概念と生 ドゥルーズからアガンベンまで
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-8158-1058-0 C3010
奥付の初版発行年月:2022年02月 / 発売日:2022年03月上旬
世界が違って見える。――概念は、思想家の身体を通して、ある時、ある場所で生まれ、受け手の身体を通して生を変えるだろう。ドゥルーズ、フーコー、ラカン、バルト、ガタリ、アガンベンらの、真に驚くべき概念たちとつきあい、それぞれの声や文体とともに、思想の核心を読みひらいた透徹の書。
「概念」とは何か。この世の様々な事象について考えようとする時、普段の生活の中で使っている言葉ではどうしても表せないようなことを言う必要が生じることがある。例えば、「愛」という言葉はどうだろう。「好きです」とか「一緒にいたいです」とかという気持ちの中にある何かとても重要な感情をどう表せば良いのか。「愛」という言葉がそれを表しているとしたら、それこそが「概念」ということである。「概念」は抽象的なものであると辞書的には説明されそうである。なるほど「抽象する」とは、現実の様々な事象から具体的な個別の特徴などを取り払ったあとに残るものを抽出することである。しかしその残ったものが「現実的ではない」ということはない。「概念」は「生」と直に関わっている。さらに言えば「概念」は「生」を変える力を持っている、というのが本書の主張である。すべての概念というわけではない。概念はあくまでも「哲学的にものを考える」ための道具である。しかし概念の中には、それを理解した途端、私たちの生に大きな影響を及ぼす力を持つ概念がある。……
[「序章」冒頭より]
多賀 茂(タガ シゲル)
1957年 京都市に生まれる
1989年 パリ第4大学ソルボンヌ博士号取得
現 在 京都大学大学院人間・環境学研究科教授
主 著 『イデアと制度――ヨーロッパの知について』(名古屋大学出版会、2008年)、『医療環境を変える――「制度を使った精神療法」の実践と思想』(共編、京都大学学術出版会、2008年)他
目次
はじめに
序 章 概念とは何か
第1章 生成変化(ドゥルーズ)
第2章 エピステーメー(フーコー)
第3章 ミクロ権力(フーコー)
第4章 シニフィアン(ラカン)
第5章 中立的なもの(バルト)
第6章 四つの言説(ラカン)
――ジャン・ウリの思い出に
第7章 リトルネッロ(ガタリ)
第8章 パレーシアと別の生(フーコー)
第9章 内在(ドゥルーズ)
第10章 残りの時(アガンベン)
終 章 新たな「絶対」としての宇宙の中で
あとがき
参考文献
事項索引
人名索引