繁殖干渉 理論と実態
価格:5,940円 (消費税:540円)
ISBN978-4-8158-0925-6 C3045
奥付の初版発行年月:2018年11月 / 発売日:2018年11月下旬
近縁異種との間の性的相互作用である繁殖干渉は、シンプルな枠組みでありながら、すみ分けや資源分割など生態学・進化学での数多くの難問を、統一的に説明できる。この普遍的かつ強力なメカニズムの全容を、タンポポやマメゾウムシなどの実証例を示しながら、初めて体系的に記述。
高倉 耕一(タカクラ コウイチ)
1972年生まれ。2000年、京都大学大学院農学研究科博士課程修了。現在、滋賀県立大学環境科学部准教授。著訳書に『これからの進化生態学』(共訳、共立出版、2009年)ほか。
西田 隆義(ニシダ タカヨシ)
1956年生まれ。1988年、京都大学大学院農学研究科博士課程単位取得退学。現在、滋賀県立大学環境科学部教授。著書に『天敵なんてこわくない』(八坂書房、2008年)ほか。
岸 茂樹(キシ シゲキ)
農研機構 生物機能利用研究部門研究員。
鈴木 紀之(スズキ ノリユキ)
高知大学農林海洋科学部准教授。著書に『すごい進化』(中公新書、2017年)ほか。
西田 佐知子(ニシダ サチコ)
名古屋大学博物館准教授。訳書に『植物が出現し、気候を変えた』(みすず書房、2015年)ほか。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
第Ⅰ部 繁殖干渉の理論
第1章 繁殖干渉とは
1.1 繁殖とは何か? 繁殖干渉とは何か?
1.2 個体から個体群へ
1.3 繁殖干渉理論がもたらす予測
1.4 すみ分け現象との関係
1.5 繁殖干渉をめぐる誤解
1.6 繁殖干渉を実証する
1.7 繁殖干渉という現象の生態学らしさ
第2章 繁殖干渉と種間競争
2.1 種間競争に関するこれまでの研究
2.2 繁殖干渉の数理モデル
2.3 繁殖干渉+資源競争の効果
2.4 繁殖干渉の理論研究
2.5 生物群集
第Ⅱ部 繁殖干渉の実態
第3章 繁殖干渉と外来種問題
—— タンポポを例に
3.1 外来種はなぜ「強い」のか?
3.2 植物における繁殖干渉の研究
3.3 タンポポ
3.4 タンポポの研究例
3.5 タンポポを通して見えてきたこと
第4章 個体群レベルでの繁殖干渉
—— イヌノフグリ類を例に
4.1 イヌノフグリとオオイヌノフグリ
4.2 個体レベルでの繁殖干渉の検証
4.3 個体群レベルでの繁殖干渉の検証 —— 島嶼での調査
4.4 イヌノフグリの生態の変化
4.5 共生生物との関係
4.6 未解明の課題
4.7 イヌノフグリを通して見えてきたこと
第5章 「種間競争」再考
—— マメゾウムシを例に
5.1 マメゾウムシ
5.2 アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシ
5.3 マメゾウムシの種間競争に関するこれまでの研究
5.4 マメゾウムシの繁殖干渉の実験
5.5 マメゾウムシの資源分割の実験
5.6 他の系における種間競争
第6章 ニッチ分割と食性幅
—— テントウムシを例に
6.1 これまでの仮説
6.2 同所的種分化との共通点と相違点
6.3 繁殖干渉によるニッチ分割の理論
6.4 捕食性テントウムシにおける実証研究
6.5 他の系との比較
6.6 他の生態的特性との関係
第Ⅲ部 繁殖干渉研究の現在と未来
第7章 最近の研究の動向
7.1 分類群の多様性
7.2 否定的な結果とその対応
7.3 さまざまな形質への波及効果
第8章 未解決の課題と展望
8.1 繁殖干渉が生み出しうるさまざまな現象
8.2 すみ分け論との関係
8.3 無性生殖種の問題
8.4 配偶様式・配偶場所の影響
8.5 履歴効果との関係
8.6 繁殖干渉を利用した応用研究
おわりに
索 引