イスラームとスーフィズム 神秘主義・聖者信仰・道徳
価格:6,160円 (消費税:560円)
ISBN978-4-8158-0721-4 C3014
奥付の初版発行年月:2013年02月
新たな包括的理解の試み ——。従来 「イスラーム神秘主義」 と訳され、知的エリートの深遠な思索がクローズアップされてきたスーフィズム。本書は、聖者信仰・「スーフィー教団」 など民衆的要素や歴史的・地域的展開もふまえ、その多様な姿を文献とフィールドから総合的に把握、イスラームの中核に位置づけた画期的論考である。
目次
序 章
第Ⅰ部 スーフィズムへの視座
第1章 スーフィズム研究の歴史と潮流
はじめに
1 スーフィズム研究史
2 近年の研究動向
おわりに
第2章 スーフィズムの分析枠組 —— 三極構造論
はじめに
1 スーフィズム再考
2 スーフィズムの三極構造論
3 三極構造論から見たスーフィズムの史的変容
おわりに
第3章 スーフィズムの歴史
はじめに
1 スーフィズムの成立 (12世紀中葉まで)
2 イスラームの核としてのスーフィズム (12世紀中葉から17世紀まで)
3 スーフィズム・タリーカの変革 (18世紀)
4 ヨーロッパ植民地主義の衝撃とタリーカ (19世紀)
5 近代国家とタリーカ (20世紀~)
おわりに
第Ⅱ部 神秘主義としてのスーフィズム —— 存在一性論学派を中心に
第4章 イブン・アラビーと存在一性論学派
はじめに
1 イブン・アラビーの生涯
2 イブン・アラビーの著作
3 イブン・アラビーの思想
4 存在一性論学派
おわりに
第5章 存在一性論学派の顕現説における 「アッラー」 の階位
—— カーシャーニーとジーリーを中心として
はじめに
1 カーシャーニーの五次元説
2 ジーリーの六段階説
おわりに
第6章 存在一性論学派における存在論と完全人間論
—— ジーリーを中心に
はじめに
1 存在一性論と完全人間論
2 ジーリーの存在論
3 ジーリーの完全人間論
おわりに
第7章 存在一性論学派の地域的展開と地域的偏差
はじめに
1 超越性と人格性
2 存在一性論学派の地域的展開の理解に向けて
おわりに
第Ⅲ部 民間信仰としてのスーフィズム —— 聖者信仰をめぐって
第8章 イスラーム聖者の二系列
—— スーフィー聖者と非スーフィー聖者
はじめに
1 聖典とスーフィズムにおけるワリー論
2 聖者列伝とスーフィー列伝
おわりに
第9章 イスラームの聖者論と聖者信仰
—— イスラーム学の伝統のなかで
はじめに
1 4種の聖者論
2 聖者論と聖者信仰のあいだ
おわりに
第Ⅳ部 イスラームのなかのスーフィズム —— その位置づけをめぐって
第10章 マムルーク朝初期のタサウウフの位置づけ
—— イブン・タイミーヤの 「スーフィズム」 批判を中心として
はじめに
1 イブン・タイミーヤの神秘主義哲学批判とタリーカ慣行批判
2 イブン・タイミーヤのタサウウフ像
おわりに
第11章 マムルーク朝末期におけるタサウウフをめぐる論争
—— ビカーイー・スユーティー論争を中心に
はじめに
1 歴史書に見るイブン・アラビー、イブン・ファーリド論争
2 ビカーイーの批判の書とスユーティーの反批判の書
3 論争書の検討
おわりに
第12章 スンナ派とスーフィズム —— ワッハーブ派への反批判をめぐって
はじめに
1 ワッハーブ派とスーフィズム
2 ワッハーブ派の 「謬説」 とそれに対する反論
3 ワッハーブ派の 「スーフィズム批判」 の実態
おわりに
終 章 「多神教」 的イスラーム —— スーフィー・聖者・タリーカをめぐって
はじめに
1 スーフィー、聖者/ワリー、タリーカ
2 神秘主義哲学批判
3 聖者信仰批判とタリーカ慣行批判
4 「多神教」 的イスラーム
おわりに