北東アジアの歴史と文化
価格:7,920円 (消費税:720円)
ISBN978-4-8329-6734-2 C3022
奥付の初版発行年月:2010年12月 / 発売日:2011年01月中旬
"北東アジア地域の歴史的動態と諸民族の形成過程を、歴史学のみならず、考古学、人類学、文化人類学、言語学の側面から総括。各分野の第一線で活躍する研究者が、最前線の研究の現状と課題を提示する。北東アジアを学際的視点から総合的に論じる我が国初の研究書。
"
目次
はじめに 菊池俊彦
第Ⅰ部 北東アジアの考古学世界
第1章 北東アジアの人類集団 松村博文・石田肇
はじめに
1.初期の北東アジア人――アメリカ大陸への拡散
2.シベリアの集団――頭蓋形態から見た系譜
3.シベリアの集団――歯の形態から見た系譜
4.ヨーロッパ人との交流――チャンドマン遺跡の例
5.北東アジア系集団の南下――東南アジアへの拡散
第2章 出シベリアの人類史 加藤博文
はじめに
1.人類のシベリアへの進出時期
2.中期旧石器から後期旧石器への移行期問題――人類進化史との関わり
3.北極圏への人類の進出
4.出シベリアのプレリュード
5.シベリアからの旅立ち
おわりに
第3章 アムール下流域のオシポフカ文化 長沼正樹
はじめに
1.研究史とオシポフカ文化の範囲
2.遺跡の発掘調査
3.オシポフカ文化の遺物
4.オシポフカ文化の諸問題
5.オシポフカ文化以前の探索
おわりに
第4章 北東アジア新石器社会の多様性 大貫静夫
1.「極東」とは
2.極東新石器社会の成立
3.極東平底土器社会の展開
4.極東平底土器社会をめぐる諸問題
おわりに
第5章 北東アジアの初期鉄器文化 村上恭通
はじめに
1.北東アジア初期鉄器文化の諸相
2.鉄器から見た北東アジアの初期鉄器文化
結 語
第6章 草原の考古学 林俊雄
はじめに
1.騎馬遊牧民はいつ頃現れたか?
2.スキタイの起源
おわりに
[コラム]モンゴル高原のヘレクスルと鹿石の発掘 高濱秀
第Ⅱ部 北東アジアの古代国家
第1章 蝦夷と粛慎 蓑島栄紀
はじめに
1.日本古代国家の形成過程における北方問題
2.8世紀―城柵設置と「東北大戦争」の時代
3.9世紀―元慶の乱へ,元慶の乱から
おわりに
第2章 辰韓・?【ワイ】・秦韓・新羅・統一新羅 東潮
1.辰韓と?【ワイ】
2.新羅の墓制――積石木槨墳から横穴式石室墳へ
3.新羅の冠位制と衣冠制――5~6世紀の領域関係
4.新羅領域と秦韓・?【ワイ】
5.新羅の統治形態と領域拡大――真興王の巡狩碑
第3章 「靺鞨罐」の成立について 木山克彦
はじめに
1.靺鞨罐成立前代の様相
2.靺鞨罐成立前の地域間関係
3.初期靺鞨罐の構成と系譜
4.靺鞨罐の成立過程
おわりに
第4章 東亜考古学会の東京城調査 酒寄雅志
はじめに
1.東京城第1期調査 昭和8年度
2.東京城第2期調査 昭和9年度
おわりに
第5章 クラスキノ城跡井戸出土土器群の考察 小嶋芳孝
はじめに
1.井戸の構造
2.土器の紹介
3.土器の検討
4.土器群とクラスキノ城跡
まとめ
第6章 女真の考古学 臼杵勲
はじめに
1.靺鞨から女真へ
2.金・東夏代女真へ
結 語
第Ⅲ部 環オホーツク海の古代世界
第1章 オホーツク文化を担った人々 石田肇
はじめに
1.オホーツク文化の人々の系統
2.オホーツク文化の人々の生活
第2章 オホーツク文化成立以前の先史文化 福田正宏
1.極東ロシア考古学と北海道考古学の接点
2.アムール川流域・サハリン・北海道の狩猟採集文化
3.北海道の歴史変遷に見られる北方性の意味
第3章 オホーツク文化前期・中期の地域開発と挫折 天野哲也
はじめに
1.礼文島香深井1遺跡
2.奥尻島青苗砂丘遺跡
3.佐 渡 島
4.奥尻島宮津チャシ遺跡
