記録と記憶のアメリカ モノが語る近世
価格:7,480円 (消費税:680円)
ISBN978-4-8158-0827-3 C3022
奥付の初版発行年月:2016年02月 / 発売日:2016年02月中旬
事実史と記憶史の統合 ——。貨幣や懐中時計から、エフェメラ・古文書、そして記念碑まで、植民地期・革命期の歴史や英雄像を紡ぐモノ史料と、歴史研究に新しい知見をもたらすデジタル史料。アトランティック・ヒストリーの視点も踏まえつつ、両者を駆使した画期的なアプローチにより近世アメリカ像を再構築する。
目次
序
第Ⅰ部 記録 —— 当時のモノ
Ⅰ 近世大西洋世界の諸相
第1章 近世大西洋世界のなかの貨幣 —— 硬貨・大陸紙幣・軍票
1 国境を越える貨幣
2 植民地時代の貨幣
3 独立革命期の貨幣
4 近世大西洋世界の遺産
5 コネティカット邦軍票の分析
第2章 物語るエフェメラ —— 一紙文書から見る近世大西洋世界
1 手稿史料のテクスチャーとテクスト
2 差押え関連史料のテクストの分析 —— 時間を紡ぐ一紙文書
3 エフェメラより見るワシントンの親族 —— 受領証と小切手
4 史料のテクスチャーの分析
5 史料のテクストの分析
第3章 「完全なる植民地ジェントルマン」 をめざして —— 近世大西洋世界のソフトウェア
1 メリーランド植民地におけるプランター・ジェントリと火曜倶楽部
2 ワシントンの礼儀作法
Ⅱ デジタル史料とモノ史料のなかのワシントン
第4章 ワシントンの帝国 —— 独立革命期における 「帝国」 の語の使用に関する一考察
1 デジタル史料と 「アメリカ革命」
2 問題の所在
3 独立革命期のデジタル史料
4 独立革命期における帝国の語の使用
5 ワシントンに関するデジタル史料
6 ワシントンによる帝国の語の使用
第5章 ワシントンの懐中時計 —— モノによる日常世界復元の試み
1 時計と史料集合
2 ワシントン家の懐中時計
3 大陸軍と懐中時計
4 コクラン少佐の懐中時計 —— その返却をめぐる書簡のネットワーク
5 パリのガヴァニア・モリスと懐中時計
6 装うワシントン
第6章 ワシントンの告別演説 —— その日付に関する一考察
1 2つの日付の謎 —— 問題の所在
2 7か9か
3 6日間の再現 (1) —— 関連史料の提示
4 6日間の再現 (2) —— 何が起きたのか
5 その後
第Ⅱ部 記憶 —— 後代のモノ
Ⅲ 創られる記憶空間
第7章 植民地時代の記憶
1 アメリカにおける史蹟と記念碑
2 「最初の植民地」 の記念碑 (1) —— 失われた植民地ロアノーク
3 「最初の植民地」 の記念碑 (2) —— 最初の恒久的植民地ジェイムズタウン
第8章 独立革命の記憶
1 南部における独立戦争の史蹟
2 ムーアズクリークの戦い
3 キングズマウンテンの戦い
4 カウペンズの戦い
5 ギルフォード・コートハウスの戦い
6 ヨークタウンの戦い
Ⅳ 英雄たちの記憶
第9章 英雄の血脈 —— ポカホンタスとワシントン
1 新旧両世界のポカホンタス
2 目覚める死者 —— ワシントン家の家族墓所
3 ワシントン以前のプレジデント
4 記念されるワシントン —— メダル・カメオ・『ワシントン伝』
第10章 建国のアイコン —— ベッツィとリヴィア
1 2つの問い
2 星条旗誕生の神話 —— アイコンとしてのベッツィ・ロス
3 英雄ポール・リヴィアの生成