アメリカの国立公園法 協働と紛争の一世紀
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-8329-6751-9 C3032
奥付の初版発行年月:2010年12月 / 発売日:2010年12月中旬
アメリカの国立公園は、自然の宝庫であるとともに自然保護法の宝庫でもある。特に国有地や周辺民有地の自然保護における行政と国民の役割について示唆するところは大きい。本書は、1910年代から現代までの一世紀を八つのテーマに分け、自然保護法・土地法の観点から研究する。
久末 弥生(ヒサスエ ヤヨイ)
早稲田大学法学部卒業
早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了
北海道大学大学院法学研究科博士後期課程修了 博士(法学)
現在、明治学院大学大学院法務職研究科助手
アメリカ合衆国テネシー州ノックスビル市名誉市民
目次
序章 アメリカの国立公園システムの法的意義
第1節 国立公園システムの現状―問題の所在
第2節 アメリカの国立公園研究の現況と本書の視座
第3節 本書の構成
第1章 国立公園の黎明期(1910~1920年代)
第1節 国立公園の誕生―ヨセミテ州立公園とイエローストーン国立公園
第2節 国立公園システムの確立―マザーの貢献
第3節 国立公園局設置法とジレンマ
エピソード オムステッドとボストン公園システム
第1章小括
第2章 伐採とオリンピック国立公園闘争(1930年代)
第1節 ニューディール政策と市民保全部隊
第2節 国立公園局設置法3条――害虫条項
第3節 オリンピック国立公園闘争――市民運動の起源
エピソード 東部の国立公園の誕生――グレートスモーキー山脈国立公園とシェナンドア国立公園
第2章小括
第3章 レジャーブームの到来と国立公園紛争の本格化(1940~1970年代)
第1節 第二次世界大戦以前の対立の当事者構図
第2節 第二次世界大戦後の対立の当事者構図
第3節 ハーツォーグの管理改革
第4節 国立公園関連法制度の整備
第5節 国立公園のコンセッション問題
エピソード1 自然保護規制の根拠となりうる法理論―公的ニューサンス理論および公共信託理論
エピソード2 ヨセミテ・ロッジ地域開発計画―国立公園策定計画紛争
第3章小括
第4章 スキーリゾート開発とグランドティートン国立公園(1970年代)
第1節 ミッション66とスキーリゾート開発
第2節 ジャクソンホールと土地取得
第3節 国有林スキー場法497b条――スキー場コンセッション許可
エピソード1 ニクソン政権とキャンプ場保留地システム
エピソード2 レーガン政権と新たな公園地取得の一時停止
第4章小括
第5章 オフロード車レクリエーションとケープコッド国立海岸公園(1980年代)
第1節 ケネディとケープコッド
第2節 ケープコッド国立海岸公園法7節、行政命令11644号および同11989号
第3節 1981年ORV基本計画と1985年ORV基本計画――1989年連邦控訴裁判所判決
第4節 オフロード車レクリエーション問題の解決
エピソード1 カリフォルニア砂漠のオフロード車訴訟
エピソード2 ケープコッド風力発電所事件(2004年)
第5章小括
第6章 遊覧飛行とグランドキャニオン国立公園(1980~1990年代)
第2節 1977年プログラムおよび1987年法
第2節 1987年法3節―グランドキャニオン国立公園
第3節 グランドキャニオン国立公園遊覧飛行訴訟(1998年)
第4節 国立公園遊覧飛行管理法(2000年)とザイオン国立公園遊覧飛行訴訟(2002年)
エピソード1 船外モーター騒音とコロラド川基本計画
エピソード2 カイバブ国有林の土地交換―国立公園隣接地の自然保護
第6章小括
第7章 イエローストーンスノーモービル論争(1990年代)
第1節 冬季レクリエーションとスノーモービルの導入
第2節 スノーモービル論争と環境影響評価
第3節 サリバン判決(2003年)とブリマー判決(2004年)
エピソード1 ボイジャーズ国立公園のスノーモービル訴訟
エピソード2 大イエローストーン・エコシステム
第7章小括
第8章 エネルギー政策と北極圏国立野生生物保護区(2000年代)
第1節 アラスカの国立公園と国立野生生物保護区
第2節 アラスカ国有地保全法3142条―北極圏国立野生生物保護区の環境影響評価
第3節 北極圏国立野生生物保護区の石油掘削問題
エピソード 国立野生生物保護区GMO栽培事件(2009年)
第8章小括
終章 地域協働型自然保護の法システムの意義
初出一覧
注一覧