北海道農業の地帯構成と構造変動
価格:10,450円 (消費税:950円)
ISBN978-4-8329-6571-3(4-8329-6571-9) C3061
奥付の初版発行年月:2006年02月 / 発売日:2006年02月下旬
1980年代後半以降の農業グローバリズム=「農業国際化」の本格的展開のなかで,北海道農業がどのような変化を遂げたのかを,1970年代にほぼ形成された農業の地帯構成(水田型地帯・畑地型地帯・草地型地帯・中山間地帯)との関連で解明した,現段階における北海道農業論の集大成。
岩崎 徹(イワサキ トオル)
1943年生まれ
札幌大学経済学部教授
主 著
『農業雇用と地域労働市場—北海道農業の雇用問題』<編著>(北海道大学図書刊行会,
1997年)
『農業問題 学び教えられ』(北海道協同組合通信社,2003年)
『馬産地80話—日高から見た日本競馬』(北海道大学出版会,2005年)
牛山 敬二(ウシヤマ ケイジ)
1933年生まれ
北海道大学名誉教授,元つくば国際大学教授
主 著
『農民層分解の構造—戦前期』(御茶の水書房,1975年)
『経済構造調整下の北海道農業』<編著> (北海道大学図書刊行会,1991年)
「戦後改革期の農村社会」<戦後日本の食料・農業・農村,第11巻『農村社会史』Ⅰ所収>
(農林統計協会, 2005年)
目次
はしがき
序 章 北海道農業論と分析視角
第一節 本書の課題と視角
第二節 北海道農業論と地帯構成論の課題
一 北海道農業分析の視座
二 辺境論と今日の地帯構成
三 農業地帯構成論への視角
第三節 構造変動の規定要因
一 「農業グローバリズム」の本質
二 農業グローバリズムと北海道農業
第一編 農業地帯の形成過程
第一章 地帯構成とその形成要因
第一節 一九五〇年代における北海道農業の到達点
一 第二次大戦期までの北海道農業の展開
二 一九五〇年代の北海道農業の基本骨格
三 一九五〇年代の地域開発序列と規模格差
第二節 農業地帯の形成と地域開発序列
一 水田型地帯の流域構造の変化
二 畑地型地帯の拡大と開発序列
三 戦後開拓と草地型地帯
第三節 農業地帯構成の枠組みとその変化
一 農業地帯構成の枠組み
二 旧開・新開地域と政策受容
三 各農業地帯における旧開・新開地域の経済的地位の変化
第四節 北海道の農業集落類型と農家の階層構成
一 農事実行組合型と戦後開拓型
二 集落類型と農地移動調整
第五節 地帯構成と農協
一 「開発型」農協の特質と地域性
二 農協と集落類型
第六節 地帯構成とその変動
第二章 主要農業地帯の形成──構造変動前の枠組み
第一節 水田型地帯──石狩川流域農業
一 戦後稲作農業の形成と農協
二 旧開地域における集落を基盤とした地域農政の展 開
三 新開地域における戦後開拓入植と個別展開
第二節 畑地型地帯──十勝農業と網走農業
一 戦後畑作農業の展開
二 十勝地域・網走地域農業の地域分化
第三節 草地型地帯──根室農業
一 草地型酪農の展開構造──根室地域と宗谷地域
二 新酪事業による根室地域開発とその性格
第四節 中山間地帯
一 北海道中山間地帯農業の独自性
二 中山間地帯農業の形成
第二編 構造変動と主要農業地帯の内部構成
第三章 水田型地帯の構造変動──石狩川流域
第一節 一九九〇年代以降における構造変動と規定要因
一 グローバリズムと北海道水田型地帯
二 構造変動の規定要因──米政策の変化と北海道 農業
三 北海道水田型地帯の構造変動と地域格差
四 本章の構成
第二節 下流域における農業構造の変動──南幌町
一 規模拡大と農業開発公社の機能
二 転作の動向と経営規模・地域間格差
三 大規模地帯の離農の析出と規模拡大──栄進地 区
四 中規模地帯における規模拡大と多様化──西幌地区
第三節 中流域における農業構造の変動──秩父別町
一 秩父別農業の特徴
二 秩父別農業の構造変化
三 集落レベルにおける農家の階層構成
