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近代日本の夜間中学

近代日本の夜間中学

A5判 466ページ
価格:9,020円 (消費税:820円)
ISBN978-4-8329-6511-9(4-8329-6511-5) C3037
奥付の初版発行年月:2005年02月 / 発売日:2005年03月下旬

内容紹介

明治期から戦後直後まで存在した夜間中学。中等学歴を得られない傍系の教育機関でありながら、その設置数は全国で200校を超えた。膨大な一次資料に基づきその歴史を明らかにし、近代日本の一般家庭からみた教育制度の実像を描く。巻末に詳細な設置形態・名称変遷一覧を付す。


著者プロフィール

三上 敦史(ミカミ アツシ)

1968年、北海道帯広市生まれ。北海道大学文学部哲学科卒業、同大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。日本学術振興会特別研究員を経て、現在、愛知教育大学助手。博士(教育学)。

主要論文
「1920-30年代における夜間中学の展開−札幌遠友夜学校中等部・札幌中等夜学校を中心に」教育史学会機関誌編集委員会編『日本の教育史学』第44集、2001年
「札幌遠友夜学校の終焉−北海道帝国大学関係者による社会事業と総力戦体制」北海道大学編『北大百二十五年史』論文・資料編、2003年
「総力戦体制下の夜間中学−学徒動員・授業停止を免れた中学校」教育史学会機関誌編集委員会編『日本の教育史学』第46集、2003年
「鉄道教習所の教育史1−鉄道院による中央・地方教習所の創設」(廣田照幸・吉田文編『職業と選抜の歴史社会学−国鉄と社会諸階層』世織書房、2004年)
「鉄道教習所の教育史2−鉄道省による総合教育体系の展開」(同上書)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章
 一 近代日本の教育制度における夜間中学の位置
 二 先行研究の整理
 三 本書の課題設定

第一章 夜間中学の誕生
第一節 中学校令施行後における中学校程度の各種学校
 一 勤労青少年教育を意図しない私立夜間各種学校
 二 東京府における「中等夜学校」群の勃興
 三 中学校程度を標榜する私立夜間各種学校の広がり
 四 県立中学校長による私立夜間各種学校経営の始まり
第二節 中学校卒業者に与えられる特典との関連
 一 中等学校編入による資格取得
 二 検定による資格取得(一)−一九〇三年以前の状況
 三 検定による資格取得(二)−一九〇三年「専門学校入学者検定規程」以降
 四 専検制度発足の歴史的意義

第二章 夜間中学の拡大
第一節 府県立中学校長による二部教授構想
 一 全国中学校長会議における議論
 二 東京府による二部教授の認可申請
 三 二部教授推進論者の背景
 四 文部大臣中橋徳五郎による学校拡張論
第二節 社会事業としての信愛中等夜学校の設置
 一 信愛会と信愛中等夜学校の誕生
 二 各種ジャーナリズムによる全国報道
 三 信愛中等夜学校の経営の実態
 四 夜間中学制度史に対する有馬の影響
第三節 東京府による中学校夜間教授の認可申請とゲーリー・システムの採用
 一 東京府による夜間教授認可申請
 二 夜間中学論争のゆくえ
 三 府立四中のゲーリー・システム導入
第四節 北海道庁における中等夜学校の叢生
 一 札幌遠友夜学校中等部・中等夜学有鄰館の誕生
 二 北海道庁立学校に対する中等夜学校設置奨励
 三 中等夜学校に対する社会的評価の高まり
 四 学校行事の活発化
 五 「準公立」学校の不振
第五節 関東大震災を契機とした夜間中学観の変化
 一 第四六回帝国議会衆議院における議論
 二 文部省の慫慂による震災救護事業「茗渓中学」創設
 三 一九二四年の夜間中学大増設
 四 夜間中学公認を求める世論の勃興
第六節 政官界における夜間中学公認論争の推移
 一 岡田良平の文部大臣再就任
 二 専検制度の抜本的改革
 三 第五〇回帝国議会衆議院における議論

第三章 夜間中学への専検指定開始
第一節 専検指定開始直前の夜間中学
 一 夜間中学公認運動の継続
 二 地方長官による青年訓練所認定
 三 水野文相期における夜間中学公認機運の高まり
 四 中学教育調査委員会における夜間中学校制度認可決議
 五 幻に終わった文政審議会諮詢第一二号
第二節 夜間中学公認運動と専検指定
 一 文部省による実態調査と「御真影」下賜照会
 二 専検指定方針浮上と夜間中学再調査
 三 鳩山文相期における専検指定内規の制定
 四 他省庁による夜間中学への特典付与
第三節 専検指定開始後の夜間中学
 一 麻布夜間中学への専検指定
 二 「準公立」学校の公立移管
 三 夜間中学未設置地区の動向
 四 専検指定学校・非専検指定学校の併存地域の動向

第四章 総力戦体制下の夜間中学
第一節 青年学校男子義務制導入による夜間中学の動揺
 一 青年学校の誕生
 二 陸軍省による現役将校配属の検討
 三 青年学校義務制の導入による夜間中学の動揺
第二節 中等学校令による夜間中学の制度的再編
 一 教育審議会における議論
 二 中等学校令による夜間中学校に対する文部省の方針
 三 夜間中学設置数の急増
第三節 戦争末期の夜間中学
 一 男子軽労働禁止による職業制限
 二 各種学校整理による中学校改組・専検指定の増加
 三 陸軍幹部候補生資格の付与
 四 夜間中学に対する学徒動員の実施通達
 五 授業停止を免れた夜間中学

終 章
 一 夜間中学の戦後
 二 本書が切り拓いた地平

参考資料 夜間中学の設置形態・名称の


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