20世紀物理学史 上 理論・実験・社会
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-8158-0809-9 C3042
奥付の初版発行年月:2015年06月 / 発売日:2015年06月下旬
栄光と失敗、論理と閃きのダイナミクスとしての 「物理学の世紀」。量子力学と相対論という二大革命に始まり、社会と関わりながら大展開を遂げる100年を一望する、待望の書。上巻では世紀前半に主張された数々の知られざる異説を紹介しつつ、変革の前史と進展を扱う。
目次
第Ⅰ部 地固めから革命へ
第1章 世紀末の物理学 —— 揺らぐ世界像
第2章 物理学の世界
ヒトとカネ/物理学の学術誌/ある日本人の見たヨーロッパの物理学
第3章 気体中の放電と、それに続いたもの
新種の光線/ベクレル線から放射能へ/ニセ放射線もろもろ/トムソン以前の電子/
最初の素粒子
第4章 原子構造
トムソン原子/別の初期原子モデルたち/ラザフォードの原子核/原子構造の量子論
第5章 量子論のゆるやかな出現
黒体輻射の法則/量子仮説についての初期の議論/アインシュタインと光子/比熱と
1913年までの量子論の状態
第6章 低温物理学
零度へのレース/カメルリング・オネスとライデン研究所/超伝導
第7章 アインシュタインの相対論と、ほかの人々の相対論
ローレンツ変換/アインシュタイン相対論/特殊相対論から一般相対論へ/受容
第8章 失敗に終わった革命
電磁質量の概念/世界観としての電子論/質量変化の実験/一つの世界観の凋落/
統一場の理論
第9章 産業と戦争における物理学
工業物理/働く電子、その1 —— 長距離電話/働く電子、その2 —— 真空管/化学者
の戦争の中の物理学
第Ⅱ部 革命から地固めへ
第10章 ヴァイマル共和国における科学と政治
科学政策と財政支援/国際関係/物理学者のコミュニティ/時代精神と物理学的世界観
第11章 量子跳躍
量子の変則事例/ハイゼンベルクの量子力学/シュレーディンガーの方程式/普及と受容
第12章 原子核物理学の興隆
電子‐陽子モデル/量子力学と原子核/天体物理学への応用/1932年、奇跡の年
第13章 二つの粒子から多くの粒子へ
反粒子/宇宙線のもたらした驚き/量子論の危機/湯川の重量子
第14章 量子力学の哲学的含意
不確定性と相補性/コペンハーゲン解釈に抗して/量子力学は完全か?
第15章 エディントンの夢、その他の異端
エディントンの本源主義/宇宙数秘術、その他の思弁/ミルンと宇宙物理学/現代のアリ
ストテレス主義者たち