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大衆高等教育への道新制大学の誕生 上

新制大学の誕生 上 大衆高等教育への道

A5判 376ページ 上製
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-8158-0844-0 C3037
奥付の初版発行年月:2016年08月 / 発売日:2016年07月下旬

内容紹介

終戦後の混乱の中、200校以上が慌ただしく発足した新制大学。それは実に大転換だった。文部省やGHQ、諸学校関係者が議論・交渉し、戦前以来の改革構想やアメリカ式の高等教育モデルの間で揺れながら出発に漕ぎつけた困難な過程をたどり、日本のマス高等教育の原点を明らかにする。

著者プロフィール

天野 郁夫(アマノ イクオ)

東京大学名誉教授。専門は教育社会学・高等教育論。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

プロローグ

  第Ⅰ部 戦時体制と高等教育

第1章 戦時下の高等教育改革

     1 総動員体制と高等教育
       2つの課題と教育審議会 / 教学刷新という課題 / 経済審議会と内閣審議会 /
       資源局から企画院へ / 科学技術振興という課題 / 国家総動員法と科学動員 /
       科学振興調査会の答申 / 教育審議会の性格 / 諮問と答申 / 時代状況の変化

     2 高等学校制度の再検討
       高等学校問題の位置 / 「高等学校ニ関スル要綱」 / 大学基礎教育への転換 /
       女子高等学校問題

     3 研究重視の大学制度改革
       目的規定の再検討 / 東京帝大と教育改革同志会 / 消極的な東京帝大 / 「錬
       成」 中心の教育改革 / 研究重視と大学院 / 「学術研究所」 構想 / 科学振興
       調査会との関係 / 学部・学科・講座制 / 研究科・大学院 / 私立大学助成問題
       / 女子大学設置論 / 科学動員と計画化

     4 専門学校制度の改革
       懸案としての専門学校 / 年限延長への要請 / 専門学校の大学化 / 大学の専
       門学校化 / 崩れる棲み分け / 社会系の専門教育 / 理工系の専門教育 / 複
       雑な医歯薬系 / 新専門分野の出現 / 総力戦体制への対応

     5 教員養成問題の登場
       複雑な教員養成システム / 「大衆化」 の衝撃 / 専門学校化する師範学校 / 師
       範学校の改革論議 / 大学による中等教員養成 / 現実と理想と特殊科目の教員
       養成

     6 決戦体制と高等教育改革
       大東亜建設審議会の答申 / 「教育ニ関スル戦時非常措置方策」 / 『文教維新の
       綱領』 / 講座制と大学院 / 戦力増強と専門学校 / 「教育の綜合計画化」 / 私
       立学校の特殊法人化論 / 国家的育英制度の創設 / 年限短縮・徴兵猶予停止 /
       学徒動員

第2章 高等教育の決戦体制

     1 戦時高等教育の発展
       変革と激動の時代 / 急成長する高等教育

     2 専門学校の戦時体制
       専門学校の濫造 / 官立高等工業の新増設 / 軍医養成と官立医専 / 官立専門
       学校の新設 / 公立医専の急設 / 工業・農業系の公立校 / 私立専門学校の急増
       / 私立工専の濫設 / キリスト教系の整理統合 / 徴兵猶予停止の衝撃 / 工業系
       への転換 / 師範学校の昇格

     3 決戦体制下の大学
       「非常措置方策」 と私立大学 / 整理統合構想の挫折 / 各大学の対応 / 「非常
       措置方策」 の破綻 / 官立と私立 / 理系と文系 / 帝大の理工科拡充 / 高校の
       理科拡充策 / 東京帝大第二工学部の新設

     4 研究機能の強化
       年限短縮問題と大学院改革 / 東京帝大の意見書 / 特別研究生制度の発足 /
       私立大学の反発 / 特別研究員の詮衡 / 研究の機能強化等 / 伝研・理研・航
       空研 / 東北帝大の金属材料研究所 / 附置研究所の増設 / 研究共同化への
       志向 / 大量新設の時代 / 文系研究所の出現

  第Ⅱ部 戦後の高等教育改革

第3章 使節団報告書から学校教育法へ

     1 米国教育使節団と教育刷新委員会
       CIE・使節団・教育家の委員会 / 使節団報告書と高等教育改革 / 「日本教育家
       の委員会」 / 新しい学校系統案 / 南原繁の存在 / 教育刷新委員会の設置 /
       先行報告書の位置づけ / 総会と特別委員会

     2 学制改革論議の開始
       学校体系の審議 / 「下級」 と 「上級」 の間 / 第二特別委の議論 / 新制高校
       の年限と性格 / アメリカモデルへの無理解 / 総会での議論 / 曖昧な接続関係

     3 上級学校体系の検討
       審議の開始 / 多様な学制改革案 / 医学教育の年限問題 / 教員養成と学制
       改革 / 旧制高等学校の存廃

     4 第五特別委員会・最初の建議
       委員会の構成 / 学校体系に関する建議 / 第五特別委の議論 / 多様な意見
       / 帝大・高校の温存か / 混迷する議論 / 接続の問題 / 議論の紛糾 / 何の
       ための四・五年制か / 曖昧な決着 / 原則と幅

     5 学校教育法の成立
       成立までの経緯 / 文部官僚の回顧 / 学校教育法の閣議請議案 / 教刷委・文
       部省・CIE / GHQ の介入 / 教刷委案の修正 / 新制高校像の違い / 医学教
       育と六年制 / 設置認可問題の登場 / 協議会と教刷委の関係

     6 移行問題への焦点化
       稗方委員の発言 / 移行問題をめぐる議論 / 専門学校の苦境 / 第五特別委の
       立ち遅れ / 移行問題と第五特別委

     7 問われる新制大学像
       前期・後期論の登場 / 分割の方向性 / 二年制大学論 / 天野委員の真意 /
       転学の自由論 / 単位制・学科目制 / 学位の問題 / 大学院と研究所 / 帝国
       大学の大学院化論

第4章 学校教育法以後

     1 学校教育法成立以後
       総会での議論 / 否定された二年生構想 / 第五特別委での再議 / 帝国大学
       の大学院化論 / 前期・後期論 / 専攻科か前期課程か / 研究所としての大学
       院 / 帝国大学の別格化 / 第五特別委の限界

     2 教員養成制度という課題
       教員養成制度の問題 / 大学による教員養成 / 一般大学と教育大学 / 師範学
       校の処置 / リベラルアーツと教員養成 / 相次ぐ反論 / 漠然とした決着 / 第八
       特別委の設置 / 師範学校の移行問題 / 現実的な選択

     3 第五特別委の修正案
       修正案の再提出 / 前期・後期と転学の自由 / 専攻科併置問題 / 独立大学院
       論の紛糾 / 教刷委と文部省の相互不信 / 文部省による課題提起

     4 第五特別委・最後の審議
       総会と移行問題 / 設置認可基準問題の浮上 / 文部省の弁明と謝罪 / 第五特
       別委のこだわり / 前期大学論 / ジュニア・カレッジ論 / 暫定の三年制大学 /
       大学設置委員会問題 / 大学設置基準と大学基準 / 設置認可と国土計画 / 移
       行と教員資格審査 / 総会での審議 / 女子専門学校の救済策 / 修正案の決定


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