ビジネス・インフラの明治 白石直治と土木の世界
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-0788-7 C3034
奥付の初版発行年月:2014年10月
起業にあたり自力でのインフラ建設が不可避であった時代に、鉄道、港湾、電力などの整備に奮闘し、多くの土木技術者を育てた白石直治。彼を中心とする緊密な人的交流や、先進的技術も取り入れた大規模工事の実態を通じ、日本の産業化の基盤形成に民間が果たした役割を浮彫りにする。
目次
序 章 明治期日本のインフラ・ビジネス/ビジネス・インフラと技術者
(1) 近代的社会資本建設の時代
(2) 土木技術者の年譜
第1章 近代土木技術者と教育 —— もう一つのインフラストラクチュア
1 土木教育の機関と制度
(1) 工部省と工部大学校
(2) 開成学校・東京大学
(3) 帝国大学工科大学
(4) 攻玉社と工手学校
2 明治前半の土木留学
(1) 明治政府の留学政策
(2) 初期留学者の諸相
(3) 白石の海外留学
3 補 論: 高等中学校
第2章 近代移行期の土木事業 —— 建設業界の構造と変遷
1 土木事業と建設工事
(1) 明治政府と土木事業
(2) 建設業 (請負) の発展
2 鉄道事業の興隆
(1) 企業勃興と鉄道ブーム
(2) 鉄道建設と土木技術者
(3) 九州鉄道の揺籃期と高橋
3 補 論: 技術者と兵役 (一年志願兵制度)
第3章 関西鉄道 —— 官の対岸の私鉄
1 建設期の概観
(1) 設立の経緯
(2) 白石の社長就任
(3) 建設工事の進捗
2 幹線建設工事とトンネル
(1) 鉄道建設におけるトンネル
(2) 同時期の工事: 琵琶湖疏水第一トンネル
(3) 加太越え三隧道
(4) 幹線の開通開業と経営危機
3 新線建設工事と橋梁
(1) 名古屋、奈良への延伸
(2) 鉄道建設における橋梁
(3) 木曾・揖斐越え二橋梁
4 自力建設時代の終焉
(1) 買収戦略と白石の社長退任
(2) 高橋・広沢と関西鉄道
(3) 白石後の関西鉄道
第4章 若松築港 —— 海陸連携地域開発の要
1 筑豊炭田をめぐって
(1) 石炭と若松港
(2) 筑豊興業鉄道
(3) 三菱の動向
2 若松港の発展
(1) 若松築港会社の創業
(2) 製鉄所
(3) 若松港拡張工事
(4) 港湾設備と戸畑の開発
3 若松築港と白石
(1) 社長就任の経緯
(2) 白石の役割と若松港のその後
第5章 三菱の建築所 —— 近代移行期の企業内建設機能
1 ビジネス・インフラの人材確保
2 東京のビジネス・インフラ
(1) 三菱為替店倉庫
(2) 丸ノ内建築所
3 神戸のビジネス・インフラ
(1) 神戸建築所
(2) 和田建築所
(3) 再度、神戸建築所と東京倉庫
4 朝鮮半島と長崎
(1) 南韓鉄道調査・日韓瓦斯電気
(2) 長崎造船所第三船渠
第6章 猪苗代水力電気 —— 次世代に向けてのエネルギー開発
1 水力発電時代の幕開け
(1) 明治初年の電気事情
(2) 猪苗代湖と地域開発
2 猪苗代水力電気と三菱
(1) 日橋川の水利と新会社の発足
(2) 三菱の電機事業
3 建設工事の進捗
(1) 発電計画
(2) 第一期工事の諸相
(3) 第二期工事とその後
終 章 白石直治をめぐる世界とその時代