無意識という物語 近代日本と「心」の行方
価格:5,060円 (消費税:460円)
ISBN978-4-8158-0772-6 C3011
奥付の初版発行年月:2014年05月
重なりあう科学とフィクション ——。フロイト精神分析や 「無意識」 の受容は、日本における 「心」 の認識をどのように変化させたのか。民俗的な霊魂観と近代的な心身観がせめぎあう転換期を捉え、催眠術の流行や文学における表象をも取り上げつつ、「無意識」 が紡ぎ出した物語をあとづける 「心」 の文化史。
目次
はじめに
第Ⅰ部 「無意識」 の時代
第1章 「霊」 から 「無意識」 へ
はじめに
1 「心」 の変容
2 「意識」 と 「精神」
3 対抗運動のなかの 「精神」
4 二葉亭から漱石へ
第2章 意識の底には何があるのか —— 催眠術・霊術の言説戦略
はじめに
1 竹内楠三の転向
2 古屋鉄石の流転
3 意識の底には何があるのか
第3章 超感覚の行方 —— 催眠術・千里眼・テレパシー
はじめに
1 催眠術とテレパシー
2 超感覚の行方
おわりに
第4章 変容する夢
はじめに
1 夢をめぐる言説空間の再編成
2 大正期の 「精神分析」 受容
3 夢の場としての 「無意識」
4 神経病の時代のなかで
第5章 「心理研究」 とフロイト精神分析
はじめに
1 フロイト精神分析の紹介
2 「変態心理」 の刊行とその影響
3 混乱する 「無意識」
おわりに
第Ⅱ部 芥川龍之介と大正期の 「無意識」
第6章 消された 「フロイド」 —— 「死後」 をめぐる疑念
はじめに
1 「自殺」 という物語
2 消された 「フロイド」
3 テクストのなかの 「フロイド」
4 芥川と 「無意識」
第7章 夢を書く —— 「奇怪な再会」 まで
1 夢を書くこと
2 芥川と夢
3 「奇怪な再会」 における夢
おわりに
第8章 「無意識」 という物語 —— 「海のほとり」 を中心に
はじめに
1 夢の女をめぐって
2 『湖南の扇』 と 「無意識」
3 「無意識」 という物語 —— 「年末の一日」 「海のほとり」 「蜃気楼」
4 「無意識」 という恐怖
第9章 最後の夢小説 —— 「夢」 と 「人を殺したかしら?」 と
はじめに
1 神経・風景・夢
2 二つの夢
第10章 メーテルリンクの季節 —— 芥川と武者小路実篤のあいだ
はじめに
1 「メーテルリンクの季節」 のなかで
2 メーテルリンク受容の光と影
第11章 怪異と神経 —— 「妖婆」 という場所
はじめに
1 怪異の場
2 大正期日本の 「神下ろし」
3 消失する 「神経」
第12章 さまよえるドッペルゲンガー —— 「二つの手紙」 と探偵小説
はじめに
1 芥川と探偵小説
2 「二つの手紙」 —— ドッペルゲンガーと探偵小説
おわりに —— さまよえるドッペルゲンガー
補 論 「無意識」 の行方 —— 芥川から探偵小説へ
はじめに
1 先導する小酒井不木
2 都市の孤独と 「心」 の闇
終 章