日本の石油化学産業 勃興・構造不況から再成長へ
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-0842-6 C3033
奥付の初版発行年月:2016年07月 / 発売日:2016年06月下旬
世界有数の巨大産業の誕生から今日までを、初めて通史として捉えた産業史の決定版。急速な成長と生産過剰のメカニズムを鋭く分析、政府による産業規制の理解を書き換えるとともに、世界的高シェア企業の叢生など、変容する日本の石油化学産業の新たな潮流も描き出す。
平野 創(ヒラノ ソウ)
1978年生。一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。現在、成城大学経済学部准教授。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序 章 化学産業の概観 —— 大きな産業規模と巨大企業の欠如
1 2度の成長を経験した基幹産業
2 石油化学工業とエチレン製造業の概要
おわりに
第Ⅰ部 高度成長と設備過剰問題
イントロダクション
第1章 石油化学産業の勃興期
1 エチレン製造拠点の概略史
2 石油化学工業第1期計画 —— 1955~60年の動向
3 石油化学工業第2期計画 —— 1961~64年の動向
4 石油化学産業勃興期の業界動向
おわりに
第2章 石油化学産業の高度成長期
1 官民協調方式の採用 —— 石油化学官民協調懇談会の設立
2 エチレン年産10万トン基準と投資調整システム
3 エチレン年産10万トン基準に基づく設備投資調整
おわりに
第3章 大型設備の完工と設備過剰の発生
1 エチレン年産30万トン基準の制定と運用システム
2 通産省および有力企業による思惑の実現 (1967年)
3 需要予測の上方修正と追加的認可 (1968年、1969年)
4 エチレン年産30万トン基準に基づく設備投資調整の帰結
5 石油化学業界を取り巻く変化
おわりに
第4章 投資調整の継続と設備過剰の深化
1 問題の所在 —— 不況下での投資の継続
2 設備過剰下でのさらなる新設の認可
3 大型設備を保有しない企業の着工 (1974~75年)
4 設備投資調整の帰結
5 第2次石油危機と産構法による設備処理
おわりに
第5章 設備投資調整の逆機能
1 調整が設備過剰をもたらしたプロセス —— 歴史研究としての発見事実
2 投資調整による過剰投資の促進メカニズム
おわりに
第Ⅱ部 化学産業における国際競争力の高まり
イントロダクション
第6章 日本の化学企業の収益分析
1 化学企業の収益分析
2 日本の化学産業の特徴
おわりに
第7章 エチレンセンター企業の変革
1 エチレン生産量の再成長
2 生産量の安定と産業内で生じた変化
3 エチレンセンターの生産停止後の事業再構築
おわりに
第8章 機能性化学事業の成長による国際競争力の獲得
1 高収益化学企業による競争力獲得・維持のプロセス
2 エチレンセンター企業における化学製品の高付加価値化
おわりに
第9章 政府・企業間関係と産業発展のダイナミクス
1 政府・企業間関係への注目
2 設備投資調整をめぐる政府・企業間の相互作用
3 3つの類型と産業発展のダイナミズム
おわりに
終 章 石油化学産業の現状と課題
1 基礎化学領域に関する政策的課題の検討
2 機能性化学領域に関する政策的課題の検討
おわりに