四 小 括
第四節 上流域における農地賃貸借の展開──当麻町
一 当麻町の概況と農業構造
二 調査対象集落における農業構造の動向と大規模農家の性格
三 農地移動の動向
第五節 石狩川流域における構造変動の諸相
一 土地持ち非農家の存在形態
二 農家兼業の存在形態
三 転作対応の地域性とその性格
第六節 地域農業の再編と農協の機能
一 流通再編下における農協の米集荷・販売対応
二 農協主導の野菜産地形成
三 農協による地域営農システムの展開
第七節 北海道における水田作の課題
一 主な調査対象地域の構造転換の小括
二 生産の課題
三 販売・流通の課題
四 小 括 第四章 畑地型地帯の構造変動──十勝農業を中心に
第一節 一九九〇年代以降における構造変動と規定要因
一 北海道畑作をめぐる諸政策
二 十勝農業の構造変動
三 地域別の構造変動
四 生産農業所得からみた畑作経営の到達点
五 本章の課題と構成
第二節 中央部・集約畑作経営の動向
一 集約畑作地帯における階層変動
二 畑作経営における野菜導入の特質
三 野菜産地形成の特徴と市場対応の方向
第三節 周辺部・大規模畑作経営の特質
一 大規模畑作地帯における階層変動
二 大規模畑作経営の性格
第四節 畑地型酪農の特質
一 十勝酪農の地帯構成
二 畑地型酪農の経営展開
三 十勝山麓部における経営外部化による酪農経営展開
四 畑地型酪農の特質
第五節 十勝農業の変動と地域農業の対応
一 大規模化・集約化の推進要因
二 農協の事業運営と収益構造
第六節 網走畑作の構造変動
一 中規模網走畑作の経営対応
二 野菜産地形成と農協の対応
第七節 北海道における畑地型農業の課題
一 畑地型農業の到達点
二 畑地型農業の課題
第五章 草地型地帯の構造変動──根室農業を中心に
第一節 一九九〇年代以降における構造変動と規定要因
一 構造変動の規定要因
二 構造変動の地域性と開発投資
三 本章の構成
第二節 生産技術の到達点と地域性
一 根室酪農の位置と性格
二 根室内部における地域性
第三節 飼養管理技術の地域性と格差構造
一 根室地域の乳牛飼養の動向
二 中春別農協管内における地域性と技術構造
第四節 多頭化と土地利用の地域性
一 入植グループ別の特徴
二 フリーストールによる大規模酪農の特徴
三 大規模フリーストールにおける経営条件への対応
四 土地利用の地域性
第五節 フリーストール牛舎による多頭化の効果と課題
一 規模拡大の動向
二 フリーストール牛舎導入農家の特徴
三 農家間格差の要因
四 多頭化の課題
第六節 放牧による低コスト化への動き
一 放牧の動向
二 放牧の効果
三 経営改善の経過
四 経営改善の条件
第七節 草地型酪農の到達点と今後の課題
一 草地型酪農の到達点
二 九〇年代における多頭化の論理
三 草地型地帯における課題
第六章 中山間地帯農業の構造変動──上川山間・下川町を中心に
第一節 中山間地帯における農用地利用再編の問題構図
一 中山間地帯農業に対する関心の低さ
二 北海道中山間地帯の条件不利性
三 地域農業の異質的構成と農用地利用
第二節 農用地利用再編とその牽引車
一 酪農の展開と農用地利用再編
二 農協主導による農用地利用再編
三 野菜作の導入による農用地利用の再編
第三節 北海道における中山間地帯農業の課題
終 章 北海道農業の構造的特質と課題
第一節 北海道農業の構造
一 都府県農業との異質性
二 北海道農業の基本的性格
第二節 北海道農業の到達点と課題
一 農業地帯構成と経営形態
二 水田経営
三 畑作経営
四 酪農経営
五 農協の支援体制
第三節 北海道における農地所有の性格と農地問題
一 北海道における農地所有の性格
二 北海道農業の課題と農地問題
三 新たな農地政策への提言
第四節 新たな北海道農業構築のために
あとがき
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