戦争国家イギリス 反衰退・非福祉の現代史 Warfare State: Britain, 1920-1970
価格:5,940円 (消費税:540円)
ISBN978-4-8158-0874-7 C3022
奥付の初版発行年月:2017年05月 / 発売日:2017年05月下旬
20世紀イギリスは、衰退に苦しむ福祉国家などではなかった。エキスパートが権力を握り産業界と手を結びつつ科学技術の開発に熱を上げた 「闘志あふれる」 国家を描き、現代史の神話をラディカルに破壊。ジェントルマン中心の歴史観が見過ごしてきた実像を明るみに出す野心作。
目次
序 章
第1章 戦間期の軍産複合体
戦間期軍備の新しい見方
イギリス艦隊の強さ
海軍・産業複合体
航空機産業および戦車産業
武器輸出
政治経済学と宥和政策についての考察
第2章 戦争国家とイギリスのナショナル化 1939~55年
経済史家と戦時経済 —— 消える戦争経済
軍事支出とイギリス国家の発達
戦時経済の統制
新しい兵器産業
労働党と兵器産業の公有
産業政策
戦後における国家と産業の関係
国防生産
国の技術安全保障
第3章 エキスパート国家
—— 戦間期における軍事・科学複合体
国家公務員の中でのエキスパート
スペシャリスト、エキスパート、プロフェッショナル
専門技術エキスパートと軍
軍隊におけるR&D
学界エリートと軍事・科学複合体
軍事R&Dの運営
理工系公務員研究職
戦間期の公務員における科学者や専門技術者の地位
研究職と行政職
国家的R&Dの成果
第4章 新世代の人々と新しい国家 1939~70年
新しい大臣
軍士官、実業家、軍需省庁
R&Dの運営
学界の科学
戦後の技術家に何が起きたか
新しい階級、戦争国家、大学
二つの公務員集団 —— 研究職と行政職
行政官と科学官の和平
第5章 反=歴史家と技術家官僚
—— 「技術家支配期」 再考 1959~64年
C・P・スノー、反=歴史家
P・M・S・ブラケット、国家と左翼
ブラケット、労働党、科学政策
技術家主義的近代化の政治再論
第6章 戦争国家と 「ホワイトヒート」 1955~70年
技術的未来主義とイギリス軍産複合体 —— 1955~64年
ハイテクへの依存
国産技術の見直し
労働党政権
ホワイトヒートの仕掛け
ミンテックの技術政策
研究科の削減
国防に由来する産業政策
では、「ホワイトヒート」 とは何だったのか?
兵器産業はいったいどうなったか?
第7章 イギリス戦争国家の消滅
イギリスはドイツとは違う (1)—— リベラルなイングランド賛
イギリスはドイツとは違う (2)—— 軍国派によるイギリス批判
社会主義、労働党、戦争 —— 福祉国家の台頭
イギリス社会主義と復活する政治経済学
技術家支配論的反=歴史の復活
第8章 科学・技術・産業・戦争の関係再考
技術と戦争の歴史
知識人、科学、技術、産業、戦争
転 調
科学、戦争、イギリス社会
アメリカの軍事・科学複合体
軍事を取り入れる
反=歴史と下からの歴史記述
付 録
日本語版へのあとがき
監訳者あとがき