北大文学研究科ライブラリ 14
人口減少時代の宗教文化論 宗教は人を幸せにするか
価格:2,860円 (消費税:260円)
ISBN978-4-8329-3399-6 C1036
奥付の初版発行年月:2017年05月 / 発売日:2017年05月中旬
人口減少社会・超高齢化社会の出現により、日本の経済と地域社会、医療や年金、学校や職場はどうなるのでしょうか。過疎化や個人化で地域や家族が変わりゆく中、人生の記憶を今につなぐ寺や神社、教会は、社会とどう向き合い、先行き不透明な社会を手探りで歩く現代人にどう関わっていくのでしょう。
本書では、人口減少時代、世俗化する現代社会にある宗教の今日を叙述しながら、現代人の幸せとどこかで関係を取り結ぼうとする宗教の将来を展望します。宗教と社会のつながりや宗教文化のあり方を一般の方々にも理解していただけるような宗教文化論として、読みやすく平易に語ります。本書を通して日本の宗教文化を再評価していただければ幸いです。
櫻井 義秀(サクライ ヨシヒデ)
1961年 山形県生まれ
1987年 北海道大学大学院文学研究科博士課程中退
現 在:北海道大学大学院文学研究科 教授
単・共著:『東北タイの開発と文化再編』北海道大学図書刊行会,2005,
『「カルト」を問い直す』中央公論新社,2006,『東北タイの開
発僧』梓出版社,2008,『霊と金』新潮社,2009,『統一教
会』〈共著〉北海道大学出版会,2010,『死者の結婚』北海道大
学出版会,2010,『カルト問題と公共性』北海道大学出版会,
2014 など。
編 著:『よくわかる宗教社会学』〈共編〉ミネルヴァ書房,2007,『カ
ルトとスピリチュアリティ』ミネルヴァ書房,2009,『社会貢献
する宗教』〈共編〉世界思想社,2009,『現代タイの社会的排
除』〈共編〉梓出版社,2010,『越境する日韓宗教文化』〈共
編〉北海道大学出版会,2011,『日本に生きる移民たちの宗教生
活』〈共編〉ミネルヴァ書房,2012,『大学のカルト対策』〈共
編〉北海道大学出版会,2012,『アジアの宗教とソーシャル・キ
ャピタル』〈共編〉明石書店,2012,『アンビシャス社会学』
〈共編〉北海道大学出版会,2014,『カルトからの回復』北海道
大学出版会,2015,『よくわかる宗教学』〈共編〉ミネルヴァ書
房,2015,『アジアの社会参加仏教』〈共編〉北海道大学出版
会,2015,『人口減少社会と寺院』〈共編〉法藏館,2016
など。
目次
はじめに
第一章 人口減少時代を生きる宗教
一 人口構成の変動と寺院
二 僧侶の肉食妻帯と世襲
三 臨床宗教師と傾聴
四 生老病死に向き合う医療と宗教
第二章 歴史認識と国家・ナショナリズム
一 神道と地域・国家
二 日韓関係と従軍慰安婦問題
三 戦争の記憶と原理主義の勃興
四 日本の安保法制と憲法
五 個人化する現代社会とナショナリズム香港・ソウル・日本
六 自己効力感の不足とナショナリズム
第三章 世俗化社会のスピリチュアリティ
一 現代の聖地ツーリズム
二 ペット葬ブーム
三 占い・ヒーリング・疑似科学
四 就活の自己分析と自己啓発セミナー
五 体罰とブラック企業
第四章 日本のカルト問題
一 日本のカルト問題オウム真理教①
二 時代の価値観とオウム信者の指向性オウム真理教②
三 韓国の新宗教はなぜ日本に進出できたのか統一教会①
四 地上天国を信じて韓国に渡った日本人女性たち統一教会②
五 摂理ビジネスと霊感商法統一教会③
六 大学に潜むカルト
七 「摂理」からの研究不正申し立て
第五章 日本人の幸せと宗教
一 高邁なる大志と逆境
二 原発事故被災と震災復興
三 被災地の復興と地域が抱える課題
四 東アジアの福祉レジームと宗教
五 宗教とウェルビーイング
おわりに
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