歴史人名学序説 中世から現在までのイベリア半島を中心に
価格:5,940円 (消費税:540円)
ISBN978-4-8158-0912-6 C3022
奥付の初版発行年月:2018年06月 / 発売日:2018年06月下旬
前に刻まれたヨーロッパ社会の軌跡 ——。家族・親族の結びつきやアイデンティティのあり方、封建制と家族・ジェンダーの関係、フロンティア社会と文化移転、キリスト教の浸透・教化など、人名という新たなプリズムを通して過去・現在の社会・心性を色鮮やかに浮かび上がらせる。
芝 紘子(シバ ヒロコ)
スペイン社会史・家族史研究。1966年、津田塾大学学芸学部英文科(アメリカ研究コース)卒業。1970~74年、マドリー・コンプルテンセ大学留学。2005年、博士(文化史学)。主著に『地中海世界の〈名誉〉観念――スペイン文化の一断章』(岩波書店、2010年)、『スペインの社会・家族・心性――中世盛期に源をもとめて』(ミネルヴァ書房、2001年)ほか多数。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
地 図
凡 例
序 章
第1章 「命名革命」の初期現象
1 「革命」以前の状況
2 初期現象
3 イベリア半島北部西半分におけるストックの縮減
4 少数の名への集中
1)中世盛期西欧におけるキリスト教系名の採用
2)半島北部におけるキリスト教系名の広まり
3)「新しい名」の採用・「古い名」の放棄
4)半島北部西半分における少数の際立った名への集中
5)半島北部東半分におけるストックと使用名
6)名の集中における地方の特色
7)父・祖父の名の継承
5 女性の名 —— 地方による相違
第2章 新しい姓名システムの登場
1 西欧における二要素姓名システムの出現理由
2 イベリア半島における補足命名
1)命名の第二要素の採用
2)アラブ命名法の採用 —— ibn、filius
3)filius 型採用の背景
3 父称の登場と展開
1)父称の登場と定義
2)父称を形成するさまざまな接尾辞とその起源
3)さまざまな接尾辞の父称の推移
4)他国における父称の接尾辞・接頭辞
5)父称の採用における社会的・地理的差異
6)父称に込められたさまざまな意味合い
7)父称の形成例
8)主格父称 —— 名使用との両立性
9)父称の「化石化」と家族名の誕生
10)母 称
4 地名姓
1)イベリア半島北部東半分
2)半島北部西半分
3)ほかの西欧諸地域
5 あだ名・職名による姓
1)あだ名姓
2)職 姓
第3章 単一命名から二要素命名へ
1 二要素命名と初期現象との関係
2 二要素命名の展開における地方間の比較
1)二要素命名の勝利時期
2)二要素命名とストック縮減・集中との関係
3 女性の姓
1)名+補足要素
2)名+父称
3)既婚女性の姓のあり方
第4章 近世における命名の推移
1 複合名の出現
2 18世紀中葉の12市町村における最頻名
3 近現代における代表的な名の推移とその背景
1)Antonio
2)Joseph
3)Manuel
第5章 現行法定姓の誕生
1 現行の双系的結合姓の特異性
2 現行姓システム誕生についての仮説
3 中・近世交における複姓
4 近世における複姓
5 長子限嗣相続制 —— 結合姓の起源
6 双系的結合姓の展開
1)社会上層における結合姓の広まり
2)民衆間での結合姓の広まり
7 双系的結合姓の本質
第6章 なぜスペインの姓は少ないのか
1 スペインにおける姓の僅少性
2 姓が僅少である原因
1)近親婚
2)人口の過疎・孤立
3)人的資源の喪失
4)父称の絶対的優勢
終 章
あとがき
文献一覧
図表一覧
索 引