詳解テキスト 医療放射線法令[第三版]
価格:4,950円 (消費税:450円)
ISBN978-4-8158-0934-8 C3047
奥付の初版発行年月:2019年02月 / 発売日:2019年02月下旬
医療放射線法令の全体像を理解するために、医療法施行規則第4章の内容を、関連通知も含めて体系的に整理。図表や写真を豊富に用いて視覚的・直感的に把握できる本書は、診療放射線技師をめざす学生だけでなく、医療放射線実務のための参考書としても必携。第二版刊行後に出された通知などを盛り込んだ、待望の最新版。
本書は、診療放射線技師養成課程における放射線安全管理学分野の診療用放射線に関する法令の講義用テキストとして、また医療の現場で日常的に放射線を扱っている現役の診療放射線技師の方々の実務の参考書として書かれている。
放射線は、今日の医療にとって欠かせない手段になっている。診療用放射線の規制や管理は、法律に基づいて行われており、その法規制は、放射線防護又は放射線安全管理の大きな分野となっている。診療用放射線に係わる法律は、患者には適正に放射線を使用し、放射線診療従事者や一般公衆には不必要な放射線を受けることを極力少なくするように規制することを目的として定められている。
狭義の法令は法律と命令を指すが、一般的には法律、政令(施行令)、省令(施行規則)、告示を総称して法令と呼んでいる。診療用放射線に係わる法令は、医療法、同施行令、同施行規則、同告示からなる。
法令の中で放射線に係わる条文は、主に医療法施行規則の第4章にまとめられている。従って、診療用放射線の規則は、実質的には、施行規則の第4章によって行われているとみなすことができる。このことは、医療法施行規則第4章を学ぶことによって診療用放射線の法令の概要を理解することが可能であることを意味している。ここで、敢えて概要と述べたのは、施行規則の多くの条文の内容を具体的に理解するためには、施行規則だけでは不十分であり、関連する通知までを把握しておく必要があるからである。
通知は正規の法令とは言い難いが、その時々の社会情勢や医療技術の進歩をいち早く取り入れるために、あるいは規則の条文の解釈を明確にするために使用されている。法規制の実態を把握するためには、通知の内容を理解しておくことが不可欠である。そこで本書では、通知も含めて法令と呼ぶことにし、診療用放射線に係わる法規制の全体像を理解するために、医療法施行規則第4章と関連する通知を体系的に整理することを試みた。
本書は幸いにして多くの方々にご愛用いただき、第3版の刊行を迎えることとなった。初版以来、教科書としてお使い下さった先生方や学生さんから貴重なご意見を頂いたが、心より御礼申し上げます。この第3版では、2015年の第2版刊行後に出された通知により認められた放射線発生装置とX線装置による同時曝射の要件、その他の規則と通知の改正内容が追加されており、最新の内容になっている。引き続き教科書として使用していただければ有難い。
本書は、これまでにないテキストのスタイルを求めて実験的に書かれている。テキストをより完成度の高いものとするために、本書をお使いいただく先生方、現場の診療放射線……
[「はじめに」冒頭より]
西澤 邦秀(ニシザワ クニヒデ)
1943年生まれ
1967年 名古屋大学理学部卒業
名古屋大学アイソトープ総合センター教授、
同センター長などを経て、
現 在 名古屋大学名誉教授、医学博士
著 書 『放射線安全取扱の基礎――アイソトープからX線・放射光まで』
(編著、名古屋大学出版会、初版2001年、第3版増訂版2013年)
『放射線と安全につきあう――利用の基礎と実際』
(編著、名古屋大学出版会、2017年)他
出路 静彦(デジ シズヒコ)
岐阜医療科学大学教授
伊藤 茂樹(イトウ シゲキ)
熊本大学大学院生命科学研究部教授
有賀 英司(アリガ エイジ)
名古屋第二赤十字病院医療技術部
南 一幸(ミナミ カズユキ)
藤田医科大学医療科学部准教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
本書の構成
第1章 医療法、施行令、施行規則における放射線
1.1 法令の構成
1.2 放射線に係わる法律間の関係
1.3 診療で用いられる放射線の規制
1.4 医療法における放射線
1.4.1 医療法
1.4.2 医療法施行令
1.4.3 医療法施行規則
1.4.4 告 示
1.4.5 通 知
第2章 届 出
2.1 用語と具体例
2.2 法第15条第3項の厚生労働省令で定める場合(第24条)
2.3 X線装置の届出(第24条の2)
2.4 診療用高エネルギー放射線発生装置及び診療用粒子線照射装置の届出(第25条及び第25条の2)
2.5 診療用放射線照射装置の届出(第26条)
2.6 診療用放射線照射器具の届出(第27条)
2.7 放射性同位元素装備診療機器の届出(第27条の2)
