鮎川義介と経済的国際主義 満洲問題から戦後日米関係へ
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-8158-0696-5 C3031
奥付の初版発行年月:2012年02月
日産自動車を創業し、日産財閥を満洲に移駐してその経済開発を一手に担った男の、経済的自由主義のヴィジョンとは何か。統制経済と闘い、米国資本導入による日満の開発によって日米開戦回避のために死力を尽くした希代の経営者の活動を、日米双方の一次史料からダイナミックに描き出す。
目次
序 章 鮎川義介と日米関係
第Ⅰ部 日産の創業から満洲国へ
第1章 経済的国際主義
—— 1937年以前の鮎川とアメリカの産業への関心
はじめに
1 日産コンツェルンの形成と外国資本
2 GM・フォードとの提携交渉
第2章 満洲重工業の設立と満洲への米国資本導入構想
はじめに
1 満洲の経済開発を誰が担うのか —— 満鉄から関東軍へ
2 満洲重工業の起源
3 鮎川の満洲国への関与
おわりに
第3章 鮎川と米国フォード社との提携交渉
—— 1937~40年
はじめに
1 日産・フォード提携交渉
2 GMの動向
3 フォード社の満業以外の自動車会社との提携構想の推進
おわりに
第4章 鮎川の日本自動車産業界統合の挫折
第5章 フーヴァーと米国の東アジア政策
—— 第一次世界大戦終結後から日米開戦前まで
はじめに
1 ハーバート・C・フーヴァー —— 実業家から政治家へ
2 フーヴァーと1920年代のアメリカ外交
3 米国の東アジア政策 —— 1920年代
4 「事実上の承認」 の問題
5 フーヴァーの東アジア政策
おわりに —— 満洲事変以降の日米関係
第6章 米国総領事館の満洲動向分析
はじめに
1 横浜総領事リチャード・ボイスの鮎川構想批判
2 満洲重工業の発足と在奉天米国総領事館
3 日本の修正門戸開放主義
4 米満経済関係
5 治外法権撤廃問題と国務省
6 在奉天米国総領事館の情報収集 —— 鮎川構想に対する評価
7 フーヴァーとの接触 —— ベインと高碕達之助
8 在奉天米国総領事館と米国自動車産業動向分析
9 第二次世界大戦勃発と在奉天米国総領事館
おわりに
第7章 見果てぬ夢
—— 経済外交 1937~40年
はじめに
1 満業創設期の米国資本導入への模索
2 日系アメリカ人たちと米国式農業構想
3 ベインの満洲鉱物資源調査報告書
4 クーン・ローブ投資銀行とユダヤ人難民対満洲移住構想
5 モーデルハンメルとドイツ資本の導入構想
6 朝鮮半島雲山金山と米国経済権益
7 米国金融機関・大手鉄鋼会社との交渉
8 ナショナル・シティ銀行、U・S・スチール社と米国務省
9 米国財界人の日本帝国視察招請案
10 合弁会社の設立
おわりに
第8章 アメリカによる満洲国の事実上の承認の模索
—— 鮎川の渡欧とディロン・リード投資銀行
はじめに
1 イングリスとの会見
2 ジョセフ・グルーとユージン・ドゥーマン
3 鮎川の訪欧 —— 来栖三郎と鮎川の渡米構想
4 ディロン・リード投資銀行とオライアン訪日団
おわりに
第Ⅱ部 太平洋戦争から戦後復興へ
第9章 平和への奮闘
—— 鮎川とフーヴァー元米国大統領
はじめに
1 フーヴァー人脈と日米関係
2 日米交渉とフーヴァー、ストロース
3 日米首脳会談の試み
4 1941年夏から12月1日までの日米関係
5 日米開戦直前のフーヴァー
6 フーヴァーとラウル・E・デスヴェアニン
7 大統領の天皇宛親電をめぐる日米交渉
8 来栖・バルーク会談
9 12月上旬の野村・来栖
10 日米開戦前夜の鮎川
おわりに
第10章 満洲重工業開発総裁の辞任と太平洋戦争期の活動
はじめに
1 満洲国経済の変容
2 満洲国官僚機構がもたらした悪夢
3 終 戦
おわりに
第11章 「共通の利益」 の再創造
—— 日米関係 1945~48年
はじめに
1 フーヴァーと冷戦初期のアメリカ外交
2 対日経済改革 —— 非軍事化と民主化の狭間で
おわりに
第12章 鮎川義介の戦後投資銀行構想
はじめに
1 終戦直後における鮎川の活動
2 鮎川の投資銀行構想
3 亜東銀行の設立
おわりに
第13章 電源開発から中小企業育成政策へ
終 章 鮎川の外資導入構想の今日的意義