日本の法整備支援の15年にわたる経験と、アジア諸国法研究や比較法学の成果をもとに、被援助国の人々により役立つ制度・人づくりのシステム構築をめざす法整備支援学の挑戦を描く。日本の法整備支援をリードしてきた著者による、新たな知的国際支援の創造に向けた希望のメッセージ。
目次
序 章 比較法研究と法整備支援
1 法整備支援が比較法研究に問いかけるもの
2 法整備支援研究からみた日本の比較法研究の軌跡
3 日本の比較法学と法整備支援研究
第1章 「法整備支援」とは何か? それをどう考えるか?
—— 「近代日本の範」 と今日の課題
1 「法整備支援」 の諸形態
2 政府開発援助 (ODA) としての法整備支援
3 法整備支援をめぐる日本の諸議論
4 法整備支援の理論的課題
5 小 括
第2章 法整備支援の軌跡と展開
—— 世界の動向と日本の動向
1 世界の動向
2 日本の動向
第3章 法整備支援学をめぐる基本的諸問題
1 法整備支援学とは
2 法整備支援のなかで明らかになってきたこと
3 法整備支援をめぐる諸議論について
4 援助と開発をめぐって
5 法の移植をめぐって
6 大学における法整備支援と法学教育
第4章 法整備支援戦略の研究
1 旧ODA大綱と法整備支援
2 新ODA大綱と法整備支援 —— 法整備支援の理念
3 戦略としての人材育成
4 法整備支援と戦略論 —— 政策提言
第5章 ベトナムと法整備支援
—— 事例研究として
1 1986年ドイモイと1992年憲法体制
2 2001年憲法改正と法整備支援
3 ベトナムにおける 「近代経験」 と法整備支援
第6章 法整備支援論とアジア立憲主義研究
1 第三世界と立憲主義
2 アジア的人権論の論理と構造
終 章 法整備支援はアジア諸国法研究をどう変えていくか
1 法整備支援とアジア立憲主義の変容
2 法整備支援をめぐる実際上、学問上の新しい課題