五山僧がつなぐ列島史 足利政権期の宗教と政治
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-0903-4 C3021
奥付の初版発行年月:2018年01月 / 発売日:2018年01月下旬
地域の信仰を背景に各地を結び付け、体制的武士層を欠く足利政権の全国支配の鍵ともなった、「夷中(いなか)」の五山僧の決定的役割を浮かび上がらせて、中央偏重の五山制理解を一新、五山文学も手がかりに、列島社会が内包していた異国的世界をも展望し、新たな中世史像を描き出す。
目次
凡 例
序 章 五山僧の忘却と再発見の試み
はじめに
1 禅宗史研究
2 顕密八宗論
3 禅律仏教論
おわりに —— 本書の課題
第Ⅰ部 足利政権と五山僧
第1章 叢林と夷中
—— 五山僧の列島散在
はじめに
1 諸山・十刹住持補任の概況
2 夷中との交渉
おわりに
第2章 足利政権の坐公文発給と政治統合
—— 赦し合う政権と檀越たち
はじめに
1 義教政権期の坐公文
2 義政政権期の坐公文
おわりに
第3章 関東公帖と夷中の五山僧
—— 赦し合う人脈の展開
はじめに
1 関東公帖の発生と展開
2 関東公帖の受給者たち
おわりに
第4章 戦国期足利政権の公帖発給と 「武士」 の編成
はじめに
1 戦国期公帖の政局的側面
2 戦国期公帖の体制的側面
おわりに
第Ⅱ部 夷中の檀越と五山僧
第5章 鎮魂の強制から信仰の統合へ
—— 石見安国寺の諸山禅院への推移
はじめに
1 利生塔・安国寺の警固人
2 寺塔警固人から禅院檀越へ
おわりに
第6章 五山僧をめぐる師弟関係と師檀関係
—— 諸地域の十方院について
はじめに
1 京都所在=将軍家膝下の禅院
2 各地所在=諸勢力膝下の禅院
おわりに
第7章 地方諸山禅院の無名檀越たち
—— 備中宝福寺を事例として
はじめに
1 江戸期地誌類にみる宝福寺末寺の群小檀越
2 室町期荘園史料に探る宝福寺末寺の檀越像
おわりに
第8章 戦国期在地勢力の五山文学受容
—— 尾張知多半島域を事例として
はじめに
1 慈雲寺雲岫永俊と佐治氏
2 知多半島域における五山文学受容の諸相
おわりに
第9章 居士大姉仏教と五山文学
—— 尾張・三河の諸山と五山僧
はじめに
1 夷中の諸山と十方檀越
2 夷中の五山長老
3 夷中の五山文学
おわりに
第Ⅲ部 五山僧の思想史的位置
第10章 夷 中 考
—— 列島社会と五山文学
はじめに
1 五山僧の前史
2 列島社会内の対外関係
3 五山文学の受容者論
おわりに
第11章 五山僧の栄西認識
はじめに
1 栄西は禅律僧か
2 栄西は密教僧か
3 栄西は仏心宗第一祖である
おわりに
第12章 南禅寺住持論
—— 列島史のなかの五山僧とキリシタン
はじめに
1 『本朝高僧伝』 のなかの南禅寺住持
2 キリシタンがみた禅宗と南禅寺住持
3 南禅寺住持をめぐる諸認識
おわりに
終 章 列島史と日本史のはざまで
—— 今後の五山文学研究に向けて
注
あとがき
索 引