近代沖縄における教育と国民統合
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8329-6541-6(4-8329-6541-7) C3037
奥付の初版発行年月:2006年02月 / 発売日:2006年02月下旬
琉球処分(1879年)直後,学校が「大和屋」と呼ばれた時代から,沖縄戦時下(1945年)に至る近代沖縄における教育政策の展開とその実態を,沖縄人の生活の変貌,そして統合・大和化という視点から解明し,併せて近代沖縄教育史の時期区分論をも提示する意欲作.
目次
序 章 本書の課題と方法
第一節 これまでの近代沖縄教育史研究と本書の課題
(一) 本書の関心
(二) 同時代史としての研究
(三) アメリカ占領下の沖縄における研究
(四) 大和における研究
(五) 一九七〇年代半ば以降の研究
(六) 沖縄教育史研究の位置づけをめぐって
(七) 本書の課題
第二節 近代沖縄教育史の時期区分論と本書の方法・構成
(一) これまでの研究の時期区分
(二) 近代沖縄教育史の時期区分に関する予備的考察
(三) 本書の方法・構成
第一章 学校が「大和屋」と呼ばれた頃──琉球処分直後の学校──
第一節 本章の課題
第二節 琉球処分前後の沖縄教育政策
(一) 「教育ト勧業トノ二ツヲ注意スヘシ」
(二) 「漸次旧規ヲ改良シ教育ヲ普及ナラシメ度」
第三節 琉球処分直後の学校設置
(一) 会話伝習所
(二) 首里中学校
(三) 小学校
第四節 沖縄人の就学状況と就学督励の実施
(一) 沖縄人の就学状況
(二) 沖縄人への就学督励
(三) 中頭小学校開校時の就学者
第五節 「大和屋」としての学校
(一) 会話科と『沖縄対話』
(二) 風俗の大和化
小 括
第二章 旧慣存続期における沖縄教育政策の模索
第一節 本章の課題
第二節 山県有朋による「便宜教育」の提唱(一八八六年)
(一) 山県有朋の沖縄視察
(二) 山県の沖縄観──「沖縄ハ我南門」
(三) 山県の沖縄教育方針──「頑陋ノ精神ヲ一変スル」ための教育
(四) 旧慣存続による沖縄統治の主張
(五) 殖産への注目
第三節 一木喜徳郎による「教育ノ普及」の提唱(一八九四年)
(一) 一木喜徳郎の沖縄視察
(二) 旧慣改革による沖縄統治の主張
(三) 一木喜徳郎の沖縄教育方針
(四) 日清戦争直後の沖縄教育政策の展開へ
小 括
第三章 「他府県並み」への回路としての教育(一)──徴兵令施行と教育──
第一節 本章の課題
第二節 沖縄における徴兵令施行と徴兵適齢者の断髪
(一) 徴兵義務の強調と沖縄人の入営
(二) 忠君愛国の指標としての断髪
第三節 徴兵当籤者教育の実施とその実態
(一) 徴兵当籤者教育の開始
(二) 徴兵当籤者教育の実態
(三) 徴兵当籤者教育の展開
第四節 徴兵忌避撲滅策と教育機関
(一) 沖縄における徴兵忌避に関する陸軍省の認識
(二) 沖縄県庁の徴兵忌避撲滅策
小 括 第四章 「他府県並み」への回路としての教育(二)──日清戦争後における風俗改良──
第一節 本章の課題
第二節 教育関係者による就学・出席督励と父兄懇談会の実施
(一) 就学・出席督励と就学率の上昇
(二) 教育関係者による家庭と地域への注目
(三) 父兄懇談会の開始
第三節 学校による風俗改良への取り組み
(一) 女性教員の和装
(二) 女子児童の和装への転換とその実態
(三) 風俗改良の論理と方法
小 括
第五章 「琉球人お断り」を克服するために──移民・出稼ぎの奨励と教育──
第一節 本章の課題
第二節 第一七回沖縄県初等教育研究会の開催
(一) 移民者に対する教育の提唱
(二) 第一七回沖縄県初等教育研究会施行要項
第三節 『島の教育』の構成と内容
(一) 『島の教育』の構成
(二) 『島の教育』の特徴
第四節 移民・出稼ぎの奨励と風俗改良
(一) 小学校教育
(二) 移民者に対する直前講習
小 括
第六章 アジア太平洋戦争下の標準語励行運動
第一節 本章の課題
第二節 「いつでもどこでも標準語」
(一) 標準語励行運動の意図
(二) 小学校における標準語励行の方法とその問題
(三) 標準語励行の継続的実施へ
(四) 小学校における「正しい」標準語の励行
(五) 小学校における標準語励行と方言札
(六) 地域における標準語励行
(七) 標準語励行と大東亜共栄圏
小 括
第七章 沖縄戦における児童生徒の排除と動員
第一節 本章の課題
第二節 国民学校児童の沖縄からの「引揚」
(一) 沖縄県庁による「引揚」の指示
(二) 国民学校による児童への勧奨
(三) 財政措置・教育措置とその所管
第三節 中等・師範学校生徒の戦場動員
(一) 沖縄戦準備への動員
(二) 軍による通信訓練と看護訓練の実施
(三) 中等・師範学校生徒の「引揚」
(四) 学徒隊の編成と軍への編入
(五) 軍命に身を律して
(六) 解散命令と生への欲求
小 括
終 章 まとめと今後の課題
参考文献
あとがき
追 記
人名索引
事項索引