おわりに
第4章 元地式土器に見る文化の接触・融合 熊木俊朗
1.緒言と研究小史
2.元地式土器の概要
3.稚内市シュプントー遺跡出土資料の再評価
4.土器型式から見た道北端部の「接触・融合」過程
第5章 国後島の大規模竪穴群と擦文文化 澤井玄
はじめに
1.国後島の考古学調査
2.航空・衛星写真読み取りによる国後島南端部の竪穴群の検討
3.考 察
おわりに
第Ⅳ部 北東アジアの中世世界
第1章 北日本の古代末から中世 小口雅史
はじめに
1.北日本における交易と交流をめぐって
2.北日本における交易の主体者について
3.北方交易の展開と「防御性集落」の出現
4.防御性集落の終焉と中世的世界の展開
おわりに
第2章 契丹国(遼朝)の成立と中華文化圏の拡大 武田和哉
はじめに
1.シラムレン川流域の歴史的変遷と契丹の出現
2.唐代における契丹の動向について
3.契丹国の成立と漢人の関与
4.契丹国の政治制度
5.契丹国の社会組織
6.契丹国における宗教,文化,文字・言語の様相
7.契丹国の成熟と中華化――結びに代えて
第3章 イェケ=モンゴル=ウルスの成立過程 白石典之
1.検討の視点
2.氏族社会から部族社会へ(6~10世紀)
3.部族社会から首長制社会へ(11~12世紀)
4.首長制社会から国家へ(13世紀前半)
第4章 モンゴル高原から中央アジアへの道――13世紀のチンカイ城を通るルートをめぐって―― 村岡倫
はじめに
1.長春真人一行のモンゴル高原から中央アジアへの旅程
2.ウイグル,カルルクの帰順とチンカイ城の建設
3.チンカイ城と唐代の回?路
おわりに
第5章 「北からの蒙古襲来」をめぐる諸問題 中村和之
はじめに
1.モンゴル帝国・元朝の骨嵬に対する攻撃
2.元朝によるアムール川下流域での屯田経営
3.果夥の位置と白主土城
4.モンゴル帝国・元朝のサハリン島侵攻とその影響
おわりに―― 「北からの蒙古襲来」はあったか?
第6章 ガラス玉の道 越田賢一郎
はじめに
1.大陸の玉
2.北海道の玉
おわりに
第Ⅴ部 北東アジアの民族接触
第1章 明代女真氏族から清代満洲旗人へ 杉山清彦
はじめに
1.明初のジュシェン諸集団と羈縻衛所制
2.建州三衛の成立と西遷
3.16世紀の秩序変動と勢力再編
4.王杲勢力――ヌルハチ登場前夜
5.八旗制下のジュシェン=マンジュ氏族
おわりに
第2章 近世日本から見た千島列島史 菊池勇夫
1.「蝦夷が千島」から「千島」へ
2.クルミセ,ラッコ島,東海諸島
3.ラッコ島=ウルップ島観の登場
4.東蝦夷諸島,チュプカ(千島)
第3章 漂流民が見た千島のアイヌ 川上淳
はじめに
1.伊勢松坂七郎兵衛船のエトロフ島漂着
2.仙台藩領石巻五郎兵衛船のシコタン島漂着
3.正徳2年(1712)大隅国浜之市船のエトロフ島漂着
4.宝暦6年(1756)の紀州船エトロフ島漂着
5.宝暦11年(1761)の勢州今一色今富丸のシコタン島漂着
6.南部慶祥丸漂流民とパラムシル島・ラショワ島アイヌ
7.薩摩永寿丸漂流民とオンネコタン島アイヌ
まとめに代えて
第4章 サンタン交易の経済学 佐々木史郎
はじめに
1.サンタン交易の経済的側面に関する先行研究
2.サンタン交易の商品の価格
3.サンタン,スメレンクルたちの儲け
おわりに
第5章 セイウチの来た道 津曲敏郎
はじめに
1.日本語「セイウチ」の語源と初出
2.サハリンの諸言語
3.ツングース諸語
4.チュクチ・カムチャツカ語族
まとめ
[コラム] 『秘帳坎々奇話』と『北征秘談』 松浦茂
あとがき
索 引
人名索引
事項索引
地名・遺跡名索引
執筆者一覧
関連書
北東アジア古代文化の研究,環オホーツク海古代文化の研究,環太平洋の環境と文化,東北アジア諸民族の文化動態.