日本経済の歴史 列島経済史入門
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-8158-0733-7 C3033
奥付の初版発行年月:2013年05月
日本列島でくりひろげられた経済社会の営みを、環境史や生活史などの新たな視点も交えて解説、「国家」の枠組みを超えた多様な経済の展開過程が、いかにして現代社会へとつながるのかをわかりやすく描き出す。古代・中世から21世紀までを一望する新しいスタンダード・テキスト。
目次
序 章 日本経済の歴史をどのような視点で見るか
第Ⅰ部 経済社会の勃興
—— 古代から中世へ
はじめに —— 宗教を基底に置く社会の 「市場経済」
第1章 公領と荘園の古代
—— 自国銭貨の時代から商品貨幣の時代へ
1 中国文明と日本の初期農耕社会
2 銭貨の発行と流通
3 産業構成と社会編成
4 財政構造の転換と全国的商品流通の形成
5 領域型荘園の成立
解説Ⅰ-1 商業と商人の生成
第2章 貿易と戦乱の中世
—— 中国銭貨の時代
1 対中国貿易と東アジア経済
2 渡来銭の流入と手形の発達
3 朝廷・幕府・大名の経済政策
4 代銭納化の進展と荘園制の変容
5 都市工業の成長と商人仲間
6 中世海運と遠隔地間商業
7 村落・都市の成立と生活環境
解説Ⅰ-2 出土銭貨研究の新展開
解説Ⅰ-3 荘園制研究の新展開
テーマⅠ 贈与と経済活動
第Ⅱ部 経済社会の展開
—— 近世から近代へ
はじめに —— 身分制的制約の下での 「市場経済」
第3章 開墾と人口増大の17世紀
—— 石高制の浸透
1 石高制・身分制と 「鎖国」 体制
2 東アジア貿易と三貨制度
3 近世商人の登場と幕藩制的全国市場の成立
4 大開墾と森林破壊
解説Ⅱ-1 石高制と商品生産
第4章 踊り場の18世紀
—— 幕府財政悪化と経済政策の迷走
1 「日本型華夷秩序」 意識と東アジア世界
2 貨幣改鋳と幕府の経済政策
3 手工業技術の伝播と特産物生産の進展
4 三都商人と株仲間
5 家族小経営と村落共同体
解説Ⅱ-2 琉球貿易の構造と流通ネットワーク
解説Ⅱ-3 歴史人口学と生活水準
解説Ⅱ-4 家族史研究の新展開
第5章 成長の19世紀
—— 銀貨主導の経済成長
1 「開国」 と自由貿易世界
2 銀価低落と経済政策
3 商業的農業の進展と農民生活
4 兼業型農村工業と専業型都市工業
5 商人の活動と複層的な市場
6 消費生活と社会的危機への対応
解説Ⅱ-5 農村工業化とファッション
解説Ⅱ-6 資源循環と地域社会
テーマⅡ 環境と経済活動
第Ⅲ部 経済社会の成熟
—— 近代から現代へ
はじめに —— 近代法秩序の下での市場経済社会
第6章 苦闘の20世紀初頭~1920年代
—— 金本位制下の国際収支天井
1 商法の制定と金本位制
2 国際収支の天井と経済政策
3 産業革命と工業化
4 地主制の展開と植民地農業
5 交通網の変容と商品流通
6 都市化と生活環境
解説Ⅲ-1 産業革命研究の新展開
解説Ⅲ-2 ジェンダー・労働市場研究の新展開
解説Ⅲ-3 モダニズムと大衆消費社会
第7章 転換の1930年代~60年代
—— 統制経済をはさんだ経済成長
1 ブロック経済から金ドル本位制へ
2 高橋財政から戦後経済政策へ
3 「内需」 主導の重化学工業化
4 地主制の後退と戦後農政
5 大規模小売商と流通系列
6 大衆消費社会の実像
解説Ⅲ-4 財界論
解説Ⅲ-5 植民地と工業化
解説Ⅲ-6 高度成長と公害
第8章 国際化の1970年代以降
—— 輸出依存の経済展開
1 国際通貨システムの動揺と円高の進展
2 財政再建と金融・証券の自由化
3 「外需」 主導の産業構造
4 国際化のなかの日本農業
5 流通再編と消費の多様化
6 日本経済の新しい課題
解説Ⅲ-7 トヨタ生産方式の展開
解説Ⅲ-8 日本における社会福祉研究の新展開
テーマⅢ 科学技術と経済活動
終 章 明日への模索
—— 資源節約型技術立国へ
入門ガイド 日本経済の歴史を学ぶ