2011年02月
未曾有の危機は中国に何をもたらしたのか? 看過されてきた大恐慌の中国への影響を初めて体系的に叙述、銀本位制の特質と市場・政府の役割を捉え直し、中華帝国から現代中国への大きな転換を浮き彫りにする。近代の中国経済をグローバル・ヒストリーのなかに位置づけた画期的成果。
目次
序 章 近代中国の経済システムと世界経済
1. 銀本位制と中国 —— 国際通貨システムの影響
2. 共有された期待と金融恐慌
3. 市場、国家、通貨システム
4. 中国と世界経済の連関 —— 危機を越えて
5. 本書の構成
第Ⅰ部 インフレと自由放任の時代
—— 1931年以前の経済動向
第1章 銀本位制
—— 国際通貨システムにおける中国
1. 前近代の銀流通と中華帝国の通貨システム
2. 20世紀初頭中国の通貨制度
3. 通貨としての銀、商品としての銀
4. 銀取引と銀行 —— 平価と為替レートとの関係
5. 国際銀価変動とその影響
小 結
第2章 工業化へ
—— 揚子江下流デルタの繊維産業
1. 綿紡績業 —— 国内市場向け産業
2. 生糸製糸業 —— 輸出産業
小 結
第3章 企業借款
—— 製造業の資金調達問題
1. 創業資金の調達 —— 企業家の第一関門
2. 銀行貸付とその条件
3. 借款と企業経営
小 結
第Ⅱ部 大恐慌の時代、1931-35年
—— 政治経済の変容
第4章 農村恐慌
1. 揚子江下流域小農経済のダイナミズム
2. 農産物価格の下落
3. 農村金融の崩壊
4. 都市の問題としての農村崩壊
第5章 製造業の経営破綻
1. 生糸製糸業の危機
2. 綿紡績業の危機
小 結
第6章 上海金融恐慌 1934-35年
1. 都市繁栄の幻想 —— 1929年10月-31年8月
2. 遅すぎた不良債権処理 —— 1931年9月-34年6月
3. 上海金融恐慌 —— 1934年7月-35年11月
小 結
第Ⅲ部 統治とその限界
—— 南京国民政府経済政策の再検討
第7章 危機への対応
—— 1935年11月 幣制改革
1. 幣制改革の外交的経緯
2. 1935年11月4日 幣制改革
小 結
第8章 景気回復と財政規律
1. 物価動向
2. 為替レートの安定と対外貿易の展開
3. 華僑送金と外国投資
4. 財政規律をめぐる問題
小 結
第9章 経済復興の模索
—— 政策の目的・手段・成果
1. 製糸業の復興
2. 綿紡績業の復興
3. 農村金融の再建
小 結
終 章 大恐慌は何をもたらしたのか
—— 現代中国への展望
1. 銀本位制と中国の工業化
2. 通貨制度の政治経済
3. 中国の国家と世界経済