現代社会と統計 2
格差社会の統計分析
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-8329-6704-5 C3033
奥付の初版発行年月:2009年06月 / 発売日:2009年06月下旬
グローバリゼーションと規制緩和,長期不況により,我が国の労働者の状態は急速に悪化している。労働力移動,失業・不安定就業,賃金格差,土地・資産格差,医療保険や社会保障,環境問題など,現在我が国に見られる様々な格差構造の実態を理論的・統計的に分析・解明する。
岩井 浩(イワイ ヒロシ)
関西大学経済学部特契教授・関西大学名誉教授(第2章)
福島 利夫(フクシマ トシオ)
専修大学経済学部教授(第9章)
菊地 進(キクチ ススム)
立教大学経済学部教授(第10章)
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
目 次
まえがき
第1部 人口・労働と統計
第1章 日本の人口動向と格差社会
はじめに
1.将来人口と高齢化
2.少子化の原因と社会格差
おわりに
第2章 現代の失業・不安定就業・「ワーキングプア」——構造的変化と格差
はじめに
1.失業・不安定就業をめぐる国際的動向
2.失業・不安定就業・「ワーキングプア」の分析視角と基本構造
3.失業・不安定就業の構造的変化と格差
4.不安定就業・低所得層と「ワーキングプア」
おわりに
第3章 雇用労働者における年齢および所得水準による労働時間格差
はじめに
1.労働時間問題と労働時間格差
2.労働時間格差をめぐる先行研究
3.本章の分析視角および使用統計
4.性と雇用形態別にみた労働時間
5.年齢による労働時間格差
6.所得水準による労働時間格差
おわりに
第4章 労働者属性別にみた賃金格差の検討
はじめに
1.格差社会と所得格差・賃金格差
2.雇用形態,就業形態別労働者間賃金格差
3.各種賃金格差の時系列比較
おわりに
第2部 生活・福祉と統計
第5章 税務統計にみる個人所得分布の二極化
はじめに
1.所得と資産の格差拡大
2.世帯を調査単位とした統計データの問題
3.税務統計にみる個人所得分布
4.統計に明示されない所得分布の上層と下層
む す び
第6章 年金格差と高齢者の貧困
はじめに
1.年金格差の背景——日本における年金制度の成立と展開
2.年金格差の現状
3.高齢者の生活格差と貧困
おわりに
第7章 医療制度改革による国民医療保障への影響——医療保障における医療保険者間格差
はじめに
1.日本の医療保障とその現状
2.現行制度が抱える問題点
3.2008年度医療制度改革
4.医療制度改革が与える影響
おわりに
第8章 日本における世帯の土地所有
はじめに
1.世帯の土地所有を捉える統計と土地所有の概観
2.現住居敷地および現住居敷地以外の宅地の所有分布
3.農地,山林の所有構造
4.土地資産格差の構造
おわりに
第9章 格差・貧困社会と社会保障
はじめに
1.「格差社会」論から「貧困社会」論へ
2.矮小化された「社会保障」像
3.格差・貧困社会の枠組みと実態
4.社会保障と格差・貧困
おわりに
第3部 地域・環境と統計
第10章 地方自治体の政策形成と統計——格差拡大の危機はらむ地方行政改革
はじめに
1.バブル経済崩壊後の日本経済
2.行政改革と地方自治体の政策形成
3.求められる地方統計の充実
4.自立と後退の間に立つ地域経済——まとめにかえて
第11章 格差社会の地域ガバナンスと地状学——コミュニティベースの統計の試み
はじめに——社会的格差と地域統計分析に関わる総論
1.「平成の大合併」と地域ガバナンス・コミュニケーション
2.コミュニティベースの統計の実際—— 「地状学」の試み
おわりに——コミュニティベースの「統治力」と「統計力」を
第12章 健康の不平等——長崎原子爆弾被爆者の健康と社会的支援の課題
はじめに
1.原子爆弾による被爆災害と健康破壊
2.長崎市における原爆被爆者の健康調査
3.被爆者の健康状態と関連する諸要因
む す び
第13章 地球温暖化問題における二酸化炭素排出格差——日独比較を中心として
はじめに
1.エネルギー消費の地域・国際比較
2.環境先進国ドイツとの比較
3.新たな要因分解式による分析
むすびにかえて
索 引