2.8 診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の届出(第28条)
2.8.1 診療用RI又は陽電子RIの届出事項
2.8.2 陽電子RI届出時の留意事項
2.8.3 障害防止法との関係
2.9 変更等の届出(第29条)
2.10 届出関連事項の一覧
第3章 X線装置等の防護
3.1 X線装置の防護(第30条)
3.1.1 X線装置とは
3.1.2 遮蔽及び附加濾過板
3.1.3 透視用X線装置
3.1.4 撮影用X線装置
3.1.5 胸部集検用間接撮影X線装置
3.1.6 治療用X線装置
3.2 診療用高エネルギー放射線発生装置及び診療用粒子線照射装置の防護(第30条の2及び第30条の2の2)
3.2.1 発生装置
3.2.2 粒子線照射装置
3.3 診療用放射線照射装置の防護(第30条の3)
第4章 X線診療室等の構造設備
4.1 X線診療室等の構造設備の概要
4.2 X線診療室の基準(第30条の4)
4.2.1 X線診療室の構造設備の基準
4.2.2 CT搭載車の構造設備
4.3 診療用高エネルギー放射線発生装置使用室及び診療用粒子線照射装置使用室の基準(第30条の5及び第30条の5の2)
4.3.1 発生装置使用室の基準
4.3.2 粒子線照射装置使用室の基準
4.4 診療用放射線照射装置使用室の基準(第30条の6)
4.5 診療用放射線照射器具使用室の基準(第30条の7)
4.6 放射性同位元素装備診療機器使用室の基準(第30条の7の2)
4.6.1 装備機器使用室の基準
4.6.2 装備機器使用室以外での装備機器の使用
4.6.3 その他適切な放射線障害の防止に関する予防措置
4.7 診療用放射性同位元素使用室の基準(第30条の8)
4.8 陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室の基準(第30条の8の2)
4.9 貯蔵施設の基準(第30条の9)
4.10 運搬容器の基準(第30条の10)
4.11 廃棄施設の基準(第30条の11)
4.12 放射線治療病室の基準(第30条の12)
4.13 標 識
4.14 線量等の算定方法
4.15 構造設備の一覧
第5章 管理者の義務
5.1 注意事項の掲示(第30条の13)
5.2 使用の場所等の制限(第30条の14)
5.2.1 放射線業務と使用の場所等の関係
5.2.2 放射線診療室における一般的な管理義務
5.2.3 X線診療室における複数のX線装置の使用
5.2.4 X線装置のX線診療室以外の場所における使用
5.2.5 発生装置の手術室における移動使用
5.2.6 照射装置のX線診療室、診療用RI使用室、陽電子RI使用室における使用
5.2.7 照射器具の他の放射線診療室、ICU、CCU、手術室における使用
5.2.8 診療用RIの診療用RI使用室以外の室における使用
5.2.9 装備機器について
5.2.10 照射器具及び診療用RIの放射線治療病室における使用
5.2.11 例外使用が認められている場所と管理責任者の選任
5.3 診療用放射性同位元素の廃棄の委託(第30条の14の2及び3)
5.4 患者の入院制限(第30条の15)
5.5 管理区域(第30条の16)
5.6 敷地の境界等における防護(第30条の17)
5.7 放射線診療従事者等の被曝防止(第30条の18)
5.7.1 放射線診療従事者の被曝の制御
5.7.2 被曝線量の測定並びに実効線量及び等価線量の算定
5.8 患者の被曝の防止及び取扱者の遵守事項(第30条の19及び第30条の20)
5.8.1 患者の被曝の防止
5.8.2 取扱者の遵守事項
5.9 測 定(第30条の21及び第30条の22)
5.9.1 X線装置等の測定
5.9.2 放射線障害が発生する恐れのある場所の測定
5.10 記 帳(第30条の23)
5.10.1 X線装置等の帳簿と記載事項
5.10.2 RI等に関する帳簿の記載事項と取扱い
5.11 廃止後の措置(第30条の24)
5.12 事故の場合の措置(第30条の25)
第6章 限 度
6.1 限度の意味
6.2 濃度限度等(第30条の26)
6.2.1 濃度限度
6.2.2 濃度限度の適用方法
6.2.3 管理区域
6.2.4 病院等内の居住区域と敷地の境界における線量限度
6.2.5 一般公衆の線量限度
6.2.6 表面密度限度
6.3 線量限度(第30条の27)
6.3.1 線量限度の種類
6.3.2 実効線量限度
6.3.3 等価線量限度
6.3.4 緊急放射線診療従事者の線量限度
6.3.5 女子の線量限度変更に伴う書面について
付 録 法令集
1 法 律
2 施行令
3 施行規則
4 告 示
5 通 知
索 引
関連書
西澤邦秀/柴田理尋編『放射線と安全につきあう―利用の基礎と実際―』