リヴァイアサンと空気ポンプ ホッブズ、ボイル、実験的生活 LEVIATHAN AND THE AIR-PUMP (New Edition)
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-0839-6 C3040
奥付の初版発行年月:2016年06月 / 発売日:2016年05月下旬
実験で得られた知識は、信頼できるのか? 空気ポンプで真空実験を繰り返したボイルと、実験という営みに疑いをもったホッブズ。二人の論争を手がかりに、内戦から王政復古期にかけての政治的・社会的文脈の中で、実験科学の形成を捉え直す。
スティーヴン・シェイピン(シェイピン,S)
1943年生。ハーヴァード大学教授。おもな著書に『「科学革命」とは何だったのか』(白水社、1998)など。
サイモン・シャッファー(シャッファー,S)
1955年生。ケンブリッジ大学教授。編著多数。
吉本 秀之(ヨシモト ヒデユキ)
1958年生。東京外国語大学総合国際学研究院教授。著書に『科学思想史』(共著、勁草書房、2010)など。
柴田 和宏(シバタ カズヒロ)
1987年生。岐阜大学地域科学部助教。
坂本 邦暢(サカモト クニノブ)
1982年生。東洋大学文学部助教。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
2011年版への序文
26年後に —— 『リヴァイアサンと空気ポンプ』 初版から一世代がすぎて
歴史記述法の伝統
制度的な状況
対象をさだめる
近代性をつくりだす
奇妙な事件
楽観的になる理由
垣根を越えて
第1章 実験を理解するということ
第2章 見ることと信じること —— 空気学的な事実の実験による生成
事実生産のメカニズム —— 3つのテクノロジー
空気ポンプという物理的なテクノロジー
エンブレムとしての空気ポンプ
空気ポンプと 「感覚の帝国」
ふたつの実験
事実と原因 —— 空気のバネ、圧力、そして重さ
科学を目撃する
冗長さと図像
実験の報告にみられる謙虚さ
科学の言説とコミュニティの境界
論争の作法
3つのテクノロジーと同意の本性
第3章 二重に見ること —— 1660年以前におけるホッブズの充満論の政治学
「真空を否定すること」 —— ホッブズと実験的空気学
リヴァイアサンの政治的存在論
リヴァイアサンの政治的認識論
哲学の目標
第4章 実験にまつわる困難 —— ホッブズ対ボイル
実験的空間
実験のなかのさまざまな空気
哲学の装置
「才知」、独断論、そして実験コミュニティ
実験と原因
ホッブズの文章上のテクノロジー
ホッブズの哲学における原因、慣習、確実性
第5章 ボイルの敵対者たち —— 擁護された実験
リヌスの細紐仮説
敵対者としてのホッブズ
「議論の方法」
空気の組成
ボイルとホッブズ —— 大理石のような人びと
ホッブズ、イデオロギー、「通俗的な」 自然概念
ヘンリー・モア —— 「自然学者たちと、彼ら自身の用語で話しあうこと」
「あの怪物的な空気のバネ」 —— モアにたいするボイルの応答
第6章 再現・複製とその困難 —— 1660年代の空気ポンプ
ポンプを製作する —— ロンドンとオックスフォード
ポンプを複製する —— ロンドンとオランダ
較正と変則例 —— オランダとロンドン
空気ポンプのアイデンティティを確立する —— ロンドンとオックスフォード
ポンプを広める —— オランダとパリ
再現・複製の限界 —— ドイツとフィレンツェ
第7章 自然哲学と王政復古 —— 論争のなかでの利害関心
「繊細な良心」 と王政復古体制
規律と 「コーヒーハウスの哲学」
「手と目の論争」 —— 実験と弾圧
実験哲学と神の国
暗黒の王国
第8章 科学の政体 —— 結論
監訳者あとがき