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中国工業化の源流を考える「満洲国」以後

「満洲国」以後 中国工業化の源流を考える

松本 俊郎:編, 張 暁紅:著, 山本 裕:著
A5判 358ページ 上製
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-1114-3 C3033
奥付の初版発行年月:2023年02月 / 発売日:2023年03月中旬

内容紹介

戦後の混乱と破壊を乗りこえ、
社会主義化の最前線かつ
最大の生産拠点へと成長した中国東北。
鞍山や瀋陽といった巨大都市の内外で、
帝国支配の「遺産」が時代をこえて
幾重にも再編されるプロセスを初めて実証。
改革開放後の変容も視野に、歴史を貫く流れを比類なき密度で描く。

体制転換が
覆い隠した
水脈をたどる

著者プロフィール

松本 俊郎(マツモト トシロウ)

1952年東京生まれ
現 在 放送大学岡山学習センター所長、岡山大学名誉教授
著 書 『「満洲国」から新中国へ』(名古屋大学出版会、2000年、日経経済図書文化賞)他

張 暁紅(チョウ ギョウコウ)

1977年大連生まれ
現 在 香川大学経済学部教授

山本 裕(ヤマモト ユウ)

1974年東京生まれ
現 在 獨協大学経済学部准教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 満洲国以後の東北工業
    1 中国経済の「連続」と「断絶」
    2 長期的視野と時期区分
    3 工業都市の多様性
    4 資本主義から社会主義への移行

  第I部 満洲国の遺産と国共内戦

第1章 鞍山の復興と中国企業の叢生
     ――社会主義化の初期条件
    はじめに
    1 満洲国期の企業動向
    2 ソ連軍・国民党支配時期における企業動向
    3 1940年代後半の共産党政治と企業動向
    おわりに

第2章 国共内戦下の工業化
     ――哈爾濱・瀋陽を移動する軍需生産
    はじめに
    1 満洲国崩壊前後の工業の状況
    2 哈爾濱根拠地の軍需生産
    3 瀋陽工業生産の回復と発展
    おわりに

第3章 新京における工業化
     ――膨張する「国都」とその限界
    はじめに
    1 業種別工業化の動向
    2 各種産業ごとの工場の実態
    3 新京における自動車産業の軌跡
    おわりに

  第II部 共産党政権下の工業化

第4章 鞍山における基幹産業の構築
     ――母企業の創設
    はじめに
    1 旧日系企業の接収と再編
    2 中国企業の接収と再編
    おわりに

第5章 旧日系企業の再編と「南廠北遷」
     ――瀋陽・哈爾濱の重工業化の新展開
    はじめに
    1 瀋陽の国営企業の大規模化
    2 国営機械企業の再編
    3 哈爾濱の重工業化と南廠北遷
    おわりに

第6章 旧日系企業の下請から新中国の担い手へ
    ――瀋陽における中国機械企業の変容
    はじめに
    1 旧日系企業の下請から国営企業の加工訂貨へ
    2 接収された企業の事例
    3 社会主義改造を経験した私営企業の事例
    おわりに
    補論 1980年代機械工業にみる満洲国期との連続と断絶

第7章 長春における工業化の展開
     ――廃墟からの出発と自動車工業の創生
    はじめに
    1 国共内戦期から長春解放時の接収状況
    2 戦後における長春の工業化
    おわりに

  第III部 社会主義改造の軌跡

第8章 鞍山における三反五反運動と公私合営化
     ――企業改革と企業家の動向
    はじめに
    1 三反五反運動と公私合営化
    2 鞍山における公私合営化の展開
    おわりに

第9章 急がされた社会主義改造
     ――加工訂貨の効用と瀋陽・哈爾濱
    はじめに
    1 加工訂貨への依存と三反五反運動の影響
    2 公私合営化への急転回
    3 公私合営化した企業の事例と経営者
    おわりに

第10章 長春の旧糧桟にみる戦後の企業再編
     ――国共内戦期・共和国成立期の益発合
    はじめに
    1 満洲事変以前・満洲国期における益発合
    2 国共内戦期の益発合
    3 共和国成立時の益発合
    4 公私合営化進展のなかの益発合
    おわりに

終 章 東北の工業化から社会主義中国の工業発展へ
    1 3つの課題と検証結果
    2 東北工業の歴史から見る中国の現在と未来

  参考文献
  あとがき
  図表一覧
  索引


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