文学研究は何のため 英米文学試論集
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-8329-6693-2 C3097
奥付の初版発行年月:2008年03月 / 発売日:2008年03月下旬
シェイクスピアからハリー・ポッターまで……これまで英米文学史上において重要視されてきた作家・作品から近年再評価が著しい作家・作品までを取り上げ,多彩なアプローチで分析.現在の英米文学研究の姿とその魅力を,わかりやすく解き明かす.
長尾 輝彦(ナガオ テルヒコ)
北海道大学名誉教授、四国大学教授
目次
序論 文学研究は何のため−〈意図の誤謬〉、〈多義性〉、〈必読の書〉等をめぐって 長尾 輝彦
*第一部 シェイクスピアから王政復古まで
民衆演劇としての『マクベス』−マクベスの道化的な性格に焦点をあてて 五十嵐博久
彫像の場に向けて−『冬物語』における罪から和解への計算 宮下 弥生
ボーモント&フレッチャーと王政復古期演劇 佐々木和貴
*第二部 ロマン派から十九世紀まで
キーツのギリシア 松崎 慎也
〈愛と女性描写〉に見るバイロンの本質−バイロン『ドン・ジュアン』 宮澤美惠子
〈交錯する視線〉の物語−ジェイン・オースティン『分別と多感』論 池田 裕子
ディケンズとドストエフスキーの〈ユーモア〉−ドン・キホーテの影を追って 及川 陽子
〈視〉と〈聴〉を考える−マシュー・アーノルドを例に 森 岡 伸
祝福された女性たち−クリスティナ・ロセッティとキリスト教終末論 滝口 智子
限られた読者のための自伝−ウォルター・ペイターの「家のなかの子」 十枝内康隆
愚か者の物語−エドガー・アラン・ポーの「タール博士とフェザー教授の療法」 鎌田 禎子
男を作るものは何か−サミュエル・クレメンズと男らしさの病 久保 拓也
*第三部 二十世紀から現代へ
キャサリン・マンスフィールドの「亡き大佐の娘たち」が輝く瞬間 熊谷由美子
ある編集長からみた「レダと白鳥」 藤田 佳也
詩的方法としてのコラージュ−パウンド『詩篇』における漢字的コラージュの創造性 菅原美穂子
欲望とアイデンティティの物語−カーソン・マッカラーズの『黄金の眼に映るもの』 松井 美穂
変奏されるロボトミー−テネシー・ウィリアムズの劇作品における〈移動〉と〈静止〉 新関 芳生
〈夫婦〉をめぐる物語−アーサー・ミラー作『転落の後に』試論 山下 興作
〈母〉の帰還−−反抗的な〈娘〉たちによる『指輪物語』の受容と修正 板倉 宏予
ポストコロニアル文学におけるアイデンティティ−V・S・ナイポールを中心に 西 真木子
もうひとつの世界への通路−『ハリー・ポッターと賢者の石』にみる英米ファンタジーの伝統 沢辺 裕子
少女とテクスト−樋口一葉「たけくらべ」とアリス・マンロー「パッション」 和氣 久明