北海道大学大学院文学研究科研究叢書18
陳啓源の詩経学 毛詩稽古編研究
価格:6,160円 (消費税:560円)
ISBN978-4-8329-6728-1 C3098
奥付の初版発行年月:2010年03月 / 発売日:2010年04月中旬
明末清初の学者、陳啓源の主著『毛詩稽古編』は詩経研究の重要文献であるにも関わらず、その研究は閑却されてきた。本書はその成立や編纂の過程、詩経学の特色とその後世に及ぼした影響について、様々な観点から検討を加え解明を試みる。
江尻 徹誠(エジリ テツジョウ)
2008年 北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了
博士(文学)取得
現 在 北海道大学大学院文学研究科専門研究員
専 攻 中国思想 詩経学
主要論文
「陳啓源『毛詩稽古編』における詩序論について」(『日本中国学会報』第57集,日本中国学会,2005年)
「清代詩経学中的詩序論」(『2007年中日博士生学術研討会・第二届東亜経典詮釈中的語文分析国際学術研討会会議論文集』,文献与詮釈研究論壇,2007年)
「『毛詩稽古編』研究――従成書到流布」(『当代経典詮釈多元整合教学研討会会議論文集』,当代経典詮釈多元整合学程研究計画,2009年)
目次
序 章
一 研究目的
二 先行研究と研究状況
三 研究対象
1 陳 啓 源
2 『毛詩稽古編』
第一章 陳啓源『毛詩稽古編』成立とその流布
はじめに
一 『毛詩稽古編』完成までの経緯
二 『毛詩稽古編』の流布と字体に関する問題
三 嘉慶刊本以前における『毛詩稽古編』の流布
小 結
第二章 『毛詩稽古編』嘉慶刊本の上梓とその影響――費雲『毛詩稽古編附』の意味するもの――
はじめに
一 嘉慶刊本の縁起
二 嘉慶二十年重刊本と『附攷』の附与
三 光緒九年縮印本と佑清
四 費雲『附攷』の意味するもの
1 『附攷』とそこにみえる諸本
2 『附攷』の校勘と現存する諸本の比較
3 『附攷』からみる嘉慶刊本の異同
小 結
第三章 『毛詩稽古編』と『詩経通義』――両書の成立に関する一考察として――
はじめに
一 陳啓源と朱鶴齢の学術的交流
二 『毛詩稽古編』の起稿と『詩経通義』の擱筆
三 陳啓源と朱鶴齢の詩経学
小 結
第四章 陳啓源の『詩経』解釈――その方法と後世の評価――
はじめに
一 『詩経』解釈における基本的態度
二 『毛伝』および『鄭箋』に対する態度
1 『毛伝』に対する態度
2 『鄭箋』に対する態度
三 諸説を取捨選択する基準
四 『毛詩稽古編』の受容と評価に関する一考察
小 結
第五章 『毛詩稽古編』における詩序論
はじめに
一 『詩序』を重視する要因
二 『詩序』の起源に関する議論
三 『詩序』の由来に関する考証
小 結
第六章 清代詩経学における詩序論
はじめに
一 清初における尊序派の詩序論
1 朱鶴齢の詩序論
2 陳啓源の詩序論
二 清初以降の詩序論
1 恵棟の詩序論
2 銭大昕の詩序論
3 翁方綱の詩序論
4 胡承の詩序論
小 結
第七章 陳啓源の賦比興論――六義論に関する一考察として――
はじめに
一 「六義」における賦比興
二 陳啓源の賦比興論
三 朱熹の賦比興論に対する批判
四 賦比興の混同と全不取義説
五 文字の呼応と全不取義説
小 結
結 語
参考文献
後 序
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人名索引
事項索引