大学出版部協会

 

中央銀行制の成熟と限界グリーンスパンの隠し絵 下

グリーンスパンの隠し絵 下 中央銀行制の成熟と限界

A5判 288ページ 上製
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-8158-0870-9 C3033
奥付の初版発行年月:2017年03月 / 発売日:2017年04月上旬

内容紹介

未曾有の長期安定の後、ITバブルとサブプライム・ローン危機により、非難の的となったグリーンスパン。その成功と失敗から何を学び取れるのか。下巻では、大恐慌の再解釈に踏み込みつつ、予言的な講演から現在までをたどる。現代経済学と中央銀行制を根底から問い直す渾身作の完結編。


目次

  第Ⅱ部 ワシントンでの二十一年 (承前)

第6章 「根拠なき熱狂」 講演の根拠
     1 「根拠なき熱狂」 講演
        講演の構成と主旨 / 戦後金融政策史と 「根拠なき熱狂」
     2 ゴンザレスの詰問と 「消えた博論」 騒ぎ
        「中央銀行の独立性」 の無意味 / 批判する側の無知
     3 ブライアンの 「金の十字架」 演説と連邦準備
        「金の十字架」 演説とインフレ主義 / ブライアンと連邦準備創設 / あれから百年
     4 「根拠なき熱狂」 講演の根拠
        大平準の幕引き / 民主主義と中央銀行の二律背反

補論2 政策適用による経済学の科学性の検証
     1 経済学関係論と経済機械観
        経済学の五つの手法 / 経済を機械と見たい経済学者たち / グリーンスパンの
        立ち位置の理由
     2 ブレンターノの復古的刷新とその衝撃
        科学基礎論としての精神作用学 / 価値評定における情意と理性
     3 社会科学の科学性とモダニティ
        科学の説明力と操作力 / 実在的自然法の支配と経済学

  第Ⅲ部 第二次大恐慌と中央銀行制の限界

第7章 第二次大恐慌
     1 第二次大恐慌とその原因
        大恐慌の再来 / 国際要因の非重要性
     2 危機直後のグリーンスパン
        論文 「危機」 / 危機の原因と擬似金本位制の出口戦略 / シュレーディンガーの猫
        の死亡
     3 オーストリア学派からの批判
        ハイエク程度の人物 / 承知のうえで不誠実なことをした
     4 主流派からの批判および応答
        テイラーとの応酬 / マンキューのコメント / 「怪」 発言の真意

第8章 企業の固定資本投資と擬似金本位制
     1 企業家と経済学体系
        完全競争と無妨害競争 / 二つの競争理論と二つの経済学
     2 積極主義と対リスク萎縮
        善意で市場を混乱させ続ける政府 / CFR インタビュー
     3 大膨張と大平準の示唆
        企業家と帰属理論 / 政策形成におけるイデオロギーの役割
     4 景気循環と経済運営の常識
        グリーンスパンの政策原理 / 景気循環は経済の正常な姿である

第9章 中央銀行のパラドクス
     1 貨幣の起源と微少準備銀行のしくみ
        貨幣起源の理論と銀行業 / 微少準備銀行制
     2 一般人を貨幣から隔離する中央銀行
        微少準備銀行制からの中央銀行の生成 / 一般人の貨幣からの隔離
     3 金融規制と非伝統的金融政策
        金融規制の有害性 / 量的緩和の有害性
     4 金の市場性と至上性
        中央銀行家の苦境と金の存在感 / 擬似金本位制と金本位制

補論3 現代を近代より退行させた大恐慌
     1 19世紀の金融論争とその意味
        ボイドとキングの大陸経済学的分析 / ウィートリとリカードの英米経済学的分析
     2 19世紀の経済安定とその秘密
        貨幣制度と物価の長期推移 / 金本位制とデフレ成長
     3 物価安定という貨幣インフレ
        貨幣増の効果の理論と物価 / 物価安定型貨幣インフレと大恐慌 / 大恐慌期の主
        なデータ
     4 大恐慌と歴史の退行
        金の十字架、連邦準備創設、物価安定論、大恐慌 / 人間・国家・社会科学技術


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。