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啓蒙時代のペットとメディア猫を愛でる近代

猫を愛でる近代 啓蒙時代のペットとメディア

A5判 498ページ 上製
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-1172-3 C3022
奥付の初版発行年月:2024年11月 / 発売日:2024年10月下旬

内容紹介

かつては害獣対策はもちろん、薬用や祝祭の犠牲にも供されていた猫。なぜ、どのようにして「愛らしいペット」になったのか──。啓蒙期フランスの科学・文学・美術を通して、「文明」の伴侶としての猫観の誕生に迫り、「ネコ好き」社会をもたらした、人々の感情の大転換を跡づける。

著者プロフィール

貝原 伴寛(カイバラ トモヒロ)

1992年 千葉県に生まれる
2018年 東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了
2023年 フランス社会科学高等研究院(EHESS)歴史研究センター博士課程修了
現 在 日本学術振興会特別研究員(PD)、博士(歴史と文明)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 口 絵
 凡 例

序 章 愛の歴史をどう書くか
     1 ペットと近代 —— 研究史の整理
     2 表象・メディア・感情史 —— 本書のアプローチ
     3 猫と啓蒙 —— 本書の仮説
     4 4つの感情文化 —— 分析概念の導入
     5 全体を見る猫 —— 本書の構成

  第Ⅰ部 「野蛮」の発明

第1章 「猫の大虐殺」を読みなおす
      —— マルチスピーシーズな歴史のために
     はじめに
     1 民衆文化の猫
     2 「民衆」とは誰か
     3 失われた猫を求めて
     おわりに

第2章 資源としての猫
      —— 飼う、売る、食べる
     はじめに
     1 猫の飼育
     2 猫の販売
     3 猫の食用
     おわりに

第3章 猫と医療のフランス革命
      ——〈猫で治す〉から〈猫を治す〉へ
     はじめに
     1 薬としての猫
     2 薬剤師の誕生
     3 猫医学の黎明
     おわりに

  第Ⅱ部 愛好家の目覚め

第4章 貴族社会のセレブ猫
      —— ルイ14世期のサロンとメディア
     はじめに
     1 みやびな時代
     2 「デュピュイ嬢の猫」
     3 デズリエール夫人とグリゼット
     4 レディギエール夫人とメニーヌ
     おわりに

第5章 猫の歴史家モンクリフ
      —— 書物がつくる感情共同体
     はじめに
     1 立身出世の宮廷人
     2 ジャンルとジェンダーの攪乱
     3 啓蒙された感情
     4 猫愛好家の共同体
     おわりに

  第Ⅲ部 表象による馴致

第6章 博物学者の猫論争
      —— ビュフォンと啓蒙の問題系
     はじめに
     1 デカルトの衝撃
     2 人家に潜む野獣 —— ビュフォンの猫
     3 文明と野蛮の鑑 —— ソンニーニの猫
     4 「恩義の支配」—— キュヴィエの家畜理論
     おわりに

第7章 長靴を脱いだ猫
      —— 寓話詩と妖精譚
     はじめに
     1 古代の遺産と民間伝承
     2 猫の脱魔術化
     3 自然界から人間界へ
     おわりに

第8章 優雅なふれあい
      —— ロココ時代の猫絵画
     はじめに
     1 視覚から触覚へ —— 猫と女性
     2 いじめの終わり —— 猫と子供
     3 家族の一員 —— マルグリット・ジェラールの猫
     おわりに

  第Ⅳ部 感情のかたどり

第9章 愛猫通信
      —— 飼い主たちの感情表現
     はじめに
     1 書簡とその役割
     2 たとえひとが嗤うとも —— グラフィニ夫人の手紙
     3 道化師の悲しみ —— ガリアーニの手紙
     4 思い出のロロ ——『ラ・リヴィエール伯爵夫人の手紙』
     おわりに

第10章 大学街の猫裁判
      —— 醜聞事件と感情の暴露
     はじめに
     1 事件のあらまし
     2 証人のまなざし
     3 趣意書の応酬
     4 リベンジ文学
     おわりに

終 章 猫の歴史を考える

 あとがき
 注
 参考文献
 図版一覧
 事項索引
 人名・猫名索引


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