ポーランド問題とドモフスキ 国民的独立のパトスとロゴス
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-8329-6721-2 C3031
奥付の初版発行年月:2010年02月 / 発売日:2010年03月中旬
ポーランドの国民的統一と独立を唱える一方,反ユダヤ主義として賛否が分かれるドモフスキの思想を,膨大な文献により跡づける。ポーランド問題を乗り越えるべく出された「全ポーランド主義」の特徴と限界を明らかにするともに,ポーランドの「二重の帝国性」を指摘する。
宮崎 悠(ミヤザキ ハルカ)
1978年 北海道小樽市生まれ
2008年 北海道大学大学院法学研究科博士後期課程修了 博士(法学)
現 在 同法学研究科助教
専 攻 国際政治,ポーランド近代史
目次
凡 例
序 章
ポーランドの歴史的事情の概観 /「ポーランド問題」の発生 /本書の構成 /小 括
第Ⅰ部 全ポーランド主義
第一章 ドモフスキ研究の現状
第一節 問題設定と分析枠組
ドモフスキの思想史的位置付け /問題設定 /分析枠組
第二節 第一次大戦とポーランド問題に関する研究史
第三節 ドモフスキ研究史
ポーランド国外における研究状況 /現在のポーランドにおける研究動向
第二章 全ポーランド主義の形成
第一節 政治的前提
会議王国とその周辺情勢
第二節 『我々のパトリオティズム』
地理的分断の克服 /一九世紀「ポーランド人」の多様性 /政治的自由を求めて
第三節 革命的プログラムの提言
危機的現状の打開へ /「革命的」方法の提言
第三章 国民の生存競争
第一節 西欧体験と社会ダーウィニズム
第二節 『一現代ポーランド人の思想』
第三節 国民の気質
第四章 闘争のロゴス
はじめに――リアリズム対教条主義
第一節 プログラム転換
ドモフスキ思想の展開と国民連盟
第二節 ポーランド人とは誰か
国民とは何か
第三節 政治的リアリズム
第Ⅱ部 帝国と革命
第五章 帝国支配の二重性
第一節 プロイセン領の国民連盟
プロイセン分割領の概要 /一九世紀後半の時代区分とその特徴 /シマンスキとの協働
第二節 オーストリア領時代のガリツィア(一七七三―一九一八年)
ルヴフからウィーンへ――オーストリア領におけるポーランド政治の成立 /
ガリツィア選挙区の議員構成 /一八四八年の混乱 /春の残照
第三節 越境する政治
ウクライナ・ナショナリズムの高まり
第四節 全ポーランド主義の政治的限界
第六章 新しい帝国――『ドイツ、ロシアそしてポーランド問題』を中心に
第一節 「ポーランド問題」とは何か
第二節 誰を敵とするのか
第三節 ホーエンツォレルン国家の拡大
第四節 影響力の政治
第五節 未成立国家の外交構想
「急転の年」――一九二五年の回想より /「ポーランド問題」の転換
第七章 戦争と革命
第一節 大戦勃発の予兆
一九〇八年の危機 /各志向の概要
第二節 ニコライ・ニコラエヴィチ宣言
ニコライ・ニコラエヴィチ宣言 /第一次大戦初期における諸志向の動向 /
ロシア志向の停滞 /ペトログラードのドモフスキ
第三節 ドモフスキ外交と十一月五日宣言
対連合国外交の開始 /ロシアとの別れ /十一月五日宣言 /ドイツ・オーストリアの思惑
第四節 奇跡は西方から
「第四のポーランド」 /渡米までの活動 /奇跡は西方から /
ウィルソンの一月二十二日教書
第五節 一九一七年革命
革命期のロシア領ポーランド――二月革命 /ローザンヌのポーランド国民委員会 /
十月革命
終 章 パトリオティズムのパトスとロゴス
全ポーランド主義の限界
全ポーランド主義と二つの帝国性
――第一の帝国性(ドイツ、ロシア、オーストリアによる分割)との関係
第二の帝国性――東方領域における諸国民との関係
結 論
あとがき
ポーランド語要旨
参考文献
事項索引
人名索引