アンチモダン 反近代の精神史 Antoine COMPAGNON, LES ANTIMODERNES: de Joseph de Maistre à Roland Barthes, Éditions Gallimard, 2005.
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-0684-2 C3010
奥付の初版発行年月:2012年06月
フランス革命を契機に現れ出た 〈アンチモダン〉 の系譜をたどり、数多くの近代人を魅了したその思想の核心に迫る。反革命、反啓蒙思想、悲観主義、原罪、崇高、罵詈雑言といった多面的な相貌の本質を明らかにするとともに、ド・メーストルからバルトにいたるもう一つの近代精神史に光をあてる。
アントワーヌ・コンパニョン(コンパニョン,A.)
1950年、ベルギー生まれ。コレージュ・ド・フランス教授、コロンビア大学教授。本書『アンチモダン』でフランス学士院賞を受賞。他の邦訳に、『第二の手、または引用の作業』(今井勉訳、水声社、2010年)、『近代芸術の五つのパラドックス』(中地義和訳、水声社、1999年)、『文学をめぐる理論と常識』(中地義和・吉川一義訳、岩波書店、2007年)がある。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序 自由な近代人
第Ⅰ部 思 想
第1章 反 革 命
アンチモダンか、コントルモダンか / アンチモダンと反動派 /反対の革命か、革命の反対か / 「人間精神の恥」 / 知性の寡頭政治
第2章 反啓蒙思想
バーク、現実主義の使徒 / 経験的政治学とメタ政治学 / 「薄暗い標識灯」
第3章 悲観主義
個人に抗する社会 / 退廃への忍従 / 時代の人となること /あるアンチモダンの終焉
第4章 原 罪
罰と再生 / 継続される原罪 / すべての人間が罪深い / 伝染と苦痛の可換性 /王 の 死 / ド・メーストル的ショーペンハウエル / 犠牲者は死刑執行人である
第5章 崇 高
純然たる不純さ / 死刑執行人のメタ政治学 / ロマン主義と反動 /ダンディ / 崇高に対する憎悪
第6章 罵詈雑言
ある文体の系譜学 / 撞着語法と倒置反復 / アンチモダンな精神 /言語に対する情熱
第Ⅱ部 人 物
第1章 シャトーブリアンとジョゼフ・ド・メーストル —— ラコルデールの背後で
『キリスト教精髄』 のシャトーブリアン / ロマン主義的主人公、ラコルデールとモンタランベール / シャトーブリアンとパリ・ノートルダムでの説法 /ド・メーストルとシャトーブリアンの間で / 影響をこうむった説教師 /ラコルデールへの反発
第2章 ルナンからブロワまで —— 反ユダヤ主義、あるいは反近代主義
ユダヤ人、近代主義の首謀者 / 親ユダヤ主義者の反ユダヤ主義 /反ユダヤ主義者の親ユダヤ主義
第3章 ペギー —— ジョルジュ・ソレルとジャック・マリタンの間で
ジョルジュ・ソレルによるアンチモダンの肖像 / 「現代世界」 に反対するペギー /「抜け目ない者たちの世界」 / パスカル、アンチモダンのヒーロー /道具化されたベルクソン / バンダ、「アンチ・ベルクソン」 /マリタン、アンチモダン、ウルトラモダン、あるいはモダン
第4章 チボーデ —— 最後の幸福な批評家
第三共和政を体現した男 / 比喩による批評 / アンチ・ブリュンチエール /マラルメとフローベールとともに / 創造的批評と…… / ……文学的風景の歴史との間で / 独自のものと系列 / 多元主義者か二元論者か / 政治的契機
第5章 ジュリアン・バンダ —— 『新フランス評論』 の左派反動
ペギーかバンダか / 「文学主義」 に対抗して / もう一つの知性党のために /自称知識人 / 絶対なるものの巡礼者 / 『新フランス評論』 の反ファシスト派 /タルムードの理知 / 流 血 漢 / おぞましいユダヤ人 /ポーラン対バンダ、すなわち競い合う二人のアンチモダン /モダン派、そしてヒューロン族の言語 / バンダか 『新フランス評論』 精神か
第6章 ジュリアン・グラック —— アンドレ・ブルトンとジュール・モヌロの間で
モヌロかブランショか、肯定か否定か / 乗合馬車を追いかける /斬新なものと反動
第7章 ロラン・バルト —— 聖ポリカルプスとして
最終講義 / 再 読 / 文学の死 / 前衛の後衛に / 前衛のワクチン /前衛、そして言語への嫌悪 / マルクス主義者バルトと反動家ポーラン /ディドロよりもボシュエを / 詩による贖罪
結 魅力的な反動
〈運 命 愛〉 / 負けるが勝ち
監訳者解題 —— コンパニョン 『アンチモダン』 を読む