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重商主義と「ヨーロッパ世界経済」の凝集 1600-1750近代世界システムII

近代世界システムII 重商主義と「ヨーロッパ世界経済」の凝集 1600-1750 The Modern World-System II: Mercantilism and the Consolidation of the European World-Economy, 1600–1750

A5判 462ページ 上製
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-8158-0744-3 C3022
奥付の初版発行年月:2013年10月 / 発売日:2013年10月中旬

内容紹介

「世界経済」の収縮局面に勃興するオランダと、その覇権に挑戦する英仏の抗争をダイナミックに描出、1つのシステムとしての「資本主義的世界経済」の全貌を捉えて、新しい世界史への扉を開く。現代の古典となった記念碑的著作の第2巻。ウォーラーステインによる新たな序文を付した新版。(全4巻)

著者プロフィール

I.ウォーラーステイン(イマニュエル ウォーラーステイン)

1930年ニューヨーク生まれ。アメリカの社会学者。研究対象としていた現代アフリカの状況から、「低開発」の歴史的生成過程に関心をもち、従属理論に接近した。他方では、ブローデルを中心とするフランス・アナール学派の歴史認識、とくに「世界経済」の着想に啓発され、「一体化した現代世界」の歴史的形成過程を分析、歴史学や社会科学一般に絶大な影響を与えている。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の「経済・史的システム・文明研究のためのフェルナン・ブローデル・センター」長(1976-99年)、国際社会学会会長(1994-98年)などをつとめた。

川北 稔(カワキタ ミノル)

1940年大阪市生まれ。京都大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科博士課程中退。大阪大学大学院文学研究科教授、名古屋外国語大学教授、京都産業大学教授、佛教大学教授などを経て、現在、大阪大学名誉教授。著書に『工業化の歴史的前提』(岩波書店)、『洒落者たちのイギリス史』(平凡社)、『民衆の大英帝国』(岩波書店)、『砂糖の世界史』(岩波書店)、『世界の歴史25 アジアと欧米世界』(共著、中央公論新社)、『イギリス近代史講義』(講談社)、訳書にウォーラーステイン著『史的システムとしての資本主義』(岩波書店)、コリー著『イギリス国民の誕生』(監訳、名古屋大学出版会)、イングリッシュ/ケニー著『経済衰退の歴史学』(ミネルヴァ書房)、ポメランツ著『大分岐』(監訳、名古屋大学出版会)他多数。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

図版出典
謝辞
2011年版への序

序 章 「17世紀の危機」は実在したか?
17世紀の意味
歴史の断絶点は16世紀か産業革命か
世界システム論のパースペクティヴ

第1章 収縮(B)局面
「収縮」の時代
通貨量・貿易・人口
「封建制の危機」と17世紀の違い――システムの強化
空間的な格差の確定
時期区分の問題
三十年戦争は衰退の原因か
14世紀と17世紀の対比
システムの凝集
「封建制の危機」の意味
「危機」からの脱出――資本主義的世界システムの生成
伝統的支配層の配置転換としての絶対王政

第2章 「世界経済」におけるオランダのヘゲモニー
重商主義
「ヘゲモニー国家」の定義
オランダのヘゲモニー
工業国としてのオランダ
海運業におけるオランダの優位
東方貿易
大西洋貿易
河川航行
コミッション制度の成立
金融上の優越――アムステルダム金融市場
「強力な」オランダ国家
ヘゲモニー国家の文化状況
アルミニウス派論争
ヘゲモニーの衰退へ

第3章 中核における抗争
――第一の局面 1651年から1689年まで
イギリスの挑戦
英・仏抗争へ
農業生産の対比
土地所有の構成
二つの農業経営者階層
工業の保護と競争
コルベール主義の意味
イギリスの海運・商業構造
輸入構造
イギリスの生命線――造船資財と鉄
英・仏の大西洋貿易の違い
フランスの国内市場とイギリスの北米市場
為替決済をめぐる論争
地金の輸出先――システムの内と外
商品としての地金
フランスの銀貨とイギリスの金貨
「強い」国家とは何か
軍事力の問題
コルベール主義の位置
重なりあう貴族とブルジョワ――「ブルジョワ革命」とは
イギリス革命の歴史的意味
フランスの状況
支配層内部の妥協と民衆の抑圧

第4章 低成長期における周辺諸地域
「世界経済」の下降局面
周辺の対応策二つ
東欧からの輸出の減少
「再版農奴制」の成長
賦役強化の背景
「ジェントリの共和国」の希求――東欧の貴族と資本家
南ヨーロッパの場合
アシエンダの成長――スペイン領アメリカ
銀輸出の減少
クリオーリョの困窮
強制労働から債務労働へ
アシエンダの歴史的意味
中核諸国のカリブ海への進出
バッカニアの盛衰
密貿易から砂糖へ
チェサピークの煙草とブラジルの金
アメリカにおける階級形成――商人とプランター
委託代理商制度
年季契約奉公人から黒人奴隷へ

第5章 岐路に立つ半周辺
半周辺とは
スペインの「没落」
ポルトガルの併合と再独立
エリセイラ改革の崩壊――重商主義の失敗
スペインの中央集権化の試み
メスエン条約のもたらしたもの=半周辺化
前貸問屋制すなわち「プロト工業」の展開
衰退か現状維持か――「ヨーロッパの屋台骨」
資本の域外逃避と土地への転向
上昇した国、スウェーデン
銅生産を基礎とするスウェーデンの勃興
軍制改革
鉄工業とその国際連鎖
経済帝国主義
国家機構の強化――「譲渡」政策から「大削減」へ
半周辺への上昇
周辺にとどまったデンマークの絶対王政
対スウェーデン戦争と列強の介入
プロイセンの半周辺への上昇
「大譲歩」=軍事力の創出
官僚制と国家機構の強化
半周辺国家オーストリアの重商主義
オーストリアとプロイセンの岐路
半周辺としての英領北アメリカ北・中部植民地
造船資材供給地か造船業の展開か

第6章 中核地域における抗争
――第二の局面 1689年から1763年まで
英仏抗争期(1689~1763年)
イギリスにおける海軍派と陸軍派
三国対立から二国対立へ
イギリス・スコットランド合同の意味
パリ条約に至る英仏抗争
輸出奨励金によるイギリス農業の繁栄
フランスとの対比――農業と農業以外の部門
農業のイギリス・工業のフランス
砂糖と奴隷
東方貿易――「世界経済」の外延部
金融面での英仏競争――フランスの徴税請負制度
イギリスの財政革命
ジョン・ロー体制と南海泡沫事件
地主の時代――オランダ資金によるイギリスの優位
強いイギリス国家と弱いフランス国家

訳者あとがき
参考文献
索引


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