北海道大学大学院文学研究科研究叢書19
中世後期ドイツの犯罪と刑罰 ニュルンベルクの暴力紛争を中心に
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-8329-6724-3 C3022
奥付の初版発行年月:2010年03月 / 発売日:2010年04月中旬
中世後期ニュルンベルクにおける暴力紛争を対象に、ニュルンベルク参事会の刑事司法と都市住民のインフォーマルな社会的コントロールとの関係を検討。司法と市民の紛争文化が相互補完的に社会秩序を維持していたことを明らかにする。
池田 利昭(イケダ トシアキ)
1971年,石川県生まれ
筑波大学第一学群人文学類卒業
北海道大学大学院文学研究科博士課程修了(文学博士)
2004-07年,日本学術振興会特別研究員
現在,北海道大学大学院文学研究科専門研究員
目次
序 章
第一節 問題関心
第二節 研究動向
1 歴史犯罪研究
(1) 「処罰の選択的な放棄」 /(2) 「開かれた刑法」 /
(3) 社会的コントロールと「司法の利用」 /(4) 当事者の属性と裁判の機能
2 公的刑法の成立
(1) 公的刑法の端緒――ラント平和と都市法 /
(2) 一五世紀の都市における公的刑法の拡大と限界 /
(3) 一六世紀末における公的刑法の優位の確立
3 歴史犯罪研究と「社会的規律化」
第三節 課題と対象地域
1 課題の設定
2 対象地域
第一章 一四・一五世紀における刑事裁判と治安維持制度の発展
はじめに
第一節 参事会刑事裁判の伸長
1 参事会と裁判制度
2 「武器携帯」、「ナイフを抜く」、「賭博」の犯罪化
3 五者委員会の設置
第二節 職権による告訴現象
1 「お上」の統治と公的刑法の優位
2 手工業者の法観念
第三節 治安役人
1 都市警吏および都市兵の数と職務内容
2 身分、収入、規律
おわりに
第二章 暴力の形態と原因
はじめに
第一節 暴力の発生数と形態
1 暴力の発生数
2 暴力の形態
第二節 暴力の発生原因
1 暴力と名誉
2 暴力の社会的背景
(1) 金銭上のトラブル /(2) 親族内の不和 /(3) 都市門閥間の争い /
(4) 都市当局に対する暴力
おわりに
第三章 参事会と住民の暴力
はじめに
第一節 暴力の処理
1 拘 禁 刑
2 罰金刑と都市追放刑
3 他の犯罪との比較
4 公的刑法の浸透
第二節 刑罰適用の特徴
1 再犯者の取扱い
2 相互的・交渉的性格
おわりに
第四章 公的刑法と都市社会
はじめに
第一節 刑罰と和解のコンビネーション
1 刑罰、和解、Taidigung
2 紛争解決の限界
第二節 恩赦と恩赦の請願
1 恩赦の請願に関する一四八二年の条令
2 恩赦の請願者
(1) 有力者による恩赦の請願 /(2) 住民による恩赦の請願
3 恩赦と恩赦の請願の社会的意味
(1) 恩赦の請願と社会集団の連帯性 /(2) 参事会から見た恩赦の請願の社会的意味
4 恩赦とコンセンサスの形成
第三節 都市住民による「司法の利用」
1 司法の利用のパターン
(1) 侮辱事件と司法の利用 /(2) 社会集団と司法の利用 /
(3) 司法外紛争解決と司法の利用
2 都市住民の公的刑法への依存
おわりに
結 語
あとがき
参考文献
索 引