初期アメリカの連邦構造 内陸開発政策と州主権
価格:4,950円 (消費税:450円)
ISBN978-4-8329-6716-8 C3031
奥付の初版発行年月:2009年11月 / 発売日:2009年11月下旬
憲法体制が定着し始めたジェファソン政権からモンロー政権に至る時期の内陸開発政策を対象に、連邦議会における政策形成過程分析を通して、アメリカの連邦政策の政治的特性ならびに連邦政治に内在する反連邦主義(アンティフェデラリズム)および州権論の実態を探り、19世紀初期の連邦構造を明らかにする。
櫛田 久代(クシダ ヒサヨ)
1966年徳島県生まれ,1996年北海道大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。北海道大学法学部助手,敬愛大学国際学部専任講師をへて現在,敬愛大学国際学部准教授。博士(法学,北海道大学)。専攻,アメリカ政治史。
主要著作に,"Searching for Federal Aid: The Petitioning Activities of the Chesapeake and Delaware Canal Company," The Japanese Journal of American Studies, No.14(2003),「アメリカン・システムの時代における連邦制の実態」日本政治学会編『年報政治学2005-Ⅱ』 (木鐸社,2006年)など。
目次
目 次
序 章 問題の所在
第一節 初期アメリカの内陸開発論争
一 連邦政府の開発権限をめぐって
二 初期アメリカにおける連邦内陸開発政策
第二節 本書の目的——先行研究の概観を通して
第三節 研究方法と本書の構成
第一章 国家的な内陸開発政策の契機
第一節 合衆国憲法体制下の内陸開発事業
一 港湾整備事業とフェデラリスト政権
二 カンバーランド国道事業
国道事業の成り立ち /国道ルートの選定 /第六回年次教書
第二節 チェサピーク&デラウェア運河会社の連邦助成活動
一 三州がかかわる運河事業
運河会社の設立から事業中断に至る過程 /公的支援を求めて /「運河事業に関する省察」
二 請願活動の行方
連邦議会における審議の動向 /請願活動の続行
第三節 「道路と運河に関する報告書」における内陸開発構想
一 ギャラティンの報告書とチェサピーク&デラウェア運河会社
二 ギャラティンの報告書の意義
第二章 「道路と運河に関する報告書」の反響と一八一二年英米戦争
第一節 エリー運河事業——ニューヨーク州の一大運河事業
一 エリー運河事業の始動
ニューヨーク州とギャラティン報告書 /ゲデスの調査報告書
二 ポープ=ポーター法案と西部開発
ポープ=ポーター法案 /ポーターの演説と西部の問題
三 ニューヨーク州の陳情活動とその挫折
ニューヨーク州の陳情活動 /陳情活動不成功の背景
第二節 一八一二年英米戦争と連邦助成をめぐる諸州の動き
一 開 戦
二 戦時下の請願活動
戦時下のチェサピーク&デラウェア運河事業 /戦時下のニューヨーク州の運河事業計画
第三節 ハートフォード会議における連邦制批判
第三章 連邦制とボーナス法案
第一節 一八一二年英米戦争後の政治環境変化
一 戦後マディソン政権の課題
二 内陸開発政策の戦後動向
第二節 ボーナス法案への道程
一 ニューヨーク州の運河建設活動
二 ボーナス法案提出に向けて
第三節 ボーナス法案審議と原案の大幅修正
一 カルフーンのボーナス法案提出の意図
二 州間に見る公平性の問題
二月四日の審議 /二月六日の審議
三 地域対立とボーナス法案可決
四 その他の審議
第四節 マディソン大統領の拒否権発動とその意図
第四章 革命世代最後の大統領
第一節 ニューヨーク州によるエリー運河単独開発
第二節 ボーナス法案に対する拒否権発動の余波
一 モンロー政権と連邦議会
モンロー政権発足 /タッカーの報告書とボーナス法案再提案 /連邦開発権限の是非 /ボーナス法案の余波
二 陸軍長官カルフーンの報告書に見る内陸開発構想
三 カンバーランド国道補修と憲法問題
モンロー大統領の拒否権発動 /拒否権発動の意図
第五章 アメリカン・システムと反連邦主義
第一節 アメリカン・システム下の内陸開発政策
一 モンロー大統領の方針転換
カンバーランド国道の維持補修問題解決へ /第七回年次教書
二 モンロー宣言と全体調査法
三 アメリカン・システム
全体調査法案の審議——ヘンリー・クレイとF・P・バーバーを中心に /全体調査法案の採決と諸州の動向 /アメリカン・システム
四 モンロー政権末期の内陸開発政策
全体調査法成立の反響 /カンバーランド国道のその後 /一八二四年大統領選挙
第二節 エリー運河の成功と波紋
一 ジョン・Q・アダムズ政権発足
二 エリー運河開通後の地域社会の変化
第三節 アメリカン・システムに対する不協和音
一 ジョン・Q・アダムズ政権下の全体調査法
全体調査法の積極運用 /全体調査法に対する批判
二 ジャクソン大統領の内陸開発政策批判
三 連邦内陸開発政策の顛末
結 語
あとがき
参考文献一覧
人名索引
事項索引