幻の同盟 上 冷戦初期アメリカの中東政策
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-8158-0829-7 C3022
奥付の初版発行年月:2016年02月 / 発売日:2016年03月上旬
1950年代初頭、西側世界の同盟相手として中東は再発見された。盟友イギリスの思惑や、勃興するアラブ・ナショナリズムと交差しつつ、米国はいかにして中東政治への関与を深めていったのか。膨大な一次史料を読み解き、知られざる地域構想の運命を鮮やかに描き出した一大叙事詩。
目次
序 章
1 国際システムの変容と中東
2 先行研究の諸問題と本書のアプローチ
3 本書の構成
第Ⅰ部 地域的政策の生成
第1章 英国の非公式帝国と米国の中東への関与の始まり
1 中東における英国の非公式帝国
2 第二次世界大戦後の英国の中東政策の形成
3 米国の中東への関与の始まり
4 戦後ヨーロッパ秩序の形成と米英関係
5 ペンタゴン協議と米英協調の成立
6 非公式帝国再編の蹉跌
第2章 西側統合政策の形成 —— 中東コマンド構想とその遺産
1 中東政策の停滞
2 全面戦争プランと朝鮮戦争
3 中東コマンド構想の生成と変容
4 西側統合政策の結晶化
第3章 協調的石油秩序への道程
1 中東石油と米国
2 中東石油開発の枠組みの模索
3 戦後世界と中東石油
4 動的・開放的な石油秩序構想の挫折 —— 利益折半協定への道
第4章 イラン石油国有化紛争と協調的石油秩序
1 石油国有化の背景
2 米英の基本的立場の形成
3 ナショナリズムとの邂逅
4 ぎこちない同盟
5 新たな常態への復帰
補 論 —— 動的な石油秩序に開かれた窓と出光興産のイラン進出
第Ⅱ部 西側統合政策の展開
第5章 アイゼンハワー政権と西側統合政策
1 「ニュールック」 の射程
2 アイゼンハワー政権と中東政策
3 西側統合政策の継承
第6章 西側統合政策の展開 (1) —— 1953-54年
1 イラン —— 非合法介入と西側統合政策
2 トルコ・パキスタン協定
3 対イラク軍事援助
4 スエズ基地交渉と対エジプト援助問題
第7章 西側統合政策の確認と定着
1 NSC 5428 の策定
2 米英の中東軍事戦略の変容
第8章 西側統合政策の展開 (2) —— 1954年後半
1 ヌーリー・サイードと英・イラク条約改定問題
2 トルコ・パキスタン協定とイラン
3 エジプトと西側統合政策
4 アルファ計画の始動
第9章 バグダード条約の成立と西側統合政策の再編
1 アラブ内冷戦の始まり
2 バグダード条約の成立
3 米・英・土3か国軍事協議
4 域内政治の分極化の進行
5 西側統合政策プログラムの再編
6 英国のバグダード条約加盟と西側統合政策
第10章 西側統合政策の迷走と停滞
1 地域的政策の再検討作業
2 親西側諸国の対米不信の高まり
3 アルファ計画の迷走
4 米英政治・軍事協議とハッバーニヤ軍事協議